表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/87

63、赤石の大失態

 研究室から逃げるようにして執務室へ向かいノックをしてから中に入った。


応接机にはいくつかの資料が並べられていて赤石も一度立ち上がり手で席を促してくる。


もうそろそろ席を促される事無く勝手に座る流れが出来上がりそうなくらいだ。


「この資料の通り、マツダさんの居住場所の確保が出来ました。場所はここから徒歩圏内で普通のマンションになります。前回の場所は特別に作ったもので入り口のセキュリティもかなり強力なものでしたが今回は普通のオートロック式です」


「それで構いませんよ、撃たれても貫通しない肉体ですからね」


「これは暫く撃ったことを恨まれ続けられそうですね。あの時は本当に申し訳ありませんでした」


「いえいえ!軽い冗談のつもりだったんです、こちらこそすみません」


「ですが、頭部を狙われたらいくらマツダさんでも無事では済まないでしょうから本当に気を付けてください」


「わかりました」


「場所は資料の地図を見て頂ければすぐにわかると思います」


地図に目をやると印刷された地図に赤いマーカーで道順が標されている。


そもそも赤いマーカーが一度も屈折していない所を見ると本当に近く基地から出て真っ直ぐ歩くだけのようだ。


それどころか基地がある程度広いだけで気付きずらいが基地の敷地の隣の建物の様だ。


「ここ、隣ですよね?」


「そうです、近くて良いでしょう?」


「ははは、、、そうですね」


「ある程度の家具と戦闘時に必要そうな衣類を何着かクローゼットに用意させています。自分の好みの物は後から買い足していってください」


話を切り上げながら赤石は資料をまとめ封筒に収める。


ここにもまた、<秘>という印字がある。


何が秘密の内容なのだろうか、先程軽く目を通した内容だと不動産店で貰える資料と殆ど変わりないように見える。


「それで今後の話なのですが、現在米国と本国発で国連に対しキラー発生時のアラームを全世界に発信してもらえるよう話を進めています。それによりこちらからキラー発生のタイミングを知らせる事で各国では住民や外出中の人々が一時屋内に避難、路面店を持つ企業は積極的に歩行者を店内に誘導してもらえるように働きかける予定となっています」


「それが実現してくれればクローンの対処ができるという事ですね」


「その通りです。アラームに関しては既に巨大都市を持つ国では携帯電話普及率が100%を超えている現状を踏まえ衛星から直接送信できるような仕組みをすぐにでも実行可能です。その後数回の非難訓練を経てようやく我々が動く事が出来ます」


「じゃあ、それまでまた軍の滑走路を使わせてもらう事は出来るんでしょうか?」


「もちろんです。移動手段も斎藤君のドローンを使って貰って構いません。キラー討伐時以外の移動なので火器は外して貰いますが」


「火器よりこっちの方がつよいですからね」


そう言って赤石に拳を作って見せる。


「それでは滑走路を使う場合は高城君に伝えてください。その後ドローンで飛んでもらえれば到着するまでには許可が下りているでしょう」


「わかりました、助かります」


「所で、そんな広い場所でどのような訓練をするのですか?」


「俺が要因で発生する残り一体のキラーを制御できるよう色々と試したいので、周りに被害が出ない所を、と思いまして」


「キラーを制御ですか・・・最近のマツダさんは危険な発言が多くて頭が痛くなりますよ」


「人類に迷惑がかかる事はしないので安心してください。もし駄目そうなら冷凍保存でもなんでもしてもらって構いませんから」


「そうならないよう祈りますよ。期限はおよそ一か月です。それまで訓練するなり休息するなり自由に時間を使って頂いて構いません」


「じゃあ残りの人生楽しませてもらいますよ」


「ええ、やり残したことの無いよう」



 基地から出ると地図も見ずに隣のマンションへ向かった。


コンクリート打ちっ放しの箱型で特に目立った装飾も無く、まるで軍の施設の一部かのようだ。


入り口には前のマンション同様にセキュリティがあったが今持っているカードキーを近付けるだけで扉が開くようだ。


エレベータに乗って五階に移動して<502>の部屋に入った。


前回は部屋の豪華さに驚いたが今回は部屋の質素さに驚かされる。


玄関から入ると便所の扉があり、その隣には風呂や洗濯機置き場などの水回り、リビングの扉を開けると対面キッチンにカウンターテーブル、一応リビングっぽくソファーとソファーテーブルが備え付けられているが本棚付きのテレビボードが置かれているがなぜかテレビは無い。


奥には引き戸の部屋があり畳張りの4畳半の部屋と押入れがあった。


なんてシンプルなのだろう。


幼少の頃自宅に畳の部屋があり両親と一緒に布団を敷いて寝ていた事を思い出した。


社会人になり、殆ど連絡を取らなくなったが、会社を辞めて路上生活をしてからというものどこかで元気にしていてくれればいいとだけ思うようになった存在だった。


そして押入れを開けるととんでもないものを目にする。


なんと、押入れの中には寝具が何も入っていない。


「えぇー・・・マジかよ・・・」


しっかりしているようで赤石も案外抜けている所があるのかもしれない。


幸いエアコンも付いていてある程度は暖を取れる。


溜息を吐きながら畳に横になりイグサのほのかな香りを楽しんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ