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浮遊力に取り憑かれたら何かと捗った  作者: みきもり拾二
◆第二章 彌吼雷に、俺はなる!
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【28】お風呂

「あ〜……これだけ広いと、のんびり浮いてられていいな〜……」


 湯けむりが立ち込める中、凪早(なぎはや)ハレヤは一人で風呂を独占していた。直径4mほどの丸い石造りの風呂に、仰向けになってプカプカ浮いている。

 バグ玉制御は発動しているが、水の浮力に押し戻されて身体を沈めることが出来なかったからだ。仕方なく水面を泳いでいたら、案外浮いているのも温かくて心地よかったようである。


 外では兵たちがまだ、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎを楽しんでいる。すでに食べ物は食べつくし、酒しか残っていないはずだが。


「おっとな〜の せっかい〜♪」


 などと適当な鼻歌を口ずさんでいたと時だった。

 ガラッと戸口が開く音がして、パタパタと足音を立てて誰かが近づいて来た。


「んああ?」

「あ! 彌吼雷(ミクライ)さまなのです!」

彌吼雷(ミクライ)みつけたの……」


 ドボン、バシャンとお湯を跳ね上げ、いきなり、真茱鈴(マジュリン)流那鈴(ルナリン)が抱きついてくる。

 二人の重みで、風呂の床にお尻がついた。


「おおおおおおおう!! ふ、ふたりとも、何やってんだ!?」


 すべすべした肌の感触が、二の腕に温かく絡みついている。

 ピクピクとよく動く大きな耳が、凪早ハレヤの頬や首筋をくすぐった。


「なに、って?」

「おふろなの……」

「真茱鈴、流那鈴、先にお背中を……あら?」


 声に振り向くと、雨巫女髻華羽(ウズハ)がタオル一枚で立っていた。


「(おいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!!)」


 この時ほど、湯けむりが邪魔な存在であるを強く意識したことはなかっただろう!

 酒で頭がボオーッとしてるのもあるかもしれない。タオルで部分的に隠しているだけの雨巫女髻華羽の裸体の大事な部分だけが、湯けむりに揺れてはっきり見えない。


「彌吼雷さまが、ご入浴中でしたか。失礼いたしました」


 雨巫女髻華羽はさほど気にする様子もなく、ピタピタと近づいてくると、そっと風呂の端に腰をかがめた。


「髻華羽お姉さま! 早く早く、こちらなのです!」

「髻華羽お姉さま綺麗……」


 白い足が湯加減を確かめるように水面を揺らすと、するりとしなやかな足が滑りこむように湯につかる。丸く張りのあるツヤツヤした尻とくびれた腰、豊かな乳房が湯に浸り、ゆらゆらと湯面を揺らした。


 すぐ近くにいるのに、それでも凪早ハレヤには大事なところだけ全く見えなかった!


「(神さま! 俺は何かワルイコトしたでしょうかッ!!!!!)」


 天を仰ぎ、悪態をつかずにはいられない。


 真茱鈴と流那鈴は凪早ハレヤから離れると、おしりの辺りから伸びるフサフサの尻尾をフリフリしながら雨巫女髻華羽の左右へと抱きついた。


「髻華羽お姉さま、またお胸が大きくなってるなのです!」

「流那鈴、髻華羽お姉さまのここが大好き。丸くて柔らかくて大きいから……」

「もう二人とも、くすぐったいですよ。……あとで背中を流しましょうね」


 いつもは丁寧語で話す雨巫女髻華羽も、真茱鈴と流那鈴に対しては、お姉さんかお母さんのような雰囲気だ。


「ほら、今夜も『夜映(やはえ)』がよく輝いておりますよ」


 湯を肩にかけながら窓の外を見上げる雨巫女髻華羽。白い肌に光る水滴が艶かしい。

 湯面にぷっかり浮いて逆さまにそれを眺めていた凪早ハレヤは、突然、「はっ」としてうつ伏せにひっくり返った。


「(あぶない!!! 俺の『究極兵器』の最終形態を晒すところだったぜ!!!……いや待てよ、この際、紳士的な物腰で、ザ・セクシーに魅せつけるべきなのか……!?)」


 雨巫女髻華羽の裸体に視線を釘付けにしたまま、興奮のあまり鼻息が荒くなる。


「(いやいや待て、待ってくれ! そんなことして三人が魅了されたその時は……!?)」


 凪早ハレヤの頭の中で、三人が妖艶な笑みを浮かべて絡みついてくる絵面が浮かんだ。


「ここはどうなっておられるなのです?」

「興味津々なの……」

「まあ二人ともそのようなこと……どこで覚えたの?」

「髻華羽お姉さまの次は真茱鈴の番なのです! だから早くしてくださいなのです!」

「ダメ、次は流那鈴だから……」

「こら、そんなに動いたら……ぁっ……」

「髻華羽お姉さまこそ真茱鈴のイケないところを触っておられるなのです!」

「流那鈴はもっと触って欲しいの……」

「ダメですよ、真茱鈴。今はジッとしてなさい。流那鈴は、んふふふ。とてもいい子ね」

「あああっ! も、もう我慢できないなのです!」

「流那鈴もヤバイ、もうダメなの……」

「もう少しですから、二人とも、我慢するのよ」


 妄想なのか、目の前で起こっていることなのか!? 凪早ハレヤの意識がクラリと揺れる。


 真茱鈴と流那鈴が大きな耳をクタリと垂らし、その頬は赤く染まっている。それを見つめる雨巫女髻華羽の優しげな表情が、どこか妖艶だ。


「髻華羽お姉さまは、すでに彌吼雷さまとのお務めは果たされましたなのです?」

「え?」

「彌吼雷さまのお子を身ごもるお仕事……」

「ぶっはあああああああああっっっ!!!!」


 驚きのあまり、凪早ハレヤが口元のお湯を盛大に吹き上げた! スプラッシュしたお湯が三人に降りかかる。


「きゃああああああ! お湯のかけっこは真茱鈴得意なのです!」

「流那鈴も倍返しなの……」


 真茱鈴と流那鈴が立ち上がって、バシャバシャと凪早ハレヤにお湯をかけ始める。


「ぶはっ! ゲフッ! 待て! やめ、ぶっ!」


 激しく波打つ湯面と、浴びせられる水しぶき。息をする間もなくて思わず背筋を反り返して顔を上げた瞬間!


「あれ……な、凪早くん!?」


 湯けむりの向こう、全裸の蔦壁(つたかべ)ロココの姿が!


「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


 凪早ハレヤは、男としての本能をフルアクセルで突破した!! 背筋を仰け反らせて湯面にそそり立つ!


「きゃああああ!!! 何してるの、バカあ!」


 スコーンと湯おけを投げつけると、見事に凪早ハレヤの顎にヒット!!


「ぉうちっ!!!」


 呻き声ともつかない声をあげて凪早ハレヤがひっくり返る。

 バシャーンと大きくお湯を跳ね上げて、風呂場は女たちの悲鳴に包まれた。




やっぱり、お風呂っていいですよね~。

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