7/8
エピローグ なずな
私は、忘れていたの。
あなたがずっと、そばにいてくれたことも――
誰かを想う気持ちが、こんなにもあたたかいということも。
あの欠片に書かれていたのは、
かつて私が書いた、名前のイニシャル。
おままごとでお茶を入れて、一緒に笑った、あの頃の小さなティーセット。
あなたの席には、いつもバラ模様のお皿とバラの刺繍が入ったナプキン。
私はそのお皿に小さな手で「N&T」と書いたんだ。
忘れていた記憶が、欠片からあふれるように戻ってきた。
最後にもう一度、あなたに会えてよかった。
そして今、あなたは私の大切な孫の小さな手の中にいる。
私はもう、この世界を離れるけれど、
この空のどこかで、静かに見守っているよ。
あなたと、あなたを大切にしてくれるあの子が、笑って過ごせるように。
ありがとう、トゥルル。
生まれてきてくれて、
ずっと一緒にいてくれて――本当にありがとう。




