第13話:直感
明日香と幸菜は、一緒になって指輪を探し始めた。時々、その様子を明日香は盗み見る。
(口は悪いけど、基本的に良い子よね、この子)
幸菜は、率先して植木に手をつっこんで一生懸命に探してくれているのだ。
「ちっ、見つかんねぇ。ねぇ、そっちは?」
「うーん、こっちもないわね」
「少し、休憩しない?」
「そうね、休みましょうか」
二人は近くにあったベンチに並んで腰かける。時計を見ると探し始めてからゆうに二時間は過ぎていた。
「ずいぶん遅くなっちゃったわね。ごめんなさい、付き合わせちゃって」
「別に暇だからいいよ」
「でも、明日も学校があるだろうしここまででいいわ。ありがとうね」
さすがにこれ以上遅くまで外にいさせるのはまずいと思い、明日香は指輪探しの終了を告げた。すると、幸菜の顔が曇る。
「…………別に学校なんか行ってないの分かるでしょ? この髪みれば……」
確かに幸菜の髪はいい具合に金髪に染まっている。
「そうなの? でも、今時小学生でもそれくらい染めてるじゃない」
「さすがに中学でこれだと目つけられるし。それに元々学校嫌いだしさ」
そう呟いた幸菜はとても悲しそうな目をしていた。
「そっか、学校が嫌いか。実は私も嫌いだったのよね。あなたぐらいの時」
「え?」
幸菜は明日香から出た言葉に思わず問い返してしまう。だって幸菜から見た明日香は、どう見ても真面目で人当りの好さそうな優等生タイプだ。
「あら、意外? 私、中学は半分以上出席してないのよ」
そんな幸菜にいたずらっぽい笑みを浮かべる明日香を見て、幸菜は思った。
――――この人ならあたしの思いを分かってくれるかもしれない。
こんな会ってすぐの人間を信じるなんてバカだと思われるかもしれないけど、自分の周りにいる人間とは少し違うんじゃないかと思えたから。