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41、夢の答え

 目が覚めると見慣れた病室の天井だった。


先程まで見ていた夢の内容は背中の温もりごと全て覚えている。


夢同様に寝ている間に泣いていたのだろう。


目尻から続く涙の跡がまだ湿気を帯びていた。


以前と同じ状況であれば左足が義足になっているだろうと手を伸ばすと案の定左足は義足になっていて、腰辺りが痛むが足の感覚は無かった。


胴体が生体であるお陰で腕や足の重みで足の動きを感じる事が出来る。


ゆっくり上体を起こし見回すと一条がベッドの隣で寝ている。


俺が起きた時にわざわざベッドに運ばなくて良いように気を使ったのだろうか、前回の様に床で寝られるよりはいくらかましだった。


俺は一条を起こさないようゆっくりとベッドから足を下ろすと院内着から覗くふくらはぎからつま先の義足のリアルさに嫌悪を感じた。


立ち上がると腕と違い床の感触が無く、腰だけが上体の重みを感じているような感覚は立っているという感覚と違い酔いのような物を感じる。


これならばいっそ両足が義足になってしまった方が楽なような気がして次のキラー討伐を想像する。


俺は状況の確認をと思い、おぼつかない足取りで作戦室に向かった。



 作戦室に入ると赤石がオペレータ用のモニター前でキラー発生時の映像を見ていた。


「おはようございます。俺が起きるまでどの位経っていますか?」


前回は2ヵ月程寝たままになっていたようなので状況確認のために時間経過を尋ねた。


「今回は3週間でした。一条君が次に足が欠損しても直ぐに対応できるよう空いた時間で義足の制作を進めていたようですね」


赤石がモニターに目を向けたまま答えゆっくりこちらに振り返った。


「所でマツダさん。先日の討伐時に一般人をキラーにけしかけていましたね?訳を聞かせてもらえますか?」


説教でもしようと言うのだろうか、前回前々回のような労いの言葉は無かった。


俺はキラー発生前の経緯を包み隠さず答え、耳打ちした内容まで正確に答えた。


「そうですか、各国の要人にもこの映像を提出しているもので、どうしてこのような状況になったかを説明しなくてはならなかったので助かります」


まるでキラー討伐の事は何もなかったかのような話しぶりに鼓動が高鳴るのを感じた。


だが、自分が発生源でキラーの行動の基となっているとわかった今、赤石に反論する余裕はなかった。


俺自身が俺自身を疑い、危険人物だと認識しているのだから他人がそう感じてもおかしくはない。


今まで何年もキラー討伐の指揮をしていた人物ならばなおさらだろう。


「俺が眠っている間はやはりキラーの出現は無かったんでしょうか」


前回は2ヵ月物間キラー発生が無かったので今回も同様にキラーは発生していないだろう。


「いえ、マツダさんが寝ている間にも日々キラーの発生はありました。断続的ではありますがね」


「俺の怒りが発生源で俺が寝ている間は発生しないのではないんですね?」


夢で見た内容までは話さなかったが一条の仮定程度のことは赤石も把握しているだろうと鎌をかける。


「そうですね、一条君の言っている仮定はあくまでも仮定。科学的根拠が無ければただの仮定に過ぎません。仮定を証明できない限り各国には手出しさせませんのでご安心ください」


案の定一条の仮定は既に把握済みで、海外勢にも知れ渡っているようで俺を何らかの処分対象にしているという事だろう。


永遠に寝かせておくにしても今回のように寝ている間の夢でさえもキラーが発生するようなら処分した後の霊的な不確定要素でキラーが発生する可能性を完全に取り除かなければ簡単に処分できないという事だろう。


「なるべく残り2体、処理しますのでご協力お願いします」


本来軍から協力を要請されていた事も忘れて自分自身の後始末の手伝いをお願いするような気持ちになっている。


「もちろんです。キラー殲滅は我々の目標でもありますから是非マツダさんも軍への協力をお願いします」


最後は形式的な挨拶を済ませ、作戦室を出た。


現在討伐できているのは3体のキラーで既に両腕と片足を失っていて残りのキラーは2体。


次に失うのは右足か、それとも頭部か。


この流れだと右足から失うのだろうが最後の1体を倒した時恐らく俺自身が消滅する。


恐らく頭部が飛ぶのだろうが実感はなかった。


最後は胴が破裂して一条に何事も無かったかのように機械化して貰えるのだろうという甘えもあった。


俺は未だおぼつかない足の重みを腰に感じながら病室に戻った。


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