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33、マツダサイクロン(仮)

 斎藤に付いていき作戦室に向かうと8時50分で既に皆そろっていて一条の姿もある。


一瞬に感じた戦闘訓練もそうとう長い間行っていた事になる。


息が上がる程度で済んだのが嘘のようだった。


「今回は海外での発生が2件ですがこちらにも発生する可能性が否定できません。各自持ち場で待機をしてください」


赤石が皆に指示を出し、皆が敬礼する。


俺は軍に所属していない為敬礼は行わずに軽く頷く。


大塚が一早く作戦室を後にし斎藤もその後に続いた。


オペレータの高城や一条はモニター前で待機。


俺は、決まったポジションが無く、赤石に研究室に行くと伝えてから作戦室を後にした。



 渡り廊下で先日一条に言われたことを思い出し、外を眺めて立ち止まる。


(もし、一条の言う通り俺が発生源だったとして、なぜ俺なのだろうか。前回のデパート同様今回も発生前に凄く苛立っていた事が原因なのではないか)


考えを巡らせれば巡らせる程悪い方に考えてしまい、自分等いない方がいいのでは?などと悪い方に考えてしまう。


とにかくまだ俺が発生源であると確定したわけではない。


次のキラーを討伐した時に四肢を失わなければ一条の仮定も証明されない事になる。


先程大塚との訓練で苛立っていた事が原因だとすると、不安材料である怒りの感情を抑えるよう人との関りをなるべく減らさなくてはならない。


一度考えを前向きな方向に考え直し斎藤の待つ研究室に向かった。



 研究室の扉をノックし中に入ると斎藤が待っていましたと言わんばかりに両手を広げて迎えてくれた。


「お待ちしていました。どうぞ奥へ」


大げさに迎え入れられ奥の工作室に入る。


中は壁いっぱいに木箱が積んでありそれぞれに英語の伝票が張ってあるところを見ると中には部品が入っているのだろう。


中央には4基の大きなプロペラを積んだドローンが周りの木箱に協調するような存在感を放っていた。


プロペラの枠は中央の十字のフレームで支えられていて十字フレームの下にはいびつな形の羽が2枚、そこからさらに下にフレーム伸びていた。


「凄いですね。これで現場に早く到着できそうですね」


「ああ、このドローンは人を乗せたままでも最大100キロの速度が出る設計になっている。そのためには人の入る箱を作れなくてね、マツダさん用に調整をしたかったんですよ」


ドローンに中央には人が乗る、というよりはしがみつけるようなハンドルや足場が付いているだけの簡単な作りをしている。


「ここに、乗るんですか?」


呆気にとられたまま指を指して斎藤に尋ねる。


100キロの速度で空を飛ぶマシンにしがみつくだけなど危険極まる乗り物に乗らなければならないと考えると不安でしかなかった。


「大丈夫、ハンググライダーだって100キロ近く出るんだからプロペラで制御できるドローンはもっと安全ですよ」


安全の根拠が曖昧だが斎藤には全く動揺する素振りが無い。


恐らく本当に安全だと思っているのだろう。


「それに、マツダさんの義手施術の時にドローンの操作方法のプログラムをしてありますし腰回りにベルトがあるので手を放しても落ちないでしょう」


確かによく見ると腰の高さに車のベルトのようにワンタッチで取り付けられる帯のようなものが付いているがかえって頼りなく見える。


「で、俺は何を手伝えばいいんです?」


半ば諦めた様な呆れた声で斎藤に指示を促した。


「乗ってみて、感想を聞かせて欲しいんです!」


急に上機嫌になった斎藤にたじろぎながらも渋々ドローンの中央にある人が立てる足場に立ち、腰の安全ベルトを装着し、頭の上にある安全バーにしがみついた。


「これでいいんですか?」


鉄棒にしがみついているだけの間抜けな格好になっているだろうと思いあまり気が進まなかった。


この格好のまま飛んでいる所を見られれば当然変な格好だと思われるだろう。


「それでは、右手人差し指位置にあるボタンを押してください」


斎藤に言われるままに右手人差し指位置にあるボタンを押すといびつな形をしたプロペラが降りてきてまるでたい焼きを焼く鉄板のように張り合わせられる。


これで恥ずかしい思いをしなくて済むと思ったが明かりも隙間も無く何も見えなくなる。


少し経つと目の前が明るくなり、目の前にディスプレイが現れた事に気付く。


流石高額な予算を貰っているのだろう、モニターには外の映像がそのまま映し出されており、温度や高度、速度などの情報も網羅されている。


今度はモニターから音声が流れ、斎藤の声がする。


「マツダさん!いかがでしょう!?どこか強く挟んでいる所はありませんね?」


再び上機嫌の斎藤の顔がモニターに映し出されるが顔を背けても顔に合わせてモニターの表示位置も動くようだった。


「ええ、ぴったりですよ」


これはまた面倒な人に捕まったと思いご機嫌取りをする。


すると、モニターに映る斎藤の後ろに一条が映り込み斎藤を引っ張っている。


「斎藤さん、私のいない間に遊ばないでください。最初の調整は私がするって言ったでしょう?」


「いいじゃないか!僕が組み立てたんだから変な所が無いかないか調べないといけないだろう!」


「マツダさんのサイズは隅々まで調べてあります。そのうえで設計しているのだから設計図通りに作れていればマツダさんにジャストフィットするはずです。もしかして、どこか勝手に変えているんじゃないんですか?」


「そんな事するわけないだろう!それより、待機はいいのかね?」


明らかに年上な斎藤に負けていない一条を見ると階級は斎藤の方が上だが一条の方が技術力が上という関係なのだろう。


ただ、ドローンの中に放置され、暫く二人の口喧嘩をただ眺めてため息をつく事しかできなかった。

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