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ちょっとだけ


■読みたくならないダメなあらすじ~「意味深ワード」は「無意味ワード」~


 はい、あらすじ編です。

 作品のあらすじには、大きく分けて4種類あります。

 それは、


①「短くて」「何が書いてあるか分かる」あらすじ

②「長くて」「何が書いてあるか分かる」あらすじ

③「短くて」「何が書いてあるか分からない」あらすじ

④「長くて」「何が書いてあるか分からない」あらすじ


です。

 順番に説明していきます。


――


①「短くて」「何が書いてあるか分かる」あらすじ


 これは話が簡単です。

 なぜなら、これこそが良いあらすじだからです。

 これを目指しましょう。


「いやいや何言ってんの? イミワカンナイんだけど?」


 おっしゃる通りです。

 ですので、これから説明するダメなあらすじを見て、良いあらすじとは何なのかを掴んでいきましょう。


対処法:そのままでいいよ。


――


②「長くて」「何が書いてあるか分かる」あらすじ


 これはあらすじがかなり長いものの、読めばどんな話かが分かるパターンです。

 ですが、このあらすじで読者をつかめていないということは、読者があらすじを理解するのを諦めて去っていってしまっている可能性があります。


 このパターンのあらすじは、決して良いあらすじではありません。

 が、まだマシといったところで、対処法は簡単です。

 あらすじに盛り込む情報を取捨選択して短くしましょう。


 某ベテラン作家さんは「あらすじは長くても4行まで」とおっしゃっています。

 4行というのはあくまで基準ですし、かなり短い印象ですが、それくらい「盛り込む情報を精査して切り詰めろ」ということでしょう。


「そんなん言うのは簡単やん! もっと細かく書いてくれや!」


 おっしゃる通りです。

 やはり、あらすじに何を書くのか決めるのは難しいですよね。

 そこでとりあえず、ここでは基準のひとつとして「あらすじには作品のウリを書け」と申し上げたいと思います。



 では、「ウリとは何か?」


 それはすなわち「あなたが提供できて読者が求めるもの」に他なりません。


「でもさあ、読者が何を求めているかなんて、分からないよ?」


 これは違います。

 あなたが書きたいと思うものが、あなたの読者が求めているものです。

 書きたいことを書きましょう。

 それを読みたい人が読者になります。

 これが読者数の多いなろうの良いところですよね。


「そんなふわっとしたこと聞いてないよ! もっと具体的に無いの? 口だけなの?」


 チッ。

 あ、失礼しました。

 

 仕方ないですね……。

 いいですか、読者が求めるものなんて3つしかありません。

 その3つとはすなわち、


金!

暴力!!

セックス!!!


 読者が求めているのは、この3つだけです。

 あの三人組はなろうの本質をつかんでいたのです。


「急にワケわからないこと言わないでくれる?」


 すみません、ちゃんと説明します。


 金とはすなわち権力です。

 「成り上がり」モノが何本もヒットしていますし、偉くお金持ちになっていくのは数多の作品のメインエンジンになっています。


 暴力とはすなわち他者との闘争です。

 古今東西、戦闘に主眼を置いた大ヒット作には枚挙に暇がありません。

 主人公が痛快に敵を倒す様に、読者は狂喜乱舞します。

 

 セックスとはすなわち異性との交流です。

 ほとんどの有名作には『読者にとって』魅力的な異性が登場しますし、これが魅力的な作品はやはり強いです。


 ジャ○プは友情・努力・勝利ですが、なろうでは金・暴力・セックスです。

 というか、あらゆるコンテンツは金・暴力・セックスで説明できます。



 このうち、あなたが作品で1番表現したいのは何ですか?

 主人公が底辺からテッペンに成り上がるための策謀に自信があるなら、パターン金。

 迫力ある戦闘シーンが書けるなら、パターン暴力。

 魅力的な女キャラ・男キャラが書けるなら、パターンセックスです。


 あなたが何を書けるか、それをこの3つに落とし込み、それをあらすじで表現しましょう。

 私の場合は、「俺のヒロインに対する愛情は誰にも負けないぜ!」と思い、それをあらすじに盛り込んだところ、少しずつではありますが、多くの人に見ていただけるようになりました。

 これは異性(ヒロイン)とのやりとり(交流)に主眼を置いているので、パターンセックスの例だと思います。


 とはいえ、もしあなたの作品がこの「長くて」「何が書いてあるかわかる」あらすじであるなら、このアドバイスは無用かもしれません。

 長いとはいえ、すでに的確に作品の説明が出来ているのなら、多分あなたはあなたのウリを理解できているのだと思われるからです。



対処法:この作品のウリを考えて、4行程度に削りましょう。


――



③「短くて」「何が書いてあるか分からない」あらすじ

④「長くて」「何が書いてあるか分からない」あらすじ


 別にめんどくさくなったから一緒にしているわけじゃありません。

 対処法が同じだからです。

 ……本当だよ!



 さて、これらはいずれも「何を書いているかわからない」あらすじです。

 これは中々に闇が深く、かつ数も多いです。

 なぜ闇が深いかと言いますと、作者、すなわちあなたには問題点が気付きにくいからです。


 とりあえず、私の書いた具体例を見てみましょう。

 苦痛でしょうけど、一応ちゃんと読んでくださいね。



――


「神は死んだ」

そう言われ続けて200年が経った世界。

地上のほとんどは魔物に支配され、人間は徐々にその数を減らしていた。

人々は異能や魔法の使えない人間を「コロナ」と呼び、彼らを差別・支配しており、「コロナ」の少年・カイルも例外ではなかった。


カイルはある日、絶滅したはずの「神」を名乗る少女と出会う。

少女はカイルに「私の作ったダンジョンをクリアしてすごい能力を獲得し、この世界を救ってほしい」と提案する。

女神の要求を受け入れて、幼馴染のイヴと共にダンジョンに潜入するカイルだったが、そこは外の常識が全く通用しない、とんでもないダンジョンだった!


これは、無能力の少年が知恵と勇気を武器にダンジョンを突破し、新たな能力を得て「世界の調律者」として闇に覆われた世界を救う物語。


――


 これは私のボツにした新作のあらすじを、このエッセイ用にちょっと変えたものです。

 ぶっちゃけ、面白くは無さそうですよね……?

 ですよね……。



 さて、落ち込んでなんていられません。

 このあらすじの悪いところは、大きく分けて2つあります。


 まず、長い。

 これがダメなのは前述の通りです。

 例えば「コロナ」みたいな固有名詞は、完全にいらない存在ですよね。

 ここで出さなくても、本文でしれっと出せばいいじゃないですか。



 そしてもう一つの悪いところは、「意味深ワード」が多いということです。

 意味深ワードとは、ここで言う「神」「とんでもないダンジョン」「世界の調律者」などの「読者の興味を引くために盛り込まれた言葉」のことを指します。


「神ってどういう立ち位置なんだ? それが死ぬってどういうことだ?」

「とんでもないって、何がとんでもないんだ?」

「世界の調律者って何?」


 作者としては、読者の方がそう思って本文に入って行ってくれることを期待しています。

 ……が、正直な話、あなたはこれらの意味深ワードが満載のあらすじを読んで、興味が湧きましたか?


 そんなにですよね。

 なぜでしょう?


 それは、そもそも読者は初見の作品にほとんど興味を持っていないからです。

 興味を持っていないので、わざわざ疑問を持つことも無いんです。



 意味深ワードは有名作のあらすじにも多用されます。

 それゆえ私やあなたのようなアマチュアもこの手法を取り入れようとしていますが、じつはこの意味深ワードは諸刃の剣なのです。


 というのも、意味深ワードは上手くいけば読者の興味を引くことができる言葉であると同時に、裏を返せは「読者にとっては意味の分からない言葉」でもあります。

 それゆえ、意味深ワード満載のあらすじは、その分量に比べて読者が読み取れる情報が非常に少なくなります。

 具体的に言えば、例に挙げたあらすじから初見の読者が読み取れる情報は

「無能力の少年が、何か知らないけどダンジョンに行って頑張るらしい」

ということだけです。


 上の例ではあんなに長々と書いていますが、内容はそれだけです。

 こんなんじゃ、読みたくなるはずがありません。



 意味が分からない言葉は、あっても無くても変わらない言葉です。

 この手のダメなあらすじは、タイトルの下りで書いた「何が書いてあるか分からない看板」になってしまています。

 そしてそのような看板の店に入る人はごくごく僅かです。

 同じ値段(時間)を支払うなら、何が入っていてどんな味がするか分かる食べ物を選びませんか?

 少なくとも私はそうします。



 そしてこの手のあらすじの怖いところは、作者だけは意味深ワードを理解しているせいで、作者には“このあらすじがダメだということに気付けない”ということです。

 読者を追い返し作品を殺す埋伏の毒、それがこのダメなあらすじなのです。


 本当に恐ろしいです。

 あなたのあらすじは、こうなっていませんか?



対処法:まず自覚する。そしてウリを理解し、あらすじに盛り込む。



 ちなみに、このエッセイのあらすじも「これを読めばあなたの作品が読まれるようになる」というウリを全面に押し出したつもりなんですが……いかがでしょう?

 これは「他の作品を出し抜きたい」という思いを刺激するので、パターン暴力ですかね。

 「もっと読まれたい」という気持ちを刺激するとも言えるので、パターン金かも知れません。


――


Q. あらすじはともかく、タイトルってそんなにコロコロ変えていいの? すでに付いている読者さんに迷惑かからない?

A. 変えていいよ。むしろその小数の読者に満足してないから変えるんでしょ。


Q. でも悪いし、混乱するかも……?

A. あらすじの下のほうに「変えました」って書いておけば良いんだ。案外気にしてないから大丈夫。


Q. でもでも、文句言われたらどうしよう?

A. もとからタダなんだし、そこまで言われる筋合いは(ry


――


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