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16、合コン

 新しい服を手にした俺は例の理髪店に向かった。


先程石田舞衣子に毛先を整えたほうが良いとアドバイスをもらったからだ。


先程のショップからは遠くなく5分とかからなかった。


店内に入ると相変わらずファンキーな店主が話しかけてくる。


「よおにいちゃん!もう髪形飽きたってぇのかい!」


見た目はファンキーだがノリは江戸っ子のようだ。


「いえ、ちょっと毛先を整えて貰おうとおもいまして」


「おぉ!今日はデートだなぁ!」


「え!なんでわかるんですか?」


「髪形もいいけど今日は服も洒落てんじゃないか!」


「いやぁ、デートじゃないんですが、合コンに行かなきゃならなくって、、、」


「じゃあ、一番目立つように整えてやっから任せてくれ!」


「お願いします」


そういうと店主は手際よく霧吹きの様なもので髪を濡らしヘアワックスを絡ませながらドライヤーで整えていく。


するとあっという間に艶々としたウエーブヘアーが出来上がった。


「へい!いっちょ上がり!」


「早いですねー!」


あまり馴染んでいない髪形になったが否が応でもお洒落な髪形と言わざるを得ない。


常に自分に自信がある人々はこのように自分を高めているのだろうと確信した。


「ありがとうございます。先日支払いできなかったので今日は多めに払いますね」


「はっはっは!なんもいいって、気持ちだけ受け取っとくから!」


「それじゃあ申し訳なくって次また来れなくなってしまうので受け取ってください」


そして先程かったばかりの財布から高額紙幣2枚を手渡した。


「こんなにか!でもまぁ、次また来てほしいから受け取っておくな!」


「じゃあまた来ますね」


「おう!飲み過ぎんなよー!」


そしてまたビシッと立った親指とウインクを披露してもらう。



 理髪店を出た頃集合時間までまだ時間があったので、近くのホテルに部屋を取り、時間を潰す。


先日のカプセルホテルと違い少し高めなシティホテルの広めの部屋を取り、ラウンジで携帯電話の通信機能を使って最近のニュースを見て時間を潰すことにした。


〈またしても数日キラー現れず〉


〈キラー討伐後被害激減〉


のように以前まで毎日全世界で殺戮が行われていたのが緩和されているという内容が続いていた。


(俺が1体討伐できたお陰なのかな、、、)


やはり自分の成し遂げた事がきっかけで被害が激減していると実感出来てくるとキラー関係の記事を読み漁った。


気が付くと外は暗くなり、集合時間間近になっている。


「やばい」


集合場所までは直ぐだが、待ち合わせ時間ギリギリに到着するのが嫌いなのでいつも大体10分前に現場に着くように行動する癖があった。


急いでホテルから出て待ち合わせ場所に向かったが、川野はまだ来ていなかった。


合コン相手の女性は顔もわからない為来ているかどうかもわからなかった。


少し待つと川野が会った事のない男2人を連れて来た。


「マツダさーん、お待たせしましたー」


手を振りながら川野が声をかけてきて、残り二人と軽い挨拶をする。


「この二人は僕が働いてる同じ階でほかのテナントに入ってるセイヤとレオです」


「俺はマツダです。急遽参加ですよろしくお願いします」


初対面なのであくまで丁寧に自己紹介した。


2人は見るからに、軽そうな格好でいかにも若者という感じだ。


「マツダさん!硬いっすよー。今日は合コンなんだからもっとアゲていきましょ!」


と、レオ。


まだ20代前半らしく、軽いノリについていけそうにない。


間もなくして、女性陣が到着したようで


「あ、ユメちゃんこっちー!」


と川野がいかにも遊んでいそうな女性に声をかけた。


「あ!タクヤ早かったんだねー!」


(そうか、川野はタクヤって名前だったか、、、)


「あ!やっぱりマツダさんだ!」


ユメちゃんの後ろに知った顔があった。


「さっきの、えーっと、、」


「石田舞衣子ですよ!先程はありがとうございました」


「あー、そういえば石田さんも今日合コンって言ってましたね」


「そうそう!あと、今日は合コンなんだから舞衣子って呼んで下さいね!」


素敵な笑みだった。


「えー、マツダさんこの子と知り合いだったんですか?」


川野が間に入ってくるように肩に手を伸ばしてきた。


「さっき服買ったんだよ」


「そうですか、じゃあそこまで知り合いってわけじゃないんですね!じゃあ、さっそくお店探しから始めましょー!」


そう言って歩き出す。


もう2人の女性はユリという少し大人しめの女性と、ノアというカジュアルな今風の若者といった感じだ。


石田は他の3人よりも年上で、ユメちゃんの元上司なのだそう。


案の定若い衆はキャッキャウフフとはしゃぎ、俺と石田が後ろからついていく形となった。


「やっぱり今日の服の組み合わせ、カッコいいよ」


隣の石田が不意に肩を小突きながら小声で言う。


「石田さんのお陰ですよ」


すると石田が俺の口の前に人差し指を立て


「今は舞衣子って呼んで」


と、ドラマかアニメかと思うようなシチュエーションを作ってくる。


その後は気恥ずかしく、石田の事を呼ぶことができなかった。


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