第4章 真奈の入院
真奈が緊急外来に運ばれた次の日
真奈は外来にかかった。
秀二も彼女の役に立ちたいという事から付いていくことにした。
二人は待合室で順番を待っていた。
「ごめんなさいね。付きあわせっちゃって」
「いや~、暇だし自分から付いていくと言ったんだから」
少し照れながら彼は答えた。
「あっ、真奈さんはクローン暦何年ですか?僕は6年なんですが」
「私は中学2年だから、もう10年くらいになるわ。6年前に一回だけオペをしてそれからは入院していないわ」
「へ~、僕なんか6年なのに2回もすでにオペしていますよ。しかもまた腸が細くなっているし」
「そうなんだ。でもこの病気したから、看護婦になろうと思って、去年から看護学校に通う事になったの」
「すごいな~、僕とはえらい違いだ」
二人で話をしているうちに、彼女の番が来て呼ばれた。
「如月さん」
「あっ、はい」
彼女は診察室へと入っていった。
秀二は待っている間、真奈のことばかり考えていた。
そして20分後……
彼女は暗い顔をして出てきた。
「どうでした?」
「腸にガスがすごく溜まっているから、明日にでも入院したほうがいいって」
「入院ですか……まあ、早く入院したほうが早く退院出来ますよ」
「そ、そうね」
彼女は微笑みながら答えたが、やはり落ち込んでいるようだ。
次の日の朝……
彼女は母親に付き添われて、病院へやってきた。
そして看護師から4人部屋へ案内された。
4人部屋といっても今は彼女だけだった。
しばらくしたら担当の看護師が挨拶に来た。
担当の看護師は早乙女だ。
といっても彼女は北斗の妻になったため、神威という姓に代わっている。
真奈が入院していた時には早乙女はいなかった。
そのためお互いはじめてだった。
時間は流れて、時計の針は昼の12時を差していた。
そして昼過ぎには秀二もやってきた。
「こんにちは……あれ?もしかしてお母さん?」
「そうよ。お母さん、この人が昨日言った河村秀二くん」
「どうも秀二です」
「この前はありがとうね」
「あっ、はあ~……」
彼は頭をかき照れ笑いした。
「担当の看護婦さん、早乙女さんか」
「早乙女?神威さんよ」
「あっ、旧姓は早乙女で、僕の兄弟子、ほらこの前の人、あの人と結婚して苗字が変わったんですが、僕は未だに早乙女さんと言ってしまうんですよ」
その時、ちょうど早乙女が部屋に入ってきた。
「あら、秀二くん」
「どうも」
「知り合いだったの?」
「最近ね」
「そう……あっ、如月さん、これ明日の検査の予定表」
「ありがとうございます」
「じゃあ、何かあったらナースコールで呼んでくださいね」
「はい」
「明日は胃カメラですか」
「そうみたい」
「まったく検査も嫌ですよね~。レントゲンみたいに楽だといいのに」
「そうね」
この検査で彼女に悲劇の真実が待っていることをまだ誰も知らない。