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52、一条の手紙

 宿泊施設近くの動物園には二日に一回のペースで通っている。


動画が拡散されている影響か人とすれ違う度に振り返られる事が多かったので帽子を買い義手も見えないように手袋も買った。


最後に一条と話をしてから一か月以上経つがその後連絡は無かった。


基地からも連絡が無く、近くにキラーが発生していないようだ。


ネットニュースを見ると感情が昂る事がある為相変わらずテレビも見ていないし携帯電話で検索することもなかった。


世間がキラーで混乱している最中に一人のんびりと動物園に通う日々を送っていると宿泊施設に一通の手紙が届いた。


宿泊施設を何度か変えているので不審ではあったが中を確認する。


<マツダさんへ。


お元気でしょうか。私は元気です。


少し困った事になっているのでお願いがあり手紙を書きました。


字は下手ですが印刷物では信頼性に欠けると思ったので頑張りました。


順を追って説明をします。


今世間ではマツダさんが討伐するとマツダさんの身が危険になるキラーが一体と新たに五体のキラーが発生しています。


先日お話ししたキラー用対策の兵器とはマツダさんのクローンなのです。


マツダさんと同じDNAを持つ生体ならばキラーが討伐出来るのではないかと当初計画が進められていたのですが次第に私はそれだけが原因ではないのではないかと考えるようになりました。


それがマツダさんの感情によるキラーの制御でした。


今ではそれを立証する術はありませんがもしかするとキラーと対峙している時、マツダさんは怒りの感情よりも恐怖の感情が強かったのではないでしょうか?


それによりキラーの動きを封じる事が出来ていたのだと思います。


キラー対策用の腕輪も無感情なマツダさんのDNAにキラーが混乱し、一時的に動きを封じる事で装着者の身を守る事が出来ていました。


私は以前お話したように虐められていた事もあり人が好きではありませんでした。


キラーが現れた時は天誅なのだと本気で信じた程です。


そしてキラーを知る為科学者募集枠として軍に雇われる事になったのです。


私は神の顕現であるキラーの謎を解き明かしたいと強く思いました。


そしてある日マツダさんが現れました。


私にとっては神が降臨したと思えるほどの衝撃でした。


この事象が神ではなく人によってもたらされた事が衝撃でした。


だとしたらなんと切ない感情を持った儚い存在なのだろうと。


本題から逸れましたがいわゆる私にとってマツダさんは神のような存在という事です。


ですのでマツダさんは完璧な存在でなければなりません。


私はマツダさんの肉体を完全存在にするために協力を仰ぎました。


マツダさんにキラーの制御を行ってもらいたかったのです。


眠っている間に四肢の強化と脳に働きかけてマツダさんが感じている怒りや憎しみの感情を呼び起こさせてもらいました。


まだ何か足りないものがあるのでしょうか?


そして問題のクローンに対して私は意図的に怒りの感情を与えました。


すると案の定クローンの怒りに呼応するようにキラーが発生してくれたのです。


これでまた私達を苦しめた人間共に制裁を加える事ができます。


私の仮定が証明された事でさらなる制裁を加える事が出来るでしょう。


ですがこれらのキラーはなんと頼りない事でしょう!


マツダさんのキラーと違い小さく動きも頼りないのです。


私は間違っていました。


マツダさんの変わりなどクローンにはできません。


身勝手なお願いではありますがどうか新たに現れたキラーを全て討伐してください。


マツダさんの今の身体能力ならば造作もないことでしょう。


あと私は訳あって軍から追われる身となりました。


赤石少佐がマツダさんをぞんざいに扱う事が許せませんでした。


父のように慕っていたのにとても残念です。


これから私はキラーの存在を正しい存在へと導くためにやらなければならない事があります。


そのために資金が必要なのです。


石田舞衣子の様になってしまうと思うと大変心苦しいのですが恥を承知でお願いします。


私たちのように苦しむ人のいない世界を私は目指しています。




追伸


私たちの赤ちゃんは二人とも無事です。>



 俺はこの手紙を見た時どれほどのショックを受けただろうか。


何が善で何が悪かもわからずに手紙に記載してあった海外の口座にお金を送信するために直ぐに銀行に行った事もホテルに戻ってから後悔した。


何度読み返しても悪意が無く俺に真っ直ぐな歪んだ気持ちを向けてくれる一条に嬉しくも怖くもなった。


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