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切れた絆

 ……結局眠ろうとしても眠れないのでふらりと部屋を出たアイオンは、ほぼ無意識に王太子の居室のほうへ足を向けた先で呆然と立ち尽くしていた。


 細い背中が薄水色の花が咲き乱れる内庭にうずくまっている。

 泣くのが下手な子どもに似た嗚咽が静かな夜に響く。


 頭を思い切りぶん殴られたような衝撃を受け止めきれず、声すら出ない。

 膝を抱えてひとりで泣いている彼女の手がきつく握りしめているのは、焼け焦げた白い布の切れ端だった。


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