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76、クローンキラー討滅戦

 滑走路の訓練にも慣れクローンキラー討伐開始の日がやってきた。


訓練期間が三日間と少なかったが訓練施設の充実と一度身に着けた行動は体が勝手に覚えてくれる能力のお陰で最終日にはクローンとの同時攻撃まで行えるようになっていた。


そしてクローンを起動すると発生するキラーに関してはアプリを利用して全世界に警報を鳴らした後屋内からの目撃情報を収集して日本基地の行動範囲内にキラーが目撃された場合のみ作戦続行、それ以外の場所に現れた場合は直ぐにクローンを再起動し、近くに現れるまで繰り返す。


この流れを10分程繰り返して日本基地の行動範囲内にキラーが現れなかった場合は一度作戦中断、毎週金曜日の15時に作戦を再開しキラーを全滅させるまで繰り返す流れになっている。


一番心配なのは皆が正しく避難し、クローンの情報を提供してくれるかどうかだった。


全世界共通の敵を全人類が協力し合って討伐する。


こんな事は今までに無かっただろう。


だからこそこの体験は貴重であり、全人類を一つにまとめ上げられるとまで言われている。


そんな都合よく事が運ぶとも思えなかったが希望は大きい方が作戦への意欲も養われる事だろう。


俺の役割はドローンの中で待機し、10分以内で到着出来る場所にキラーが出現した場合に急行する役割となっていた。


世界中の人々がキラー討伐の為に一丸となって動くのだ、失敗は許されない。


「マツダさん、そろそろ開始します。心の準備をおねがいしますよ」


屋根裏のドローン格納庫のスピーカーから赤石の声がした。


研究室の斎藤からの連絡手段だとばかり思っていたが作戦室からもスピーカーに繋がっているらしい。


「了解です」


一応返事はするが、作戦室と繋がっているかどうかもわからないし何よりドローンのハッチを閉じた状態で待機している為声が通っているかどうかもわからない。


そして、ドローンのモニターに表示された時刻が15時ちょうどになって少し経った後基地内に警報が鳴り響いた。


「マツダ君!ラッキーだぞ!いつもの滑走路だ!右側のボタンで直ぐに行ける!」


「了解!」


俺は直ぐに右手側のハンドルに付いたボタンを押して格納庫から飛び立った。


クローン側も再戦を求めているのだろうか。


前回と同じ戦場から始まるとは予想外だった。


案外何週間か経ってから近場に現れるものだと思っていたが、よもや一度目の起動で戦闘になるなど思っていない。


既にドローンは発進し、場合によっては着陸と同時に襲われる可能性がある。


ハッチを開ける前にキラーがどの位置にいるのかを確認しておかなければ対応も難しくなるだろう。


滑走路が視界に入ると目を凝らし、キラーの位置を確認する。


いつも着陸している場所は見ればわかる。


運の悪い事に、いつも着陸している場所とほぼ同じ場所に動かずにいた。


「くそっ」


あまりにも運が悪く、絶体絶命の危機にじっとしていられずモニターに向けて頭突きをする。


首の力が人並であった為ドローンを破壊しなくて済んだ事に安堵したが滑走路に近づくにつれて額から冷や汗が滲み出る。


そして、キラーの真上で一度止まったかと思うと滑走路の一番端まで移動した後に着陸した。


「斎藤さん!ありがとう!」


俺は思わず叫んだ。


状況を把握した基地からの遠隔操作だろう。


基地までは10分もかからないがもうすぐ10分が経過する頃だ。


俺は叫んだあと直ぐにハッチを開けてキラーに向けて駆け出した。



 キラーはこちらの動きを感じ取ったのか、こちらの動きと同時に動き出した。


戦闘は一瞬だった。


俺がクローンキラーの攻撃を捌き、同じ場所に留まっている間にキラーの攻撃でクローンキラーを粉砕する。


訓練の時は想像上の動きでしか無かったが実際にクローンキラーと戦ってみると思っていた以上に動きが単調で直ぐに反撃に移る事が出来たのだった。


上半身を吹き飛ばされたクローンキラーは下半身部分だけを残し微動だにしなかった。


「やりました!一体撃破です!」


俺はこんな時でも下履きのポケットに入れたままにしていた携帯電話で基地に連絡をした。


「やったわね!じゃあ一度クローンを停止させるわ!」


電話に出たのはいつも通り高城だった。


俺の撃破の連絡にとても喜んでくれた様で俺も嬉しくなった。


「では、一度戻ります!」


「待って!」


〈ぁ、はぃ、わかりました〉


電話の向こうで高城が赤石の指示を受けているようだった。


「マツダさん、大変申し訳ないんだけど、キラーの残骸、ドローンに乗せて運んで来てくれるかしら?」



 激戦という激戦では無く気持ちに余裕はあったものの、キラー討伐後の凱旋がこのような空しい清掃のあとになるだなんて誰が思うだろうか。


俺は空軍基地から借りた清掃具で粉々に吹き飛んだクローンキラーの残骸を掃き集め、下半身部分の空洞に詰め込んだ。


帰りはキラーの残骸が挟まりしっかりとハッチが閉まらない情けない状態で凱旋する事となった。


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