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34、怒りの末起こった事

 一条と斎藤の口喧嘩が終わりようやく解放された俺は一時帰宅してシャワーを浴び、テレビをつけてソファーに体を預けた。


先程大塚に全く歯が立たなかった事が悔しく格闘技の試合を見て勉強しようという試みだった。


ただ、昼前の時間に格闘技などやっておらずテレビのリモコンを操作すると動画配信サイトに直接繋げられるボタンがある。


元々機械やコンピュータは苦手ではないので迷わず押すと間もなくおすすめ動画一覧が現れた。


こういったサイトは個人が動画を編集して投稿しているものが多く、膨大な数の動画を検索できるのだが、おすすめにはキラー発生時の映像が並び、人々の関心が高いことがうかがえる。


いくつか再生数の多い動画を再生してみるが殆どが淡々と現場の状況を垂れ流した動画が殆どだった。


その中でもキラーハンターという動画投稿者の再生数が著しく多くサムネイルも派手に作られている。


再生してみると内容の品の無さに驚愕した。


撮影者はキラー発生場所に急行すべく信号無視を繰り返す所から始まり、現場近くに行くと死体にはモザイク処理がされてはいるものの現場の壮絶な雰囲気が十分に伝わる。


ただ、はしゃいだように下手糞なアナウンスをしながら時折笑いながら撮影している。


動画を見ながらこんな不謹慎な奴が真っ先に狙われて死んでしまえばいいと苛立ちながら見ていると先日聞いたサイレンが部屋の中に流れた。


このサイレンはキラーが発生した時に流れるサイレンだと以前に一条が言い、急いで部屋を出て行った時の事を思い出し、それに習って急いで基地に向かった。



 基地に着くと皆作戦室に集まっているが慌ただしい雰囲気はない。


「お疲れ様です。部屋でサイレンが鳴ったので来たのですが」


息を切らしながらすぐに出撃できるよう入り口前で皆に声をかける。


協力しているとはいえ一応部外者なので軍からの指示を待った。


「マツダさんの自宅にはサイレンが付いているようですね。一条君の仕業ですね?」


赤石が一条を「やれやれ」とでも言いたそうな目で見る。


「ですが、サイレンのお陰で早くこちらに駆け付ける事ができました」


俺は一条を庇うように赤石をなだめた。


「マツダさん、今回は出番無さそうですね」


高城が息を切らした俺を哀れんだ目で見る。


先程サイレンが鳴りここまで全力で走って来たおそらく2分もかかっていないだろう。


「今回はキラー出現後すぐに消失してしまっています。現在は現場確認のために1分隊と救護班が向かっています」


続いて一条が現在の状況を知らせてくれた。


しかし今までであれば15分程度は続くはずの襲撃が今回は2分以内に終わった事になり、この計算だといくら急いで基地に向かってもその後ドローンで現場に向かう事など不可能だ。


また、今回に限っては懸念していた怒りが動画閲覧で起こったのだとすると自分に責任がある事になる。


考えれば考える程自分の思考が恐ろしく感じた。


「マツダさん、到着まで早かったですね」


一条がこちらち近付き労いの言葉をかけてくれる。


「全力で走ってきましたからね」


既に上がった息も落ち着いていた。


「マンションにマツダサイクロンを常駐させようと思っていましたがこれなら基地に置いたままで大丈夫そうです」


そう言うと一条が笑顔になる。


俺は一条に笑顔で頷いて返すと赤石に声をかけ試してみたい提案をした。


「赤石さん、お願いがあるのですが」


「なんでしょう?」


赤石は今後の対応の事もあるだろうが一度手を止めて話を聞いてくれた。


「もし、次俺が出撃する事になった場合、銃を一つ持たせてもらえないでしょうか?」


先日の一条の仮定の話を検証するためだった。


「そうですね、また素手で戦ってはまた大怪我をする可能性もありますし。少し手続きは大変ですが銃の携行の許可申請を出しておきます」


「私もそれがいいと思う。義手が壊れたら今のように自由に動かせなくなる可能性もありますし」


一条のお墨付きも貰い次からは銃で戦う事ができそうだ。


これで俺の四肢が吹き飛ばなければ一条の仮定を否定することができる。


「出撃が無ければ俺はこれで」


このままここに留まっていても邪魔になるだけだろう。


早急に部屋に戻り今日のキラーの被害状況をニュースで確認しておきたかった。


軍の報告ではあまり詳細は知らされないがニュース番組だと著名人が犠牲になった場合などに公表されるからだ。


先程の怒りによって万が一あの時見ていた動画配信者が犠牲になっていた場合、怒りによりピンポイントでその人物が狙われた事になりかねない。


俺は軍の基地に向かった時同様急いで部屋に戻った。


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