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70、訓練開始

 ドローンの中は想像よりも快適だった。


顔の位置は硝子になっているお陰で外の様子が見えるし、硝子に表示される速度や現在の座標の数値を見ているだけで飽きる事はない。


もちろん飽きさせない為に表示しているのではないのだろうがただ立ちっぱなしで外の景色だけでは飽きていたかもしれない。


滑走路までは特に障害物も無く、直進しているだけだったので到着まで十数分という速さだった。


これならば毎日通ったとしても精神的負担無く通えそうだ。


まともに仕事をしていた時は混み合った電車や人の多さに心底うんざりさせられたものだ。


滑走路に近付くと約束通り誰かが使っている様子も無く無事に降り立つ事が出来た。


屋根裏に収納されている時は気付かなかったが人一人運ぶサイズなのでそれなりに大きいサイズのようだった。


人払いは済んでいるようだが、滑走路を貸し切って訓練を行うという事は伝わっているらしく、少し遠くの建物の外には野次馬の様に人だかりができていた。


軍隊という意味ではキラー討伐軍と同じと考えるべきなのだろうか。


これだけ人が見ている中でキラーを出現させた場合どのような反応を示すのか不安だった。


俺は訓練内容が伝わっているかどうか赤石に電話で確認をすることにした。


「高城です」


「あの、マツダですけど、赤石少佐に繋いでいただけますか?」


「あぁ、遊び人のマツダさんですね。お世話になっております。少々お待ちください」


先程の事を根に持っているのか高城の嫌味が胸に刺さる。


程なくして赤石に取り次がれた。


「赤石です」


「マツダです、お疲れ様です。今訓練のために滑走路をお借りしているのですが、訓練内容はこちらの方々に伝わっているのでしょうか?」


「こちらからはキラー討伐に関する重要な訓練、とだけ伝えているので詳細は伝えていません。何か問題でもありましたか?」


「いえ、あの、キラー制御の訓練を行う予定なので、滑走路に突如キラーが発生した場合混乱を招かないか心配になりまして」


「なるほど・・・なるほど」


電話口の赤石からはとても困った風に<なるほど>が繰り返された。


訓練をするとは言ったもののキラーの制御を行うという事は言っていなかったかもしれない。


言っていたら最初から違う反応があったのだろう。


今まで黙っていた事を急に伝えた事で現在赤石を困らせている。


今までもキラーの制御を行う話は所々でしていたはずだったがここまで予想外の反応になるとは思ってもみなかった。


「キラーの制御を行う必要があるのならばその理由を聞かせてもらえますか?」


「俺の身体能力だけではクローンのキラーに勝てる可能性が低いからです。確実に倒し切るには俺とキラーの二体でもって討伐する必要があると考えています。これは先日の戦闘でキラーを倒し損ねている状況を考えて頂ければ推測して頂けると思います」


「確かにその通りですね。それで、キラーを制御できる可能性はあるのですか?制御できた場合、クローンのキラーに勝てる見込みはあるのでしょうか?」


「キラーの制御は先日港地区で発生した事件のお陰である程度把握できています。確実にキラーの制御は行えるでしょう。確実な制御が出来た場合、クローンのキラーに勝てる見込みは99%位です。反対に制御できずに俺単体で挑んだ場合50%程度になってしまうでしょう」


「なるほど・・・我々としてはキラーの討伐は最優先事項なのですが、マツダさんにキラーの制御を完全に行えるようにさせる事はマツダさんを危険人物として認識せざるを得ない事態になってしまいます。ですので、制御に成功したとなればマツダさんの自由を奪う事になります」


「それでも構いません。クローンのキラーを討伐した後に俺自身のキラーも討伐する予定ですが、それが不可能と判断した場合はどうとでもしてもらって構いませんよ」


「なぜそこまでしてキラー討伐にこだわるんですか?」


「一条との、約束だからですよ」


「それは心強い言葉ですね。では、私からそちらの基地にはキラーが発生する可能性がある事を伝えておきましょう。何か危険があれば行動に移して構わないと伝えますのでくれぐれも下手な真似はしないようにしてください」


「ありがとうございます。では」


電話を切りドローンの足元に携帯電話を置いてドローンに被害が出ない場所まで移動する。


先程よりも軍の施設に近くなり、野次馬の様子が一層はっきりと確認できた。


数名の兵士が双眼鏡でこちらの様子を確認しているようだ。


俺は構わずにキラー制御の為怒りを制御しようとするが何も標的が無い状態でキラーを出現させるのは困難だった。


軍の基地ならば射撃訓練場のような人型の的があるのではないか。


俺は基地の人達への挨拶も兼ねて野次馬の方へ駆け出した。


最初の印象が大切だ。


ある程度できる奴だと思われなければ協力も得られないと思い、全力で走った。


クローンのキラーの動きに付いていける程のスピードで走ったつもりなので多少人間離れした所を見せられただろう。


案の定兵士たちはざわめき、中には戦闘態勢になるものや火器を構える者までいる。


「あの!訓練で滑走路を使わせて頂くマツダと申します。よろしくお願いします」


まずは丁寧に挨拶をして自己紹介を行った。


大人として当然のことだ。


ざわついていた兵士たちも静まり返り、銃を構えていた兵士も銃を下ろし敬礼の態勢を取ってくれた。


そして一番階級が高いと思われる一人が前に出た。


「赤石少佐から話は聞いています。何か協力できることがあれば仰ってください」


やはりちゃんと挨拶はしておくものだ。


早速協力体制を得ることが出来る。


「では早速お願いがあるのですが。射撃訓練に使うような人型の的を提供していただくことは可能ですか?出来れば滑走路に設置できる状態のものがあればいいのですが」


「了解です!直ぐに準備いたします!」


軍隊らしい清々しい返事にその後の行動も駆け足で準備を行ってくれる大変気持ちの良い対応だった。


ほんの少し待っただけで滑走路の真ん中にスタンド付きの的が五つ並ぶ。


もしこれが会社で自分の部下だったのならばさぞ鼻が高い事だろう。


俺は的を運んできてくれた兵士一人ひとりに握手を求めて感謝の意を述べた。


が、これからが本番だ。


これだけ清々しい気持ちになった後でこの無機質な的に殺意を向けられるのだろうか。


兵士たちが引いた後は再び野次馬の人垣の中に紛れていったようで相変わらず注目を集めている。


恐らく訓練を行う度に人垣ができて注目を浴びるだろう。


まずは的一つ分。


的を破壊するイメージを作り的に殺意を向ける。


生命が無いので殺意というには大げさだが絶対に破壊するという意志を強く持った。


思惑通りにキラーが現れ目標の的をイメージ通りに粉々に粉砕する。


遠くの野次馬からは歓声ではなく狂気のようなどよめきが聞こえてくる。


俺はこの感覚を忘れないよう残りの的を次々に粉砕する。


滑走路には粉々になった的とフレームだけが残った。


タイトルがパッとしません。

何か良い案がある方がいればコメントにお願いします。

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