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Memory World  作者: 彼方わた雨
第1章-出会い-
3/25

少年

 信じられないが、信じるほか無かったんだ。



 ガッシャン!!

 


 大きな物音によって俺は目を覚ました。

 時計を見ると夜中の12時を過ぎたあたりだった。こんな、夜中にいったい何だっていうんだろうか。とんだ嫌がらせだ。こっちは毎日疲れて寝てるっていうのに、暇なやつがいたものだ。この村はすごく雪が降って毎日毎日雪かきに追われ、それに加え毎日毎日畑の仕事をしてる俺の身にもなってほしいものだ。

 俺はしぶしぶとベッドからはい出た。

 外はまた雪が降っている。

 また、雪かきか。

 そういえば、昨日は()()だったな。考えてみると、何も記憶をとられていないような気がする。はっきりとは分からないが。やっぱりそれは、俺がつまらない人間だと言うことだ。まあ、そんな自分をどうしたらいいのかも、もう、分からない。このまま過ごすことが俺にとっての幸せかもしれない。

 ところで、こんな所にいったい誰が嫌がらせにやってきたのだろうか。

 俺は頑丈に作られたドアを押し開けた。

 ランプに灯をともし、辺りを見渡す。今夜も星がきれいだな。

 と、薪置き場が崩れていることに気がつく。

 真っ白な雪の上に、せっかく規則的に積み上げられた薪が無惨にも散らばっている。その様子をみると、自然に溜息がでてしまった。

 ふと、薪置き場から金色の糸が見えた。その糸をたどってみてみるとそこには小さな少女が横たわっていた。

 月明かりに照らされた少女の長い髪はきらきらしている。とても、きれいだと思った。

「……おい。……おい」

 肩を揺さぶってみたが全く反応がない。気絶してしまっているのだろうか。もしくは……。俺は少女の手をとり、脈をはかる。ドクン、ドクンと一定のリズムで脈打っている。生きてはいるようだ。しかし、冷たい。

 金色の髪は四方八方に広がってしまっている。髪の毛は左側の一束の髪を三つ編みにしているようだ。ここ周辺では見ない服装であり、不思議な少女だ。

 しかし、違和感がある。

 薪置き場の崩れ方といい、この少女の倒れ方といい。まるで、この少女が真上から落ちてきたかのようだ。俺は思わず上を見上げるが、そこには無数の星が散らばった夜空しかなかった。

 とりあえず、この少女をどうにかしなければいけない。この少女が壊した疑いがある。それに、この寒い中放っておくことなど出来ない。

 仕方なく俺は少女を持ち上げ、家へと運ぶことにした。

 少女はとても冷たかった。


「あれ~? 誘拐?」

 ドアの前にいる人物に気がついて俺はまた溜息をついた。そいつはドアに寄りかかって腕を組んでこっちを見ている。

「……人聞きが悪い。倒れていたやつを家に運ぶだけだ」

 そいつはニッと笑った。めんどくさいやつに会ってしまったものだ。

「かわいいからでしょ? そうに決まってる。ニコはそういうや――」

 ドスッ

 俺はそいつの腹に蹴りを入れてやった。そいつは腹を押さえてドアの前にうずくまった。正直邪魔だ。

「ジュラ、邪魔だ。そこをどけ」

 ジュラはしぶしぶドアの前を離れ道を空けた。

 俺は少女をベッドに横にさせ、毛布を掛けた。なおも少女の目は開いていなかった。また手を触れるとやはり雪のように冷たく、全く生きている感じがしなかった。しかし、少女の胸は上下している。さらに、やはり脈もあった。

「……その子、何?」

 いつの間にか中に入ってちゃんとドアも閉めて、その前にジュラが立っていた。彼は少し警戒しているようだった。

「知らない。でも、害はなさそうだ」

「ならいいけどっ」

 そう言ってジュラはソファにどさっと腰をかけた。そして、そのまま寝てしまった。

 ソファにはジュラ、ベッドには少女。つまり、俺は床で寝ろっていうのか。

 仕方がなく俺はカーペットの上に寝ることにした。温かな毛布にくるまってまだ明けない冬の夜を過ごした。

 明日、少女が目覚めたらいろいろ聞くとしよう。

 俺は眠りに落ちた。


 

 

新たな人物が2人登場です。

どっちも男です。

名前はちらっとでています。詳しくは次回ですね。


それではまた次回でお会いできることを願っています

 2014/3 秋桜(あきざくら) (くう)


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