序章 ネット作家秀二
僕の今までの出来事を思い出しながら、病気と戦う人たちを描いてみたいと思います。
この物語は作者の人生をモデルにしたフィクションです。
実際の人物・団体などには一切関係ありません。
2009年春……
30代の男性がパソコンに向かい何かを書いていた。
昔の写真を見て、男は何かを思い出そうとしていた。
その男はクローン病という病気を抱えながら、ネット小説を書いているフリーターで、名は河村秀二という。
彼は今、自分の自伝を書くために昔の事を思い出していたのだ。
1979年2月22日……
河村家の次男として彼はこの世に生を受けた。
父は河村重蔵、母は河村蘭、そして5つ上には長男の河村秀一がいた。
彼の父重蔵は格闘技が好きで、子供たち二人と共に少林寺拳法を学んでいた。
特に秀二は格闘映画や格闘漫画の影響もあり、毎日稽古に励んでいた。
彼が9歳のときには、弟が生まれた。
名は河村秀三。
だが、その頃に、秀二は泳げないため少林寺をやめさせられ、スイミングスクールに通わされる事となった。
だが彼はその後も兄に技を教えてもらったり、我流で武道の稽古は続けた。
時は流れ1991年……
秀二は中学生となっていた。
1年の時は武道をやっていたのに弱いという理由から、同級性にいじめられていた。
呼び出され、殴られ、金をたかられる。
そんな日々が続いた。
さらに2年の時には、親が離婚した。
それからの彼は「悪」という存在憧れ始めた。
だが、根性がないため、せいぜい喫煙や飲酒、後は授業をサボるくらいだった。
また、アニメのキャラに恋をするなど、まだ幼い所もあった。
だが、調理師の専門高校に入学してから、彼の性格は変わっていく。
教師による暴力、生徒同士の喧嘩、そんな修羅場の中で、ついには彼自身平気で人を傷つけれる人間になってしまった。
自分がかつていじめの経験があるのに、今度は彼自身がいじめをするようになってしまったのだ。
そしてそんな悪行を行ったためか、卒業後、パン工場に就職するのだが待っていたのは地獄のような現実だった。