第4話:少女との出会い
「その指輪、あたしの!!」
「えっ、でもこれは私が探している物かも…………」
「指輪の内側見てみろよ! イニシャルあんでしょ!」
明日香は、指輪の内側を見る。すると、確かに少女が言ったようにイニシャルが彫ってあった。
(幸さんが言ってたのは、永遠の愛だったよね。確か)
「ああ、確かに私が探していたのとは違うみたい。はい、どうぞ」
明日香は、少女に指輪を手渡す。
すると少女は、一瞬、とてもホッとした笑みを浮かべる。
そして指輪を大切そうに小さな袋にしまう。
その姿を見て明日香は、少女の歳相応な姿に微笑む。
(中学生くらいかな?)
袋を大切に仕舞いこみ少女は、明日香をじっと見つめてきた。
「あんた、何してんの?」
少女の問いに明日香は、苦笑する。
(もう深夜だものね、不審人物と思われちゃったかしら)
「ああ、仕事でね。ここで指輪を無くしたって人がいるのよ」
「へーーー。でも、何でわざわざ夜なわけ?」
「昼間は他の仕事があるから。あなたこそ、こんな時間にどうしたの?」
「別に。関係ないでしょ!!」
少女の気に障る問題だったらしく、彼女は公園から足早に去って行ってしまった。
「あらら、行っちゃった。にしても、本当にここなのかな?」
明日香は、幸の言葉がどうにも信じられなくなってきてしまう。
「とりあず、役所に戻って相談してみよう」
明日香は、ポケットから古びた鍵を取りだす。そして、それを何もない空間に差し込む。するとその鍵の先から淡い光が生まれ、扉が作られた。
この扉こそ、あの世へと繋がるものである。
明日香は、鍵を抜き取るとその扉を開き、その中へと消えていく。扉が閉まると同時に光で出来た扉は消失した。
この時、明日香は重要なことに気付いていなかった。
少女は、明日香に話しかけたのだ、死んで魂だけの存在である明日香に。
久しぶりの更新です。
頭をリングモードに戻すのに苦労しました。