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72、真の平和とは

 斎藤の新発明を待つ二日間の間も俺は滑走路へ向かい直ぐに割れる的を利用した練習を行っていた。


二度目の訓練の時もある程度の野次馬が集まっていたが、三度目ともなると野次馬も殆ど居なくなり、到着した頃には的が複数並べられている。


二度目以降の訓練はキラーを的に向かわせながら自らも回り込んで同じ的に向かおうとしていたが自分の走る方向に意識を向けてしまうと的を破壊するイメージが消えてキラーも同時に消失してしまう。


またわ、的を破壊するイメージが強すぎると自分自身の体を上手くコントロールできなくなるようで的に到着する前にキラーが的に接触、破壊してしまう。


殆ど同時に攻撃を仕掛けられなければ一人づつ戦っているようなもので全く意味が無い。


人相手ならば時間差があっても圧力をかけられるのだろうが動きな単調なキラー相手では最初に接触した方が危険に晒されてしまうだろう。


色々と模索している間に容易された的の数が減っていき最後の一つが破壊された所で訓練は終了になる。


一度粉々にしてしまった後に<おかわり>をするのが申し訳ない気持ちもある。


最後の的を破壊すると


「今日はもう終わりです!ありがとうございました!」


と、監視している兵隊に遠くから声を掛けてそのままドローンで直帰した。



 基地に着くと斎藤の元へ向かった。


約束通り二日経過したので進捗を聞いておくためだ。


元々ドローンから降りてからの導線が研究室を通るので斎藤と会う事となり自然と進捗を聞く流れになる。


決して急かそうというつもりは無かった。


「戻りました。今日はどうですか?」


朝の早い時間に研究室を通り、一度進捗を聞いてから訓練に向かい、今はまだ昼頃だ。


今朝の話だともう少し、との事だった為、帰りにも聞いてみた次第だ。


「え?今朝もう少し待ってくれって言ったばかりだろう!?」


「いや、その、もう少しと言っていたのでそろそろなのかな、って思って」


「今日は無理だよ!もう少しっていうのはそういう事だろう?今日出来るのなら今日出来るって言ってるよ!」


何度も進捗を聞く斎藤も少し苛立っているようだ。


実は昨日も殆ど同じやり取りをしたばかりだった。


だが、斎藤が<もう少し>という非常に曖昧な返答しかしない為こちらから進捗を聞かなければならなかった。


「わかりました。では明日楽しみにしていますね。お疲れさまでした」


「明日も出来てるかどうかわからんからな!」



 研究室を出るとそのまま出口に向かい部屋に帰る事にしていた。


赤石や高城とも顔を合わせずらかったからだ。


相手がどう思っているかわからないが最低でも俺が相手の顔色を窺ってしまって居心地が良くないだろう。


畳の上に寝転がり携帯電話を操作して久しぶりにキラーに関する記事を読み漁る。


なるべく自分の感情を揺さぶるような情報は入れないようにしていたのだがここ最近キラーの制御を行っているお陰で不用意にキラーを発生させない自信があったからだ。


だが、ネットニュースから見る情勢は酷いものだった。


キラーが暫く発生しなくなったのは良いがその代わりにキラーに模した殺人や強姦、強盗などが横行しているというものだ。


俺が先日やってしまった倉庫での事件もキラーを模した殺人として改めて紹介されている。


日本国内では小規模な強盗や殺人ばかりだったが、海外では大規模な無差別殺人などが行われたようだった。


キラーが毎日発生していた頃は人が人を殺すようなニュースは少なく、政治の汚職や株の不正取引など金に関するニュースが目立っていた。


「なんだこれは・・・」


悲惨なニュースの数々に思わず呟く。


こんなにも人は愚か者ばかりだったのだろうか?


自分の命を削ってまでやってきた事はなんだったのだろう。


今まではいつ現れるかわからない怪物に恐怖していたが、今ではすれ違う人全てを警戒しなければならないのではないか。


ニュースを漁りながら気持ちが昂るのを感じ、携帯電話を床に伏せて置き呼吸を整えた。


だが、既にキラーが発生してしまったようで部屋の中に警報が鳴り響いた。


「ここも警報がついているのか」


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