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11、殺戮再び

 マツダが朝目を覚ますと昨日一条と飲んだウイスキーのボトルやロックグラスがテーブルに残ったままになっていた。


幸いにも目覚ましで起こされたわけでなく、二日酔いでもなく心地よい目覚めだった。


昨夜の話だと一条は学生時代にかなりひどい虐めがあったようで淡々と語りながらもお酒が進んでいたところを見ると余程辛い思いをしたに違いなかった。


マツダは自分の過去と重ねながら人同士の社会での生きづらさを感じていた。


現実にマツダもキラー討伐の賞金が無ければ路上で野垂れ死にしていた可能性があった。


一通り片付けが終わらせ寝室に一条がいるかどうかの確認を行う。


まだ寝ているようだった。


昨日は夕方の6時頃から飲み始めて早い時間に二人とも酔い潰れて寝てしまった為現在まだ朝の6時である。


 キッチンで先ほど洗ったロックグラスに炭酸サーバーから炭酸水を注いでいると部屋中に大きなサイレンが鳴り響いた。


「うわぁ」


と思わず声を出し、ロックグラスを落とした。


丈夫な作りだったようでキッチンの高さに落ちた位では割れず、ゴンと低い音を立てた。


「キラー発生しました!」


一条が普段より大きな声で叫びながら寝室から飛び出してきた。


昨日のままなので白衣も着たままだ。


「マツダさん、ちゃんとした挨拶も出来ませんが私はすぐに基地に向かわなければなりません、サイレンの話はまた今度です」


そう言いながら大急ぎでマツダの部屋から飛び出していった。


「また、キラーが、、、」


暫く話題になっていなかったキラーの存在が急に現実になりあの日キラーと戦った高揚感が蘇ってきた。



 基地に戻ると一条は真っ先に作戦室に向かった。


作戦室は執務室の向かい側にあり、少佐の赤石がすぐに向かうことが出来るようになっている。


部屋に入ると既に赤石が隊長席に座っている。


一条はすぐにデュアルディスプレイのモニターの前に座る。


赤石の自宅は軍の施設のすぐ隣にあり、その次に近いのが一条だった。


「おはようございます」


「一条君、早かったな。今回は中央学区だそうだ。オペレータの高城君がまだなので情報を集めて部隊の出動要請を頼めるかな」


「了解です」


一条は科学者であり軍医でもあるがコンピュータを使った作業にも長けていた。


元々オタク気質だった事もあり、現職のオペレータよりも腕が良いくらいだった。


 全世界でキラーが出現したときに近くで発見した者がアプリで出現を伝える事が義務付けられている為、出現時にはいち早く軍の施設に伝わるようになっている。


今回は日本だけのようだった。


学区地区は軍の施設やマツダ達の住まいがある行政地区からすぐ北の地域で、文字通り大中小様々な学校が集中されている。


若い学生を守れるようすぐに軍を派遣して対処できる位置になっていた。


「この時間帯の出現は不幸中の幸いだな」


「でも、被害者が出る事には変わりありません」


赤石の言うように朝の7時前の休日という事もあり外に出ている人は殆どいなかったが、キラーは無差別に周囲の人間の殺戮を行う為、被害が全くでないという事はない。


「しかし今回は妙だな」


「はい、こんなに人気のない時間に現れるのは過去にありません。近いので全部隊投入します。第一部隊には例の魔剣を配備しておきました」


「マケン?」


「はい、マツダさんがキラーを倒したナイフの事です。我々研究班では唯一キラーに届いた刃として魔剣と呼んでいます」


「一条君、今は非常時で遊んでいる場合ではないよ」


「遊びじゃありません。本気です。早速第一部隊がキラーと接触しました」


「はぁ、、、」

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