第5話:疑問
「戻りましたー」
もう誰もいないであろう自分たちの仕事部屋に一応、声をかけて入る。
「おかえりー」
「あれ? まだいたの?」
「あんたが帰ってないのに指導担のあたしが帰るわけにはいかないでしょう?」
三千代のそっけない言葉の裏側にある優しさに、思わず明日香はにんまりと笑ってしまう。
「そんだけ嬉しそうな顔をするってことは、見つかったのよね? 指輪」
「………見つかってない。何か幸さんの話って本当なのかなって」
「何でそう思うの?」
「元々、迎えに行った時指輪をしていなかったのと、あとはカンかな」
眉間にしわをよせながら真面目に考える明日香に、三千代は助言した。
「そんなに気になるのなら、館に行って彼女の本を探して来たらどう? もしかしたら何か分かるかも………」
「そっか。じゃあ、館に行ってくる!!」
「………おいおい、人の話は最後まで聞けよ」
一目散に部屋を飛び出して行った明日香に残された三千代は、一人つっこみを入れた。
明日香は、走って館に向かう為に門へと急いだ。そして、館のある森への扉をくぐり抜けると本のある部屋へと急ぐ。
「えーと幸さんの本はっと?」
いくつもある本棚の端から端まで見て回るが目的の本は見つからない。
「嘘!! 何でないの〜」
結局、本が見つからず明日香は床にへたり込んでしまう。
「何をしているの? 明日香」
「へ?」
頭上から降ってくる声の主を探して上を向くと、そこには何冊かの本を抱えた円がいた。
やばい、更新せずに一か月たってしまった。
月1連載のはずが……。
なので今月は月2を目指します。