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契約召喚 〜異世界での一年間〜  作者: ムジナ
召喚
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契約

たくさん説明書きがあってうんざりされるかもしれませんが申し訳ありません。


シナリオ上必要なことなのでご了承ください。

「ボクと契約しないかい?」



わけのわからない状況にわけのわからない言葉。

パニックが止まらない。


「あぁ、突然で驚くのも仕方がないか。本題の前に君の質問に答えてあげるよ」



現状を整理できる時間をくれるのはありがたい。

なにせ、今僕にわかることは何もないから。



「じゃあ…ここはどこですか?」


「そうだね。君の住む次元とは違う空間、としか答えようがないかな。この場所に名称はないからね」


名もなき真っ白な空間。

わけがわからない。


「まぁ、君の質問はここがどこか、というよりここが何なのかって質問なのだとしたら、君たちの世界を管理し行く末を傍観する場所と答えるけどね」


どういうことだ。管理して傍観する?


「…あなたは一体なんなんですか?」


僕の質問に少しの間を置いてそれは答える。


「…神様、みたいなものかな」


無宗教の僕にふと思いつく神様なんてのはキリストとかアッラーとかゼウスとか多種多様のものばかりだ。


「神様、みたいなものっていうのはどういうことですか?」


「ボクという存在に名称はないからね。君の世界の言葉でボクを表現するならそれが一番しっくりくるかなと思ったから、神様みたいなもの。納得できたかい?」


つまりは神様という認識で問題はないのか。

これでさっきの管理して傍観するっていうのも理解が出来てくる。


「…僕は死んだんですか?優希は…?」


現状理解するべきことを次々と質問していく。


「あぁ、死んだね。君も、優希ちゃんも。」


死んだ。死んだならなんで僕はここにいる?

ライトノベルとかネット小説によくある間違えて殺しちゃったテヘペロみたいなものなのか?

それじゃ納得できない。


「君の想像にあるような答えじゃないよ。間違えて殺しちゃったテヘペロなんてふざけるなって話だろ?

まぁ、運命通り死んだ、死ぬべきして死んだ、なんて言われてもふざけるなって話だろうけどさ」


考えていたことを読まれた?神様ならそれくらいは簡単に出来て当たり前か。

それより、まったくその通りだとしか言いようがない。運命通り死んだなんて言われても文句しか出てこない。

せめて優希だけでも助かる方法はないのか。


「死にました、残念でした、だよ。…普通なら、ね?」


「…どういうことですか」



「本題だよ。最初に言っただろ?ボクと契約しないかって。」


間違えて殺したわけでもない。そんな僕と何を契約だっていうんだろう。




「異世界に行ってほしい。それがボクの要望だよ。」




異世界に?

ライトノベルとかである異世界転生ってやつか?

でもその場合、基本的に生前のご褒美とか神の失敗の謝罪とかだと思うけど。


そもそも神様が人間に契約を頼む必要があるのだろうか。

いや、それ以前に契約ってなんなんだ?


「契約って、どういうことなんですか?」


神様は待ってましたと言わんばかりに語り始める。


「さっきも言った通りボクからの要望は君に異世界に行ってほしいということ。もしそれを君が了承してくれるというなら、君と君のお友達の優希ちゃんの命を助けてあげるよ。どうかな?」


僕と優希が助かる?

本当だとしたら僕には断る理由がないように思えるけど。


「僕と優希が助かるって言いましたけど、僕は異世界に転生されて、優希は現在と変わらずに過ごせるってことですか?」


「いや、僕は君を転生させるつもりはないよ。君を異世界に召喚する。君の魂を僕が作った肉体に入れてね。」


「…じゃあその間僕の体は?」


「病院のベットでぐっすりだよ。」


「僕にデメリットが見当たらないんですが?」


僕がそういうと神様は少し驚いたような顔をした。

そして饒舌に語る。


「そうだね。説明が全然足りてなかったよ。


君に行ってもらいたいのは、いわゆる剣と魔法の世界だ。もちろん君に作る肉体も魔法が使えるように作る。

そして、君に行ってもらいたい理由なんだけれど、君に行ってもらう世界は、ここ1年の間に起こる事件をきっかけに崩壊に向かうんだ。

それを君に行ってもらうことで止める、もしくは遅延させたいんだ。」



予想以上に壮大な話だった。


「え、と…魔王を倒せ的な?」


「わからない。君が異世界に行った時点でどうなるかがわからなくなるからね。」


「どういうことですか?」


神様は、少し難しい話をするよ?と前置きをして契約とは別に、世界のシステムについて話を始めた。


「世界っていうのはたくさん存在する。君のいた世界、君に行ってもらう世界、その他数え切れないほどにね。そして、その世界っていうのは未来が全部見えているんだよ。その世界にいる人間を含む動物などの性格でその生き物がどういう行動をするかがわかってるし、草木の成長や大気の流れなんかも全部わかってる。故に未来は一筋しかない。未来は確定してるんだ。


だが、未来が崩壊しかないとするならどうするか。

管理してるものとしてはそれを食い止めたいんだよ。


そこで、召喚なんだ。

その世界とは全く関係ないところから不意に世界に入り込んでいく。すると、その世界の計算っていうのかな?それが一気に狂うんだよ。一筋の確定世界にバタフライエフェクトが起こる。未来はどうなるかはわからないが、少なくとも確定を崩すことはできる。それが今回の狙いだ。」


難しくてわかったようなわからないような。


「えと…なんで僕なんですか?」


「あぁ、それはね、君が適任だからだよ。優希ちゃんはダメだしね」


「と、言うと?」


「今回召喚するものを選ぶに当たっていくつかの条件で絞り込んだんだ。」


条件検索のようなことかな?


「その1、君の世界でいう日本語が話せること。」


「日本語!?関係あるんですか?」


日本語が話せたからって異世界に行ったら別の言葉だし関係ないんじゃ。


「異世界でも文化や体質などは違えど同じ人間なんだよ。同じような脳みそで考えつく言葉は、数え切れないほど世界があれど、言語自体の種類はそう多くはない。これから行く世界の共用語は日本語なんだ。」


衝撃的だ。


「わかったならその2だ。魔力素質が極めて高いこと。」


「魔力素質?」


「魔法っていうのは精神状態や魂の質などにも影響を受けるんだよ。その点君はこんな状況でも冷静でいられる超人的な精神力、そして数多の世界においても指折りの魂の質だ。魔法の無い世界に生まれたことが悔やまれる素質だよ。」


僕がそんな才能が!?

今まで何の取り柄もなく生きてきた分嬉しいな。


「条件その3。頭がよくないこと。」


…急に失礼だ。

さっきとの落差が尋常じゃない。


ムスッとしていると弁解するように神様は言う。


「すまないね。でも大事なことなんだ。下手に頭のいい人間を送り込んだ場合その世界の重役になってしまいかねないからね。政治について積極的に口を出して国の財政や国同士の関係を変えてしまったりね。そういうのは好ましくない。」


「世界の行く末を変えるのに、国の行く末を変えるのにダメって変じゃないですか?」


「世界の行く末は滅ばないほうがいいに決まっている。でも、国の行く末っていうのは確実に得する人間と損する人間とかいるんだよ。その損得を逆転させたり、両方に得があるようにしたりするとその後がまたごちゃごちゃするからね。まぁ、ずっとそっちの世界にいるっていうなら介入しても問題ないんだけどね。」


ごちゃごちゃした後に尻拭いできないなら関わらないでほしいってことかな?

確かにその世界の人たちの関係はその世界の人たちで決めるべきかもしれない。


「じゃあ最後の条件、その4だ。人質がいることだ。」


……なんだそれ。人質?


「………。」


「契約を断られるリスクを減らすために。急を要するからね。」


「優希ですか。」


「そう。まぁ安心してほしい。君が契約を承諾してくらるならこれから行く世界で何をしようとも優希ちゃんに何かしたりはしないから。」


神様といえど人質と言われると不安になってきた。

そもそもそこまで信用はしていないし。


「人質になる人がいるってことは、他人を大切にできる人間だっていうことにもなるんだ。ボクが自分勝手な人は好きじゃないって理由もあるんだよ。」


もうなんだっていい。

僕には承諾する以外にないのだから。


ただ、今までの話を聞いてて気になったことが。


「これはただの疑問なんですけど、僕を召喚するよりも、僕たちみたいに死ぬはずの人を死なないようにするっていうのでは未来の確定を崩せないんですか?」


神様は明らかに驚愕を露わにする。


「馬鹿だと思っていたけど少し侮りすぎたかもしれないな。まぁ疑問に答えようか。ボクたちは世界への干渉を極力してはいけないとされてるんだ。特に不安定な世界にはね。君たちの暮らす世界は安定してるから人の一人や二人生かそうが問題ないんだけれど、今から行く世界は不安定だから直接的な強い干渉はできないんだ。召喚という比較的弱い干渉で偶発的に未来を変えるっていう方法くらいしかないんだよ。とはいえ今まで何人か召喚してきたけど崩壊の未来は変えられなかったけどね。」


いろいろと明らかになっていく。


「ボクたち?何人か召喚?」


「ボクみたいな存在はたくさんいるよ?ボクだけでは全ての世界を管理できないし。それと、召喚したものについてだけど、君の行ってもらう世界に今まで崩壊を止めようと何回か召喚したってだけだよ。今のところ残っているのは1人だけだけれど。」


1人僕みたいに世界を救うために召喚された人がいるってことか。力強い味方になってくれるかもしれない。


「それじゃ最後に確認だ。ボクと契約してくれるかな?」


「はい。」


力強く答える。


「ボクが言っているのは強い銃をあげるから戦争に行ってきてくれっていうのと同義のことだけど本当にいいんだね?」


「はい。」


神様は安堵したように笑いながら締めの言葉を吐く。


「契約成立だ。」



ついに異世界にいきます。


第3話「異世界」


お楽しみに。

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