第9話 まだまだ子供
お久しぶりです。
楽しんでいただけたら幸いです。
それから俺はティアの母親の話を聞いた。
強くて穏やかで優しい人だとか、でも怒るととっても怖かったとか、何をしてもらって嬉しかったとか、いろいろと教えてくれた。
母親の話をしているティアは本当に楽しそうで、時々大人びた口調ではなく子供の口調になっていた。
俺は物心ついた時には母はこの世にはいなかったそれを悲しいとは思わなかったが自分の母もそうゆう人だったらいいなと思った。
「では、そろそろ食器を片付けます、いろいろ話せて楽しかったわ。」
「そうか。」
もうそんな時間か、最近はどうも時間がたつのが早いな。
ティアが食器を重ね終え部屋から出ようとしたとき、何か思い出したかのように振り返り。
「あ、そういえば明日私の誕生日なのだけど。」
急にいわれて驚きが顔に出た。
「は?」
「まぁ、だから何て話なんだけど毎年お母様に祝ってもらってたから今年は・・・無理そうだから。」
その顔は寂しそうでついさっきまで楽しそうなに笑っていたのに、だからかその顔あまり見たくなかった。
「俺はこのとおりだからくれてやれる物はないぞ。」
だから自分にできることはしようと思った。
ティアが悲しい顔にならないためにできる事は全部やると。
「え?」
「祝ってやる、何もないし今までで一番つまらないだろうがな」
「本当に?」
「ああ。」
「ありがと・・・」
ティアの頬は、少しだけ赤色に染まり表情は、後ろめたそうでそれでも嬉しそうで。
(ああ、確信犯か)
ティアの性格なら『誕生日だから祝ってほしいのだけど』と堂々と言いそうなのだが、さすがに自分から祝ってなんて言うのは気が引けたのだろう。
しかし大人びたところやああゆうところ見ると素直じゃない子供にも見える。
(やはり、まだまだ子供だな。」
「ほら、早くいけ、まだ雑務が残っているのだろう。」
「うん、では失礼します。」
ティアは、そう言うとそのまま部屋を後にした。
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