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リング  作者:
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第2話:指輪

 管理局・第3課。

 この部署は管理局の中でも特殊な課だ。

 仕事の内容はというと、守護霊としての役目を終えた魂を転生させるのが仕事である。

 扱う仕事が仕事なので管理局の中でも他の課との交流は極端に少ない。あるとすれば、新人研修を行う時くらいだ。今回の明日香のように。


 「失礼しまーす。明日香です、呼び出しによりまいりました」

 「ああ、明日香君。ご苦労様。どうだい、研修は?」

 「何とかこなしてます。それであの女性はどこに?」

 「あそこだよ。何を言っても泣くばかりなんだよ。お願い出来る?」

 「努力します」


 明日香は、部屋の奥のソファーに座っている女性の元へと行き、声をかける。


 「あのー、幸さん? 昨日、お会いした明日香ですけど」


 明日香の呼びかけにわずかに反応した女性は、少し顔を上げ明日香の顔を見ると再び泣き出す。


 「…………っく、ゆっ指輪が無いの。とっても大事な物なのに…………」

 「指輪ですか?」


 明日香は、幸と会った時のことを思い出す。


 (指輪なんてしてたっけ?)


 「それで、その指輪はどこで無くしたの?」

 「分らないの。………………気付いたら指からはずれていて」

 「それって、そんなに大事な物なんですか?」

 「結婚指輪なの。主人に貰った大事な宝物なの」


 そんな女性の言葉に明日香は、ついこんなことを思ってしまう。


 (転生したら忘れちゃうんだけどな)


 自分でもかなり薄情な言葉にそれでは駄目だと思い、これからどうするべきか明日香は、考えた。

 そして明日香は、悲しげな顔をする女性を見て、決心する。


 「分りました。私が探して来ます。だから指輪の特徴と無くした場所の心当たりを教えてください」

 「シルバーの結婚指輪。永遠の愛って彫ってあるの。無くしたとしたらあなたと会った公園だと思うの」

 「じゃあ、その公園を探して来ます。でも、もしかしたら無い可能性もあるってことは覚悟しておいて下さい」


 女性は明日香の言葉にコクリと頷いた。

 明日香は、3課の局員に女性のことを任せると現世へと向かった。

 

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