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リング  作者:
15/31

第15話:回想

 きっかけは何だったのか今でもよく分からない。元々、つるむのは好きじゃなくて一人でいるのが気が楽だった。それにそんな自分でも気の合う人間もいたし、先輩達に知り合いもたくさんいたからそれなりに楽しかったと思う。


 自分のすることに責任は持つ。それが自分なりの生きていく上でのルール。だから、髪を染めて呼び出された時も下を向くということはしなかった。

 先輩達には、馬鹿だなと苦笑されたけど。


 変わったと思ったのは、自分が三年になった時。受験生という言葉が自分達を示す呼称になったあの時から少しづつおかしくなっていった。

 高校合格というゴールを目指して、ただがむしゃらに勉強する日々。

 親の期待や学校、塾の講師達の期待。そんなものが皆を押しつぶす重りになっていった。

 だけど、面と向かって期待はするなとは言えない。だから、そうやって内面に抑圧された何かを皆は晴らしたかったんだと思う。


 

 「最初はさ、クラスでも意思の弱い子とかがターゲット。先生達にばれたら内申に響くからばれない程度に嫌がらせをするんだ。そしてふとした時にそのターゲットが変わる」

 「幸菜も参加したの?」

 「まさか! あたしはそういうのが一番嫌いだ。だって卑怯だ。相手に何か不満があるならあたしは直接言う」


 ここには居ない誰かに挑むように、幸菜は空を睨む。


 「あたしってこんなだし、勉強も出来ないから。三年になってからは、窓際の一番後ろの席でただ空を眺めてたんだ。何か空を見てると心が落ち着くっていうか、嫌なこともほんの些細な物に変るんだ。だから、気がつかなかった。クラスであんなことが起きてたなんて」

 

 授業が終わるとすぐ帰るという日々を送っていたあの頃。

 たまたま、忘れものをして教室に帰ったあの日に目にした光景を今でも覚えてる。


 あるクラスメイトの鞄の中身をぶちまけてそれらを楽しそうに笑って踏みつけていたクラスメイト達。そして、他の子に抑えつけられながら泣いて叫ぶあの子を指差して笑う姿に吐き気がして気がついたら教室に怒鳴り込んでいた。

 そしたら蜘蛛の子を散らすように人はいなくなって、気がついたらあの子と二人きりになっていた。


 「大丈夫?」

 「………………ごめんなさい」


 そう言ってあの子は去って行った。何で謝るのか分からなかったけど、次の日に教室に行ったら分かった。ターゲットが自分に変わったんだということに。

 そして昨日助けたあの子に視線を向けるとすぐにそらされた。


 ただ、それが悲しくて、悔しくて。


 「一応、あたし喧嘩も強かったし。だから方法を変えたみたい。肉体的にじゃなく精神的に追い詰める方法に。自分はけっこう打たれ強いって思ってたけど、違ってたよ。全然強くなんかない」

 

 

 


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