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39、仮定の証明

 キラー発生から作戦室に駆け付けた一条は直ぐに高城の席に座り状況の確認を行った。


場所は商業区繁華街、時間も相まって人が最も多い条件が揃っている。


直ぐに待機中の部隊と医療施設への救急車両の手配を行いモニターに映っている監視カメラの映像を見るとマツダが男性に耳打ちして引きちぎった道路標識を持たせている。


その後短くなった鉄パイプを持った男がおぼつかない足取りでキラーに向かって走りキラーに突き刺そうとした時一瞬消えたキラーが男の後ろに現れると男は勢いよく横に吹き飛んでいった。


一条はモニター越しに繰り広げられている出来事に身動きが取れずただ黙って眺めている事しかできなかった。


男が吹き飛ばされるとマツダは後ろポケットから携帯電話を取り出した。


恐らくこちらに連絡をしてくるだろうと我に返り、白衣のポケットから携帯電話を取り出す。


するとオペレータシステムからマツダからの着信が表示される。


携帯電話を机に放って直ぐにイヤホンの通話ボタンを押した。


「マツダさん、今キラーの現場にいますね!?」


既にモニターで状況を把握していた一条はこちらから状況を尋ねる。


マツダは一条にドローンで火器を輸送するよう依頼するが火器だけを運ぶ準備がまだ出来ていない。


今日残業してでも火器を携行していけるよう搭乗部を改造していた所だった。


先程も見た通りキラーはマツダの前では遅くなるようなので今の所被害は少ないようだ。


「わかりました直ぐに手配します。無理はしないようになるべく被害を抑えてください」


マツダとの通話が終わるとすぐに研究室に内線を送り先程一緒に作業をしていた斎藤に銃の輸送を依頼する。


「無茶言うなよ!さっきカバーを外したばっかりでしょう!」


作業中だったので火器をセットする器具の取り付けも終わっておらず、鳥などの衝突を防止するために作ったカバーも一度外してしまっている。


「まだフレームが残っているでしょう!フレームに結び付けて飛ばしてください!」


「わかったよ!くそぅ!」


斎藤もイヤホンで話しているようで捨て台詞と同時に走り出していた。


まだキラーが発生してから5分も経っていないので急いで火器の取り付けを行えばキラー発生から10分程で火器を渡すことができる。


この火器でキラーが討伐出来た時にマツダの四肢が失われる事があれば一条の仮定は証明されたことになるだろう。


一通りオペレーションが済むと自席に戻りマツダの生体反応をチェックする。


やはりキラー発生直前にアドレナリンが大量に分泌されている。


自席からも見られる監視カメラの映像を表示させ様子を覗うとマツダはゆっくりと後退し、キラーはゆっくりと距離を詰めている。


被害が少なく済むにはマツダの存在が必須なのだろう。


こうして時間を稼いでいるだけでも十分な効果が期待できた。


マツダは少しかがむとキラーに向けて何かを投げつけた。


「そうか!」


思わず声に出し画面にくぎ付けになった。


射撃訓練所で行った時も的が砕ける程の威力で物を投げることが出来る。


小石程度ならば弾頭と同じかそれ以上の威力がある。


大きな声に宿直のオペレータに話しかけられたようだが画面に集中している一条には聞こえていないようだ。


マツダはもう一度かがむと今度は前よりも大きく振りかぶりもう一度投擲する。


するとキラーの上半身が吹き飛び、同時にマツダも倒れこむ。


今度はマツダの左足がその場に取り残され、右足を軸に上半身から前に倒れこんだ形だ。


やはり一条の仮定は正しく、キラーとマツダには関連付けられたものがあり、キラーを討伐すると一条の体の部位が破損する仕組みになっている。


全て倒したとき、マツダはどうなるのだろうと一条は憂いた表情を浮かべる。


「ドローンが到着したぞ!」


斎藤から内線が入ったがもう既に遅く、一条は引き返すよう指示を出す。


再びモニターに目をやるとキラー討伐現場付近にいた野次馬が押し寄せキラーとマツダの周りに壁を作っている。


この状況で足を怪我した人を介抱する人もいない事に怒りを覚え一条は拳を強く震わせた。


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