第12話:夜の公園
幸菜の後を追った明日香は、公園へとやって来た。自分の予想通りなら彼女はここにいるはず。
薄暗い公園を見渡すとジャングルジム付近に人影を見つける。
「あれかな?」
人影にゆっくりと近づくとその影の正体はやはり幸菜だった。
(見つけたはいいけど、どうしようかな)
いきなり自分から声をかけたところで不審がられるのは目に見えている。
だったら彼女の方から声をかけてくるようにもっていくのがいいと考えた明日香は、何かを探すそぶりを見せながらジャングルジムへと近づく。
「…………ない。どうしよう…………」
明日香は、ジャングルジムの下までいくと大きくため息をついた。すると頭上から声がかかる。
「あれ、あんたはこないだの……」
(よし、かかった)
明日香は幸菜から見えない位置で小さくガッツポーズをする。
「あら、あなたこの間の子?」
「もしかしてあんた、まだ探してるの?」
幸菜の声には、驚きと若干呆れが混ざっている。
そんな幸菜に明日香は苦笑しつつ答えた。
「もちろんよ! 私の仕事だもの。そういうあなたこそ、こんな遅い時間にどうしたの?」
「関係ないじゃん!」
「そう、でも遅くならないうちに帰ったほうがいいわよ」
幸菜は、明日香のあっさりとした言葉に驚く。そして、すぐに探し物を始める姿を見て幸菜の口からは思わずこんな言葉が出た。
「あたし、暇だし手伝ってやるよ」
幸菜の素直とは言い難い態度にも明日香はにっこりと微笑んで言った。
「ありがとう、助かるわ」