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1. 薬屋の娘

 人生はそう上手くはいかないものだ──。


 最初に悟ったのは10才になったばかりの春だった。町の男の子たちにからかわれ、怒った瞬間に吹いた大きな風にみんなして地面に突っ伏した。風が止んだところで顔を上げると、辺り一面大惨事だった。


「何が起こったんだ!?」


 慌てて駆けつけてきた大人たちは、呆然としている私と泣いている男の子の顔を見比べて困った顔でこう言った。


「なんてこった!薬屋トーマじいさんの孫は攻撃魔法の持ち主だ──」



 この世界はおおよそ2つの国に分かれている。一つは光の国。四季がはっきりしており太陽がさんさんと輝く、とても豊かな国。そしてもう一つは、陽の光がほとんど届かず1年の大部分を冬が占める闇の国だ。

 

 国同士はたいそう仲が悪く、何度も戦争をしていた。2つの国には、太陽以外にも決定的に分けるものがあった。それは、

 

 魔法である。

 

 この世界には、魔法という不可思議なものが存在している。誰もが使えるわけではなくそれは血筋であったり、生まれつきであったりとまちまちだったが、一種の才能のようなものだった。 

 主なものは火、水、風、大地を司る。しかし、一部の魔法には別の種類をもつものもあった。王族のみが使うことができる光の魔法、そして──闇の魔法だ。

 

 闇の魔法が扱える者は、闇の魔法が持つ特性からも忌み嫌われ、太陽のほとんどあたらない土地へと追いやられてしまった。追いやられた人たちが作り上げた国──それが、今の闇の国だ。


 話を戻そう。


 薬屋トーマおじいちゃんの孫である私、リリアは風の魔法の持ち主であった。

もういない私の両親も、そしてトーマおじいちゃんも水と風の魔法が扱えた。そこまではいい。問題は先ほども言っていたように、私は攻撃魔法の持ち主であったことだ。


 魔法をさらに大まかに分けると攻撃魔法か回復魔法の2つに分けることができる。ちなみに、水と風の魔法は回復属性に多い魔法だ。なんと私は回復魔法の属性でありながらも攻撃魔法の属性を持つめずらしいタイプだったのだ。


 さて。……大事なことなのでもう一度振り返ってみよう。


 私の家系は薬屋を営んでいる。私の町には医者がいないから、おじいちゃんが医者の代わりも務めている。孫は私一人。だから私がゆくゆくはおじいちゃんの後を継ぐ予定だった。……ところが回復魔法を使えない。しかも家系によると私のみ。


 なんということだろうか!


 ああ、天国にいるお父さん、お母さん。不出来な娘をお許しください……。

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