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50、キラー大量発生

 マツダと一条が去った基地は沈黙と不安で静まりかえっている。


最後の一体となったキラーも国内に姿を現す事も無く、執務室から聞こえる電話の音が薄らと聞こえてくる。


赤石は執務室に籠りきりになって作戦室に姿を現さずに海外基地や政府とのやり取りで身動きが取れなくなっていた。


斎藤や大塚も手持ち無沙汰に作戦室に集まっているが特にやる事もないので開いた席に座っている。


一条の席だった場所に座った斎藤はマツダの情報を眺めているが、暫くの間宿泊施設から動かず生体反応は目立った数値を見せず、脳波も常に一定だ。


キラーが発生しないのも頷ける。


高城も海外のキラー発生状況を監視しているがそれぞれに国がそれぞれの対策を行っているため被害も殆ど無い。


マツダのいない海外では特に軍も動かず少しばかり発生した死者の報告を各国の基地に送信しているだけのようだ。


そういった状況が既に二か月程続いており、基地内にも以前のような緊張感はなかった。


「高城さん、今日のお昼何食べます?」


昼勤のオペレータがお昼食の相談を始めるのもここ最近の定番となっている。


「今日はお弁当。最近出前ばっかりで少し体重増えちゃったのよね~」


「俺、日替わりランチね」


斎藤も昼食のやり取りには毎回参加していて、皆の注文を聞いた昼勤のオペレータが一括して出前の注文をしていた。


再び作戦室に静寂が訪れるが先程まで黙っていた大塚が静かに口を開いた。


「結局マツダの奴がキラーの発生原だったんだろう?なぜあいつを消さないんだ?」


以前に一条からミーティングルームで報告があった<マツダが発生源でマツダがキラーを倒すとマツダの生体の一部が破壊される>という話が話題に上がる。


「彼がキラーを討伐しなければ彼だけが消えてキラーだけが残る危険性があるからだろう。火器が通用しないキラーだけが残ってしまえば我々は終わりだ。ゆっくりと人類滅亡を待つ事になる」


斎藤がモニター監視に飽きて背もたれに体重を預けポケットに手を入れながら椅子を大塚の方に回転させながら返事をする。


「じゃあ討伐を急がせるしかないよなぁ?なんで早く最後の一体をやらないんだ?」


「キラーが出ていないだろう。彼が右足を失ってから国内ではキラーが発生していないし、発生したとしても彼の近くに発生してくれなければ討伐は難しい」


「例の兵器を日本中にばら撒けばいいだろう?」


「二体しかない。君は安直だなぁ」


大塚が面白くなさそうな顔で椅子に浅く座りなおし天井を見つめた。


再び作戦室に静寂が訪れると赤石が作戦室に現れた。


椅子に浅く腰掛けていた大塚と斎藤は立ち上がり敬礼をする。


普段ここまでかしこまった事はしないが暫く赤石が執務室に籠っていて姿を現さなかったのとだらしない座り方をしていた自分達への戒めだろう。


赤石は片手で二人を制すと司令官用の椅子の前まで行き、皆の方に向き直る。


「諸君に聞いて頂きたい。我々は〈MK,ONE〉を米国に引き渡すことになった」


「ちょと!正気ですか!」


一同絶句している中、斎藤が叫び声を上げる。


「以前からマツダさんの引き渡しに大して強く圧力をかけて来ていました。そろそろ我々も動かなければ国家間の協定の破棄と軍事力による掌握という最後のカードを切られる事になります」


「じゃああいつをそのまま差し出せばいいでしょう!?」


大塚も先程斎藤に放った自分の意見をここぞとばかりに主張する。


「引き渡すのはあくまでもコピーです。コピーとオリジナル、あなた方は引き渡すならどちらを選びますか?もしくは、どちらも渡さないままで両方とも奪われますか?我々に選択肢はありません。」


再び作戦室に沈黙が訪れ、大塚が立ち上がる。


「じゃあ、どちらも渡さずに戦おう。」


「それは不可能です。大塚君、我々は軍人ですよ?引き渡しは上からの指示でもあります。この指示に逆らう事が何を意味するかわかりますね?」


軍の指示に従わずに勝手に攻撃を行えば重罪が確定する。


最悪その場で極刑という事もあり得るだろう。


これには大塚も反論が出来ない。


「それでは斎藤君、引き渡しの準備を行ってください。指示書はそちらのコンピュータに送るので米国のインターフェースにセットアップを行ってください」


「了解です」


軽く敬礼をすると斎藤が後ろ頭を掻きむしりながら作戦室から出て行った。


「私達、これからどうなってしまうんでしょうか?」


今まで黙っていた高城も一区切りついた所でようやく口を開く。


「最後の一体が討伐されれば我々は討伐軍は解体、3階級特進された後元居た部隊に再配置される予定です」


「そいつは、悪くはないな・・・」


話を聞いていた大塚が再び椅子に座り背もたれに体重を預ける。


すると、一瞬静まり返った作戦室に警報音が鳴り響いた。


「高城君、状況を報告してください」


警報音と共に赤石が指示を出し、高城も深く椅子に座りなおした。


高城がキーボードを少し操作すると急に動きを止めた。


「高城君?どうしました?」


「う・・・嘘でしょ・・・」


出動準備の為入り口前まで移動していた大塚も高城の異常な雰囲気に一度立ち止まった。


「キラーが、また、キラーが増えています!」


25日日曜日は定休日です。

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