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71、斎藤奮闘

 滑走路は少しの間静まり返り、やがて野次馬から再びどよめきが聞こえてくる。


キラーが現れた事が注目されているのか的が瞬く間に破壊された事が注目されているのかわからなかったが歓声が上がっていない事だけは確かだ。


ひとまず的を破壊するというイメージを明確に描く事でキラーの制御をある程度行う事ができそうだった。


今度はキラーとキラーを戦闘させながら自分自身が戦闘に参加しなければならない。


だが的が粉々になってしまった後では目標を意識することが出来ずに先程のようにキラーを出すことが出来ない。


イメージが大切な訓練でイメージ対象が何もないのであれば上手くいかないのも当然のことだ。


そこで、先程暇そうにしていた斎藤の事を思い出す。


妙な物を作る暇があるのであれば壊れない的を作ってもらえるようお願いしてみるのも良いだろう。


キラーの残骸を研究していたのならば尚更それを利用して的を作る事も容易なのではないだろうか?


俺は一度キラー討伐軍の基地に戻る為滑走路清掃用の箒などを借りようとしたが後片付けは全て行ってくれるとの事で的の破片をそのままにドローンに乗り込んだ。


帰り道の事は斎藤にどのような物を注文するかを念入りに考え外の景色が頭に入って来なかった。


気が付いたら屋根裏の格納庫に到着していて天井が閉じ始めた所だ。


ハッチを開いて慌てて降りると直ぐに斎藤の元へ向かった。


「斎藤さん、お疲れ様です。いきなりで悪いんですがお願いがあります。少し時間を空けられませんか?」


「マツダ君か、早かったね。空軍の奴らに邪魔者扱いされなかったかい?」


「邪魔者だなんて。色々と協力してもらえて助かりましたよ。ただ、向こうで用意してもらえる的が直ぐに粉々になってしまって使い物にならないんです。斎藤さんの技術力で直ぐに壊れない的か壊れてもすぐに直る的を作ってもらえませんか?」


「はぁ?そんな都合のいい物があったらとっくに軍で使っているだろう?」


「さっき俺の手に塗ろうとしていたキラーの残骸とかを利用したらどうです?」


「アレかぁ?あれは君の攻撃で簡単に吹き飛んでいただろう?」


「そうですが、じゃあ、そんな強度の弱いものを俺の手に装着させようとしていたんですか?」


「精密機械なんだから、埃避け位にはなるだろう?」


「でも俺以外の攻撃は効果が無く無傷でしたよね?」


「だが、今回訓練に使うのはマツダ君だろう?直ぐに壊されるのなら作るだけ無駄なんじゃないか?」


何かを作ってもらいたい俺と面倒な物を作りたくない斎藤の間で暫くの間押し問答が続いた。


斎藤の言い分も最もだが、代替え案がどこかで出てきてもいいのではないかと粘った。


「風船みたいなのでいいんですよ!アニメとかでも風船型の戦艦とか出してますよ?」


「そうか!風船か!」


俺の急な思いつに斎藤にも想像力を提供できたようだった。


「シャボン玉みたいにすぐに割れてしまうものなら作れるかもしれないな!」


「シャボン玉なら視認するのが難しいんじゃないですか?それに、丸い形の物だと的として不十分ですね」


「大丈夫!キラーの残骸は実はゴムではなく人の皮膚に近い素材でできていたんだ。だから既に大量生産は済んでいるんだよ!」


「斎藤さんって、自分の得意分野でテンション上がりますよね」


「俺に苦手なものがあるみたいな言い方だな!」


「え?苦手な物無いんですか?」


「いや、無いわけじゃないがな。まぁとにかくだ!閃いたから早速作ってやるから二日位待ってろ!」


「ははは!了解!楽しみにしていますよ」


斎藤に火を付ける事に成功した俺は一度自宅に戻り少しの休憩をとる事にした。


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