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17、合コン騒動

 商業区の繁華街について間もなく川野が優柔不断を起こしなかなかお店が決められなかったが、石田が個室のある落ち着いたお店があるとの事で石田の勧めるお店に行くことになった。


イタリアンレストランのようだがちゃんと個室があり、今日の集まりにはうってつけだった。


部屋に入ると川野が仕切り、席順を決めていく。


幹事の川野とユメちゃんは対角で一番遠い位置へ、川野の隣からセイヤ、レオ、俺。


女性側はユメちゃんの隣からノア、ユリ、石田という席順に決まった。


正直、若そうで賑やかそうな面々にビビっている。


はじめは簡単な自己紹介から始まり、その彼氏は居るのかだとか好きなタイプはだとかの話が始まり皆盛り上がっている。


この手の会話は苦手なので適当に相槌をしておいて自分を順番は適当にやり過ごす。


その後仕事の話になった時皆アパレル系の仕事をしているようで業界ネタで盛り上がる。


そして俺の番が回ってきた時、川野が騒動の口火を切る。


「マツダさんはぁ、職業勇者だからぁー!」


「え?」


無職で通そうと思っていた所に余計な野次が入る。


川野にだけはキラー討伐の事を知られているのでおそらくその事を言っているのだろう事はすぐに分かった。


「え、なになにどゆことっすかー」


隣のレオも川野のノリに乗っかってくる。


「別にただの無職だから」


露骨な苦笑いで早くこの子供のノリから解放されたかった。


「いやいやいや、ノリ悪いっしょーマツダちゃーん」


目の前のユメちゃんも乗ってくる。


なれなれしいユメちゃんとしつこく追及してくるレオに苛立ちを覚えた。


他の4人は途中から興味がないという雰囲気でただ話を静観しているといった風。


ここで川野が余計な事を言う。


「マツダさん、実はこの前のキラー討伐の勇者なんだぜー!」


この瞬間、一瞬場が静まりかえったが


「タクさんそれは話飛びすぎっしょー」


とセイヤが助け舟を出してくれた。


「そうそう、俺なんかにやれるわけないよ」


「いいや!マツダさんの伝説の右腕が真実を物語っている!」


解説風なテンションで俺の右腕を指差す。


隣のレオが袖を引っ張り義手用グローブよりも多くたくし上げた。


グローブは手首よりもほんの少し長い程度なのですぐに義手の部分が露になった。


金属でできた筋肉の標本模型のような義手は一般に流通している義手とは明らかに違う。


「おお!すっげー!」


「きゃー!」


珍しい義手は大いに盛り上がった。


その後は会場からの質問攻めや義手鑑賞会などが開催され一躍この場の中心人物扱いだ。


はじめは大きく盛り上がり称賛されいい気になっていたが、段々とお金の話になり鬱陶しい雰囲気になる。


「今日はマツダさんにごちそうになっちゃおう!」


川野が調子に乗って妙な提案を始めた。


自分からごちそうするのは良いが人に勧められてごちそうするのはお金をせびられているようで気分が悪かった。


「わかったわかった、今日はごちそうするから俺はもう帰るよ」


お金や義手が無ければ誰も興味を示さなかったのに義手の話題からお金の話題になり、このざまだ。


一緒にいるのも億劫になったのですぐにでもこの場を立ち去ろうと財布から5万円程抜いてテーブルに置き席から立ち上がった。


「何言ってんのー!二次会もマツダさんのおごりねー」


そういってレオが二の腕を掴んできた。


今までも馴れ馴れしく失礼な発言も多かったが腕を掴まれたことが引き金になり一気に頭に血が上った。


レオの首を右手で掴み上げ踵が浮く程持ち上げる。


「俺に触るな!」


女共はきゃぁきゃぁと騒ぎだし、男共は静まり返った。


浮くほどの力で握りしめた為レオの顔は瞬く間に真っ赤に染まる。


人の顔を思えない程真っ赤な顔に我に返り、レオをセイヤに投げつけた。


「マツダさん!なにやってるんですか!」


「こいつが俺を掴んだから俺もつかみ返しただけだろう」


「殺す気ですか!」


確かに強烈な殺意が沸き上がったのは間違いない。


キラー討伐時に一度人を殺す覚悟をしている為感覚が麻痺しているのかもしれない。


アレが人だったかどうかは別として。


「もう俺に関わるな」


そう言って店を出た。



 店からでて少し歩いた所で石田舞衣子に呼び止められた。


「マツダさん、もう帰っちゃうの?」


そう言って隣から顔を覗き込んできた。


「あっちはいいのかよ」


先程の興奮が冷めず少しきつい口調になる。


「ちょっとー、私は何も言ってないんだから八つ当たりしないで!」


ごもっともだった。


悪いことをした気になり、頭が冷める。


「あぁ、それはすみません」


「許す」


正面に回り込んで満面の笑みを披露してくれた。


「そのかわり、さっき怖い思いしたお詫びにもう一軒付き合ってくれない?」

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