79、始まりの朝
とりわけ明日の準備が無かった俺は部屋に戻り赤石に言われた通りゆっくりと休む事にした。
部屋には昨日食べたピザの残骸が残されていたが片付ける気になれずに和室に敷きっぱなしになっている布団で横になった。
腹は減ったが明日の作戦を考えると何も食べる気になれずに目を閉じた。
目は閉じたがまだいつも寝ている時間には遠く寝られる訳も無い。
黙って何も考えないでいると良くない事ばかり頭をよぎりより一層目がさえてしまう。
考えるのはもっぱら一条の事で、クローンにキラーを発生させた意図や今生きているのか、もしかしたらまた新しくキラーを発生させる研究でもしているんじゃないか。
以前にお金を振り込んだ事も不安をより一層強くした。
あれだけの金があれば研究所を作って研究員を雇っても十分な研究費が残る。
「キラー討伐の為に頑張っていたんじゃないのかよ・・・」
最近は一人でいる事が多くなったせいで独り言も日常茶飯事になってきている。
もしかすると一人で秘密兵器でも開発していて助けに来てくれるんじゃないかとも考えた。
思考がポジティブになった頃、大きな欠伸と共にやってきた眠気に身を任せるように布団を首元まで引き上げた。
目が覚めると外はぼんやりと明るくなっている。
携帯電話で時間を確認すると既に6時になっていてもうそろそろ日の出の時間だった。
早くに寝るつもりだったので目覚ましはあえて設定していなかったがもう少し寝るのが遅くなっていたら日の出を拝めなかったかもしれない。
もっとも、部屋が基地の隣なので万が一寝過ごしそうになった所で誰かから電話が来ていたのかもしれない。
クローゼットの中に入っていた軍服に着替えると足早に基地へと向かった。
作戦室には既に皆が揃っていて俺が最後だった。
「おはようございます」
皆に向けて挨拶をし、赤石の指示を待った。
指示を貰わなくともドローンの中で待機なのだろうが、作戦前の打ち合わせがあるだろう。
「皆さん、今日の作戦について説明します」
案の定赤石が作戦の説明を始め、一同赤石の方へ体を向ける。
「本日午前六時三十分よりクローンの起動を開始します。クローンが現れた場合は通常通り通知を行ってもらうよう全国民に通達済みなので高城君は速やかに出現場所の案内を行ってください。国内、且つ近場に現れた場合は今までと違い多少距離があっても討伐に向かいます。討伐にはマツダさんに協力して頂きます。討伐の結果に関わらず一度基地へ帰還して頂きたいのでその間はクローンは停止させておきます。マツダさんが戻り次第斎藤君はドローンのバッテリーの交換を。その間マツダさんは休憩を入れてください。大塚君は都市内を巡回し、外に出ている人がいれば避難するよう呼びかけてください」
「了解」
一同は綺麗に揃って敬礼をし、今回は俺も皆と同時に敬礼を行った。
そして赤石が歩み寄ってくる。
「この作戦はマツダさんが居なければ実行できなかった作戦です。体に不調や疲労を感じた場合すぐに言ってください」
「わかりました、今日は必ず勝ちましょう!」
俺は握りこぶしを作って見せ、今日の心意気を示して見せた。
そして、それぞれが自分の持ち場に向かいクローンキラー掃討作戦が開始された。




