表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/87

78、再生するクローン

 培養室で解散した俺達はそれぞれ自分の持ち場に向かった。


誰もが会話を交わす事も無く、ただただ絶望をかみしめた顔をしている。


毎週一体づつ討伐を行って最短で五週間で終わらせる予定が五日間で討伐を終えなければならない。


加えて五日以内にクローンの再生が果たされキラーが復活してしまった場合毎日討伐を延々と続けなければならない。


最悪の場合はクローンを破壊してキラー討伐に世界中を奔走すればいい。


そもそもがキラー発生源の生体を破壊した場合にどのような現象が起こるのか試した事例が無い。


俺たちは一週間後の作戦時にキラーの数が減ったままである事、クローンの再生が間に合っていない事を祈るしかなかった。


残り一週間の間に少しでも勝率を上げられるよう訓練を続ける必要もあるだろう。


基地から出て部屋に戻るとデリバリーしたピザを二枚平らげて眠る事にした。



 翌朝斎藤から連絡を受け培養室に向かうととんでもないものを目にする。


「マツダ君!来てくれたか!」


鬼気迫る斎藤の表情は今まで見たことも無いほど険しい。


「どうしました?」


「これを見てくれ」


予想はしていたが奥のケースの中を見るとクローンの腕が胴と繋がりつつある。


細い管のようなもので繋がっており、既に繋がっているとも言えるだろう。


「これって、かなり早いんじゃないですか?」


「ああ、この調子じゃ五日も持たないぞ・・・」


「赤石少佐には?」


「もちろん君よりも早く伝えているよ。今は対策案を練って各国との連携を行う予定になっているんだそうだ」


先日の作戦ではキラー発生から10分程度で討伐を終えているので、一日に複数体討伐を行うのが最善の作戦だろう。


だが、クローンを起動したからと言って直ぐに討伐出来る地域に現れてくれるという確証がない。


俺と斎藤は暫くの間無言でクローンを見つめていた。


「なぁマツダ君」


「なんです?」


「最近自然と現れる方のキラーが出ていないじゃないか?」


「そうですね。それと、気を遣ってもらわなくて良いので<マツダキラー>とでも呼んでくれていいですよ」


「すまない、そういうつもりじゃなかったんだ。ただ、今後制御出来そうなら最後の一体を討伐しないでこの子の父親をやってみたらどうだい?」


斎藤はクローンの隣にいる俺の子へ目をやった。


つられて俺も子供用ケースに目をやるが少しづつ成長しているのがわかる。


もうすぐ性別もわかる頃なのかもしれない。


「ちゃんと最後のキラーも討伐して終わらせますよ。父親がこんな体じゃ子供も可愛そうですからね」


「マツダ君・・・」


再び沈黙が訪れ静まり返った部屋の中に俺の携帯電話の着信音が妙に大きく聞こえる。


「お疲れ様です」


相手は赤石だった。


「マツダさん。お疲れ様です。昨日はお疲れさまでした。次回以降の作戦に付いてお話があります。申し訳ありませんが作戦室までご足労頂けませんか?」


「丁度今斎藤さんに呼ばれて基地に来ていた所です。直ぐに行きます」


「ありがとうございます。では、斎藤君にも来てもらえるようお伝えいただけますか?」


「わかりました」


「少佐、なんて言ってた」


「次の作戦の説明があるから俺と斎藤さんで作戦室まで来て欲しいみたいです」


「了解、直ぐに行こうか」



 作戦室に入ると既に赤石、高城が待機している。


俺と斎藤の後から遅れて大塚もやってきた。


「皆さん、先日のキラー討伐から間もないですが、明日一日かけて残り四体のキラーを討伐する方針となりました。知っての通りクローンの再生速度が想像以上に早く、それに伴うキラーの復活が懸念されています。そうなってしまえば延々とキラーを討伐し続けなければなりません。これは協力をお願いしているマツダさんに多大な迷惑を要する事となるでしょう。そのため、各国と協力して明日一日全てを避難の日にした上で全てのキラーの討伐を目指します。今までにない忙しさになるかと思いますが必ずクローンのキラーに勝利し、全世界の平和を取り戻す為力を尽くして頂きたい」


いつもよりも長い演説のような赤石の言葉に皆黙って敬礼を行っている。


赤石はそのあと俺に目をやり


「マツダさん。厳しい戦いになるとは思いますがご協力お願いできますでしょうか?」


協力しているという立場上俺にだけ意志の確認を行ってくれた。


「もちろんです。早く終わらせた分だけ早く楽になれますからね」


「マツダさん、最後の一体ですが・・・」


「ちゃんと倒しますよ。必ず」


「そうですか」


赤石も斎藤のように倒さないで済む可能性を提案してくれるのかもしれないという期待もあったが、真意はわからない方が都合が良い。


ここまで来て信念を揺さぶられると明日の作戦にも支障がでるかもしれないからだ。


「では皆さん、明日日の出と共に作戦開始。その後全てを討伐するまでクローンの起動と停止を繰り返します。明日の準備が整い次第解散。明日に備えてゆっくりと体を休めてください」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ