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24、戦闘訓練

 大塚と一緒に研究室から出ると建物の裏口から外へ出た。


建物裏に訓練所があり、戦闘訓練射撃訓練ができようだ。


「まずは戦闘訓練だ。身体能力がどの程度なのか見せてもらう」


軍の施設とはいえキラー出現から急遽作られた施設の為、それほど広くなく、裏口から出てすぐの建物の中に入った。


1階は様々なトレーニングマシンと戦闘訓練用にサンドバッグやリングが設置されていた。


大塚がリングの上に立つと手招きして俺に上がるよう促した。


「まずはどのくらいのものか見せてもらう」


「喧嘩もしたことがないんですから、あんまり期待しないでください」


ロープの隙間に体を潜らせながら予め遠慮しておく。


「まずは俺に打ってこい」


そう言って顔の前で拳を構え戦闘態勢を取る。


俺も真似して同じ格好をした。


「ちょっと待て、やっぱりまだだ」


大塚が何かを思い出したように両手を前に出し牽制した。


「どうしました?」


「お前、コンクリート塀を破壊できるんだったな。まずはそこのサンドバッグを殴ってみろ。いきなり本番で俺が挽肉にされたらたまったもんじゃないからな」


大塚の言う通り、義手に代わってから殴る動作をしたことが無い。


一度リングから降りサンドバグの前に行く。


大塚はリングの上から指示を出した。


「まずは軽く殴ってそのあと少しづつ強くしてみろ」


一度頷き、義手の右腕から試す。


ポンと軽い音が鳴った。


「はっはっは、それじゃ軽過ぎだろう。義手じゃない方の左で本気で打ってから同じ力で右でもやってみたらどうだ?」


「わかりました」


大塚に言われた通りに左で思い切り打つ。


今度はパンと高い音が鳴り、サンドバッグを大きく揺らした。


「おいおい、左でそれかよ!」


驚いた声を上げ大塚がリングから降りて近づくと俺の腕を掴むように確かめる。


「どうしました?」


「こりゃ驚いた。一条の奴とんでもない事をしやがったな」


本人の前だけ比較的低姿勢な所を見ると軍の階級というのがどれほど重要かがわかる。


「寝ている間に鍛えておくとは言っていたが、これは相当なもんだな」


「そうなんですか?」


「おまえなぁ、自分の体だろうに。わからないのか?」


「路上生活している頃よりも元気なったのは感じていますよ?」


「そうじゃない。これは鍛え上げられぬいた軍人の体つきだ。義手なんてなくても素手で人を殺せちまうよ。いや、熊だってやれるかもな」


そう言って肩を拳で小突いてきた。


「そうですか、そんなに鍛えて貰えたんですね」


「そうですか、じゃあないよ。何年も辛い訓練しないとそんなにならない。それを寝ている間に手に入れられたんだ。もっと喜べよ」


大塚が再びリングに上がっていく。


「力があっても動きが伴ってないと戦闘は出来ん。やはり軽くスパーリングだ」


そういって再び手招きをするので一つ頷いてリングに上がる。


「動きを見るだけだ。素早く軽めに打ってこい」


大塚が再び戦闘態勢になる。


「いきます」


大塚の闘志に応えるよう同じく戦闘態勢を取る。


昔はよくボクシングの試合を見たりしていたので見様見真似でステップを踏んだ。


大塚の言う通り体中の筋肉が鍛え上げられているかのように体が軽く感じる。


思い切り地面を踏み込んで大塚に飛び掛かったが、寸前で受け流されてしまう。


「悪くない、悪くないが動きが分かりやす過ぎる」


拳を避けながら大塚の突きが横腹に入る。


衝撃はあるが強い痛みはない。


おそらく寸止めというやつだろう。


暫く避けられては軽く打たれる流れを繰り返すうちに当てられない悔しさと焦りで無意識に打ち込む力を強めていった。


「ちょ、ちょっと待て!」


大塚が大きく後ろに下がって両手を振る。


「はぁ、はぁ、どうしました?」


「これを見ろ」


大塚が自分の頬を指差すと頬の辺りが切れ血が流れている。


「どうしたんです?」


「どうしたじゃないよ、お前にやられたんだろう」


「え、当たってないですよね?」


実際に当たった感覚が全くなかった。


「当たってないが僅かにかすっただけでこれだよ。無意識に力みやがって、避けるので精いっぱいだ」


そう言いながらリングから降りていく。


「すみません。全然当たらないので熱くなっていたかもしれません」


全く当てられなかった悔しさから、ロープにもたれ掛かりながら平謝りをした。


「お前の右はどこに打ち込んでくるかわかっていてもこのざまだ。しかもまだ本気で打ちこんできていないだろう?」


黙って頷く。


「今はまだお前の目がどこに打ち込んでくるかを教えてくれるからいいがわからなかったらもう避けられん」


「どうすればいいですか?」


「打ち込む場所を見るな。目線ですぐにわかる。あとは慣れだな。時間があれば明日以降もやる。但し、明日以降ば防具を着けさせてもらう」


大塚に投げ渡されたタオルで汗を拭きリングから降りると階段前で手招きをする。


「今度は2階だ」


言われるがままに一緒に2階へ行くと射撃訓練場だった。


小さなテーブルの前に白線が引いてあり、白線の向こうには人型のプレートに的が記されている。


壁には一通りの火器が陳列されていて日本人にとっては見慣れない風景だった。


以前にゲームでゾンビを倒すゲームなどをやったことがあり、その時に見た拳銃などは無かった。


大塚は一番小さな拳銃に弾を込めた弾倉を差し込みこちらへ差し出した。


「まずはこれだ。さっきの訓練の様子だと右利きだろう?力入れ過ぎて握りつぶすなよ?」


そう言ってにやりとした。


「ゲーム世代なんで、狙い方位知ってますよ」


先程の悔しさを晴らすかのように得意げに言う。


実際に撃ったことはなくても見様見真似で何とかなるだろうと思っていた。


受け取って銃を握り白線の前に立ち、的を狙った。


義手のお陰か作り上げられた体のお陰か狙った所、しかも中心に当てる事が出来た。


的は人型プレートの頭部、心臓部、肩にあったがすべての的の中心を射抜いていた。


「やるなぁ。ゲーム仕込みもなかなか馬鹿にできないな」


大塚に褒められていい気になり射撃を続けたが、何度的を狙っても同じ中心を射抜いていた。


「おいおい、狙撃中じゃないんだからそれはないだろう」


大塚が鼻で笑いながら肩を叩いてきた。


「すみません、言い忘れていましたがマツダさんの義手には特殊能力を沢山積ませてもらっています」


階段から一条が自慢げな声を上げて昇ってきた。

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