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第9章 自暴自棄

真奈が亡くなってから半年が過ぎた。

その間に秀二は北斗が勤めている工場にアルバイトとして入社するが、調子が悪くなり半年で退社した。


その後、今度は彼が入院をするのだが、真奈を失った事により自暴自棄になっていた。


「また、自分の顔を殴ったの」

と、担当の看護師から注意を受けていた。

「別に他人を殴ったわけじゃないからいいでしょ」

「そういう問題じゃ」

「出て行ってくれないか」

「……いい、もう自分で自分を傷つけるのをやめてくださいね」

そう言って担当の看護師は出て行った。

その時だった。

同じ病室の60代くらいの男性が秀二に注意してきた。

「おう、兄ちゃん、入院してイライラするのは分かるが、あまり看護師に迷惑かけるなよ」

「……ほっといてくれませんか」

「何!」

男性は秀二の態度に腹を立てていた。

その時だった。

その男性の担当の看護師が入室してきた。

男性の担当は早乙女だ。

「看護師さんよ」

「はい」

「悪いがあの兄ちゃんと別の部屋にしてくれないか」

「えっ?何かありましたか?」

「いやね。あいつの態度を見ていると腹が立つんだ」

その言葉に秀二はこう言った。

「アンタが出て行けよ」

「秀二くん」

「ほらね~あんなヤツと一緒の部屋だとストレスが溜まる」

「スイマセン。ホントはいい子なんですが」

「俺はどうせチンピラですよ」

「秀二くん……」

その時だった。

退院間近の内気が入室してきた。

「秀二さん、来週退院が決まりましたよ」

「内気くんおめでとう」

と、早乙女が祝いの言葉を送った。

だが、秀二はこう言った。

「あっ、そう。良かったね。まあ、がんばれや~」

そう言って彼は部屋を出た。

「秀二さん……」

「大丈夫よ。内気くん。すぐに秀二くんも元気になるわ」

「そうですよね」


秀二が向かった場所、それは喫煙所だった。

真奈と禁煙を約束してから、止めていた彼が、久々にこの場所に来たのだ。

そして、ふと、椅子を見ると、誰かが忘れたタバコが落ちていた。

秀二はそのタバコを拾い、吸おうとしたが、真奈との約束を思い出し、すぐに喫煙所を出た。

「真奈ちゃん……会いたいよ」

小声でそう呟いた時、彼の目から涙が流れた。


その時!秀二の携帯が鳴った。

相手は師匠である館長からだ。

縦社会の厳しい武道の世界

さすがに師匠である館長には丁寧な言葉使いで会話をしていた。

「押忍!今日の夕方お見えになられるのですね。ありがとうございます」


夕方……


館長が見舞いに来られたので、秀二はロビーに案内した。

館長は弟子思いだ。

内弟子ならともかく、外弟子の秀二に、しかも付き人も付けず、一人で来られたのだ。

「押忍!館長!お忙しい中ありがとうございます」

「おう、で、調子はどうだ」

「あまり良くないです」


秀二が通っている実戦空手道新戦会は館長の後藤勇5段

その下に内弟子であり四天王と呼ばれる方たちがいる。

師範の土方歳夫3段

指導員の沖田一2段

同じく指導員の永倉新一2段

同じく指導員の原田光介2段

そして神威北斗初段

以上が黒帯で、弟の秀三は茶帯だ。

秀二はあまり練習に出れないため、まだ色帯であった。


「おっ、もう19時か……」

そう言って館長は帰宅した。

秀二は館長が見えなくなるまでお辞儀をした。


その後病室に戻ると夜勤の看護師からこう言われた。

「明日、河村さんは、隣の病室へと部屋を変わってもらいます」

「はあ?何で俺が、出て行くならあのオッサンのほうだろう」

「もう決まったことです」

そう言って看護師は退室した。

「クソジジイ!」

「若いな。こんなことで切れるなんて、お前さんはまだ人として未熟だな」

「なんだと!」

その時だった。

今日の勤務を終え、帰宅しようとしていた早乙女が入室してきた。

「秀二くん、いい加減にしなさい」

「……」

「病院で問題を起こせばどうなるか分かるでしょう」

「クッ……」

「今は自分の体のことをまず考えなさい」


普段優しい早乙女が、ついに秀二に対して本気で怒ったのだ。

それに対して秀二はこんなことを言った。

「俺、退院します」

「えっ?」

「どうせ病院ここにいても治らん病気じゃ」

その言葉に早乙女は険しい顔をし、その後は何も言わずに部屋を出て行った。

早乙女にも分かっている。

彼の今の精神状態が不安定だという事を……

そのために一時退院させたほうがいいのではと彼女は思った。


次に日、秀二は隣の病室へと移動した。


そして夕方……

彼の担当医が入室してきた。


「まあ、看護師からいろいろ聞いている」

「……」

「確かに今の君の不安定な精神状態じゃ長期入院は無理です」

「はあ」

「明後日にでも、一度退院するかね?」

秀二は悩んだが、自分自身でも長期入院は無理だと分かっていた。

「じゃあ、退院します」

「じゃあ、師長に伝えとくから」

「はい」


真奈を失った事により、「生きる希望」をなくした秀二。

この先彼は立ち直る事ができるのか?








新撰組が好きなんですが、今やっている大河ドラマ「龍馬伝」を見ていたら、坂本龍馬に興味を持ち始めました!

福山さんの龍馬カッコいいぜよ><

あと土方役には「風林火山」で上杉謙信を演じた神威楽斗さんに演じてもらいたかった……

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