第六話 一ヶ月後
「」一ヶ月後
今日もまたペタペタと小さな足音が聞こえる。
ガチャ ギィーー
重い鉄の扉が開きそこから食事を持った少女、ティアが現れる。
「おはようございます。」
と優しく微笑みながら言う。
「ああ。」
素っ気ない返事を返す。
と言うのも一ヶ月ほど前黙り込んでいた俺がふとしたことで口を開いてしまいそれから何度無視を続けても何かしら言い返さないと同じ事を言い続けてきた。
もちろん最初のうちは無視を続けてきたがそれを3日も続けられればこっちの気が狂いそうになる。
で、結局こちらが折れ無愛想であるのは自覚しているが返事を返している。
「ねぇ」
「・・・・」
(どうしてこんな自分にこう毎日、毎日話かけてくるのだろう)
「ねぇ、聞いてるの」
「・・ああ」
「もう、あなたは、どうしてそう無愛想なの。」
「別に話す事もないしな。」
(何を話せばいいのかわからないしな。」
「なら今日はあなたから何か話て。」
「は?」
「だからあなたから何か話てよ。」
「それは聞こえている、俺はさっき話す事はないと言ったはずだが?」
「だってさっきどうして無愛想なのと聞いたら別に話すこともないしなって言ったから 話すことがあれば無愛想でなくなるのかなと思ったのたけど。」
「それはそうだが、だが・・・」
「ダメ・・」
ティアはそう言いながら悲しそうな子供表情するいつも無駄に大人びたいい方だったのに今の声だけは子供の声だった。
「・・・わかったよ何でもいいんだな。」
そう言うとティアはとても嬉しそうな表情をした。
「ええ」
口調もいつもの無駄に大人びた言い方に戻っていた。
5分後
「・・・・」
全く思いつかない思いつかないわけではないのだが話が全部暗い方向に行ってしまいそうな内容ばかりだ。
「まだ?」
「たくまってろ・・・はぁーじゃあ」
本当にこれでいいのか迷ったが。
「お前はここに来て辛くはないのか」
ティアは少し悲しげな表情をする。
思った通りの反応だった これはさすがに答えないか。
「うん」
答えた。
しかしティアの声はとても小さく弱々しい。
「どうしてなんだ。」
「きっとここから出られるもの。」
その希望がどこから湧いてくるのか不思議でたまらなかった。
「ティア お前はどうして。」
ー希望を持てるー
最後の言葉が出なかった。
「あなたは辛くはないの。」
ティアは同じ質問をしてきた。
そうだ不思議でたまらないのは俺がもう現実を受け入れてしまったからだ。
「もう慣れた。」
「そう。」
そのまま沈黙が続いた。
静かになった部屋で俺が俺が食事を食べ終わった頃沈黙に耐えかねたのかティアは「食器を片付けてくる。」と言って部屋を出た。
部屋を出たってやドアに寄りかかり。
「きっとお母様が」
そのティアの小さな涙声は誰にも届くことはなかった。
お昼頃
またペタペタと小さな足音が聞こえる。
ガチャ、ギィーー
重い鉄の扉が開きそこから食事を持ったティアが現れる。
「こんにちは」
といつもの優しい笑顔で言う。
さっきのことが頭の中をよぎる。
「ああ、さっきは悪かったな。」
そう言うとティアは笑顔のままうなずいてくれた。