2、目覚め
目が覚めると病室の中にいた。
目を開けるのが精一杯だが酸素マスクや点滴のような管があるように見えた。
左手は動かないがやはり右腕の感覚がなかった。
看護師と思われる女性が近くにいたのか、目が覚めた俺に気付き近づいてくる。
「もしもし!聞こえますか?」
近づいてくるなり大きな声で話しかけてきた。あまりの大きな声に目をひそめる。
「少佐、彼が目を覚ましました!」
今度は少し離れてマイクに話しかけているようだった。
(ん?少佐?ここは病院ではないのか?)
再度先ほどの女性が話しかけてきたようだが再び意識が遠のいていった。
どのくらい意識を失ったかわからないが先ほど目覚めた時よりも周りが騒がしく、さほど時間は経過していないようだった。
看護師のような女性と軍服を着た中年の男が傍らに立っている。
「目が覚めましたか。」
中年の男性が少し顔を近づけてきた。
軍人のようだが体つきは華奢で前線で戦っている兵士だった様子はない。
少し細長の眼鏡がいかにもエリートという雰囲気の男だ。
今度は少し首を動かして頷いてみる。体に痛みが走り、思わず眉をしかめる。
「まだ多少痛むでしょうが快復に向かっています。色々話をしなければならない事があるのでまた後程。身の回りのことは一条大尉が担当するので何かあれば彼女に言ってください。」
そう言うと男性は部屋から出て行った。
最初に目覚めた時よりも意識がはっきりしてきたおかげで多少周りを見渡すことができ、先ほどの看護師のような女性は軍服の上に白衣を羽織った軍人のようで、一条という名前のようだ。
白衣が似合わない程背が低く、高い位置で結ったポニーテールで若い髪形だが、淡々と話しをする所は軍人らしい雰囲気がある。
「意識が戻ったのならもう大丈夫ですので。起き上がれますか?」
そう言いながら酸素マスクやチューブ類を手際よく外していく。
ようやく自由になれた気がしたので恐る恐る体を起こそうと思った。
が、右腕がある事に驚いた。だが、元の右腕ではなく機械式の義手だった。感覚はなかったが自然と起き上がる動作を行っていたようだ。
「あの、これ、、、」
義手を指差して一条に尋ねた。
「あぁ、それは軍からのお礼なので気にしないでください。先程少佐から紹介していただきましたが私は一条と言います。軍医をしています。よろしくお願いします。」
そういって右手を差し出してきたので新しい右手を動かしてみる。
思うように動くようだったが一条の手の感触はわからなかったが、何かを握っているという感覚だけはあるようだった。
「マツダさん、立ち上がれますか?腕以外は破損していなかったので元通りのはずです。」
破損という表現に少し違和感を感じたが、新しい腕の付け根以外は先日の死闘を行う前よりも調子が良い。
簡単に立ち上がれそうだったので言われるままに立ち上がった。
「良かった。実は意識を失っている間に軍の睡眠トレーニング用の器具をつけていたので筋力は軍人並みになっていると思いますよ。」
確かに体全体から力がみなぎってくるようだった。こんな力が初めからあったら、、、




