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バースデイ

作者: 稲村正輝

今日は田中君の念願の誕生日だ。

田中君は部屋の中に4人おり、そのうちの3人は誕生日ではない。

そのため、今日誕生日である田中君のことを田中君と呼ぶことにする。

私は田中君のためにプレゼントを買った。

何を買ったかは、内緒である。

内緒を買った私は、すたすたと歩いていき、エスカレーターに向けてその足を急速に回転させていたが、

ふと、自分が今ダイエット中だということを思い知った。


「し、しまった!!」

私にとって今の体重は近年稀にみるぐらいに不適切であり、

メスを両手に持った医者の顔が頭に浮かんだ。

そんな私はこの数日間ダイエットに励んできた。

それなのに…。

今、私の心を表現するならば、悪魔のよだれである。

この薄汚い心をどうしてくれようかと考えた。

考えた末に出た答えは、内緒である。

私は苦悩の末、エスカレーターに足を踏み入れた。

「べ、別にあんたのために乗ってやったんじゃないからね!」

とエスカレーターにつぶやくと、

後ろにいた青年が尻を触ってきた。

青年の顔はぐちゃぐちゃに膿んでいてよくわからなかったが、

イケメンだったので私は尻を彼にあずけた。


エスカレーターを降りると、彼は、

「今日、蛇口をひねると血が出てきたんだ」

と言ってきたので、私はむきになって平手打ちで彼の頬を引っ叩いていた。

彼は叩かれた後、ニヤリと笑い、

「ざまあみろ」

と言って闇の中へ消えていった。

闇の中へ消えていったが、その後コンビニにいたのを見かけたが、そのままにしておいた。


その後、山に登ることにした。

標高300メートルほどの山だが、私はこの山が好きなのだ。

山を登っていると、

「杉田さん!」

と呼ぶ声がしたので、私は振り返り、

「あ、こんにちは。今日は遅いんですね」

とすぐに返答したが、

その声をかき消すように杉田さんが

「あ、どもども。じゃあ行こうか」

と言って、杉田さんと杉田さんに声をかけた男はどこかへ行ってしまった。

私は一人で、その後も山を登り続けた。


頂上についた頃にはもう私の身体はボロボロに疲れ果てていた。

私はポケットから肉まんを出し、ほお張りながら、ふらふらと歩き続けた。

そこからは意識朦朧としていたため、少し気を失っていたが、

気づいた時には山小屋のベッドに寝かされていた。

目を開けて少し起き上がると、

「お、気づいたかね」

と横のコタツに腰掛けているおじいさんがこちらを見て微笑んだ。

「こ、ここは…」

私はおじいさんに尋ねると、

「はっはっは。ここはわしの家じゃよ。あんた、家の前で倒れておったじゃよ?」

と、おじいさんが教えてくれた。

どうやら、私は意識を失って倒れてしまっていたようだ。

そして、このおじいさんが私を助けて看病してくれたみたいだ。


私は、おじいさんにレーザービームを放った。

「うおおおおおおお!!!!」

おじいさんは、瞬く間に灰になり、その真っ黒になった塊はゴトリと床に倒れた。

黒い塊から出る湯気と悪臭により、私は何度か嘔吐した。

危機感を感じた私は、足の裏からジェット噴射を出し、

山小屋の屋根を突き破って空の彼方へ飛び立った。


月面着陸後、記念として月面に自分の名前を彫った。

中山健太郎


私は安堵感で眠気が限界まで達していた。

その時、後ろに気配を感じた。

素早く振り向くと、ヘルゲストンがそこにいた。

「よくここまで来たな」

ヘルゲストンは腕組をしながらこちらを見ている。

ヘルゲストンの着用しているマントが風でなびいていた。

「もうこうなったらお前を殺すしかない!」

ヘルゲストンはそう言い放つと、私は死んでしまった。


そんな過程を経て、私はオギャーオギャーと産まれた。

そこには父親と母親がいた。

「この子の名前は健太郎だ」

父親はそう言う。

「この子の名前は健太郎ね」

母親もそう言う。

最後に、

「おめでとう」

と言われ、

私はゆっくりと目を閉じた。

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