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行き先

柔らかな土の感触と幼い頃に空き地でよく嗅いだ草木の香りがハッキリとしない意識の中で、肌と鼻から知覚される。

澄んだ少し冷たい空気が鼻を通り抜け心地よく感じた。


(小学生の低学年くらいまではよく空き地や森で遊んでたっけ……)


ふと幼い頃の記憶が次々と思い出される。

夏の日差し、炎天下、灼熱のアスファルト、田んぼの畦道、茜空、蝉の鳴き声と蜻蛉、木陰の涼しさ、友達と作った秘密基地


(いつから遊ばなくなったんだろ。昔はあんなに汗かいて走り回ってたのにな……)


家で引きこもっている現在とは正反対の幼少期を眩しい宝物のように頭の隅で感じた。

意識が覚醒し目の焦点も合ってくる。

視界一杯に草の生い茂る景色が映っている。


(……あれ……ここはどこなんだ!?)

思い出から我に返り疑問を抱く。


どうやら長いこと仰向けの状態でいたらしく、少し体を動かすと腰や後頭部に少しの痛みを覚えた。

自分がベッドの上で寝ている訳ではないことは確かなようである。

タイヨウの最後の記憶はトイレで用を足した時のものであり、記憶と現状のギャプに不安と混乱が堰を切ったように湧き上がってくる。


恐怖に突き上げられるようにガバッとタイヨウは上半身を持ち上げる。


(え!?本当にここはどこなんだ!!!!)


少し痺れている両腕をさすり合いながら、顔を上げたタイヨウの眼前には広大な山々が広がっていた。


(俺は夢でも見てるのか!!!!)


目の前の光景に息を飲んでしまう。

自身もその風景の一部である山の中腹にいることに気付いたのは、それからしばらく経ってからだった。

2019/8/28 一部加筆と修正いたしました。

2019/10/1 加筆いたしました。

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