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バンダースナッチを五匹ほど狩り。レアドロップの【盗掘獣の生肉】を二つほど手に入れ祠に戻る。
祠に戻る際に大森林に沸く【リザードソルジャー・深淵】を見かけたが今のレベルではフルボッコにされるので隠れてやり過ごした。
祠につくと蓮が祠の中で走り回っていた。
「……・・・」
あまりにショッキングだったので数瞬言葉を失う。おかしくなったのかと思ったが目が真剣そのものなのでそうではないだろう。
「…蓮、どうした?」
恐る恐るたずねる。
「あ、兄ちゃんお帰り」
「おう、ただいま……」
蓮は俺に気がつくとお帰りと一言だけ言ってまた走り出してしまった。よく見てみると凄い量の汗をかいていた。
俺の質問を軽くスルーされたがそういうときの蓮は大体集中しているときだ。
ナニカに真剣な蓮を邪魔するのも悪いので俺は朝飯の支度をし始める。
朝飯と言っても【盗掘獣の生肉】をファイアで焼いて食うだけだが。
ステータスウィンドウを展開してアイテムストレージから【盗掘獣の生肉】を二つ取り出す。
結構な量があるのでデブ二人でも一人一つで事足りる。
【ファイア】
もうほぼ無意識にファイアを選択する。久しくつかってなかった基本魔法の最下級スキルだが中々使い勝手がいい。
程よく焼けて肉のにおいが漂ってきた頃にファイアをやめる。
「おーい、飯だぞ!」
まだ走り回っている蓮を呼ぶ。するとトテトテと腹の肉を揺らしながら蓮が歩いてくる。
「…ぜぇ。はぁ」
荒い息を整えながら俺の向かい側に座る。
俺は蓮に適当に外で取ってきた木の葉を【ウォーター】で洗浄したもので肉を巻いて蓮に差し出す。
「…あ、ありがと」
息も絶え絶えな蓮が礼を言ってから肉を受け取り咀嚼し始める。
むしゃむしゃと食べている蓮を見て俺は先ほどと同じ質問を投げかける。
「何で走ってたんだ?」
「え、体力つけようと思って」
ひどく端的な答えが返ってきた。
「体力?」
「うん、だって僕戦士職なのにこの体型は無いなって思って」
そういって自分の体を見る蓮。俺も釣られて見るがそれは脂肪がまとわりつき見るに耐えない腹だった。
「確かにな」
そういって俺は肉を咀嚼し始める。
肉を食べ終わる頃に先に肉を食べ終わった蓮が変なことを言った。
「なんか変なスキル覚えた!」
俺はそれを聞いたときに思い出していたのはバンダースナッチのアイテムにスキルを覚える類のものは無かったはずだ、である。
だが蓮がくだらないうそをつくことも無いだろうと信じる。
「何て名前?」
もちろんスキルのである。
「え、っと」
俺に言われてステータスで確認する蓮。
「【強奪】だって」
「ほぉ」
蓮からスキル名を聞いて俺は息を吐く。なぜなら蓮が今口に出したスキル名はバンダースナッチの固有スキルだからだ。俺はバンダースナッチを一撃で倒していたので関係が無かったがあの獣は相対した相手のスキルを奪うと言う厄介なスキルもちなので、本気で前衛殺しなのである。
「よかったな」
そういってから俺はかき込む様に肉を食う。すべてを食い終わりステータスを確認すると俺にも変なスキルが増えていた。
【AGI補正大】
残念ながら強奪ではなかったが中々有用なものを手に入れることができた。
まぁ、俺はAGIが上がっても体型が肥満児なのであまり意味を成さないが。
と言うことで体を鍛えるために俺は蓮と一緒に走ることにした。
体作りとバンダースナッチ狩りを続けて二週間ほど。
少しスマートになった蓮をつれて、兄弟で初の狩りをすることになった。
ステータス
【名前】シュウヤ・トウドウ
【種族】人間
【職業】魔法使い見習い
【レベル】36
【能力値】
HP:1670
MP:7890
SP:0
STR:187
VIT:189
DEX:1170
AGI:390(補正大)
INT:4890(補正有り)
【スキル】
・基本魔法【火】Lv3【水】Lv2【風】Lv2【土】Lv1【雷】Lv4【氷】Lv1【闇】【光】Lv1
・初級回復魔法【ヒール】【キュア】
・空間魔法【ショートワープ】
【称号】
・異世界人 ・必殺者 ・雷撃魔道師(雷属性に補正有り)