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魔力異常の原因を突き止めよう

 実際に追慕の森へ来てみると、昼間でも伸ばした腕の先すら不明瞭なほど濃い霧に包まれている。

 それに、この土地から湧き上がる魔力の密度。そりゃ健康被害も出るか。

 霧を抜けて上空から案内してもらう用に「鳥」のマリオネットを連れてくればよかったかなぁと思いつきはするものの、今さら悔やんでも遅い。

 あの子本当に便利なんだよね。最近なんだか愛着まで湧いて来ちゃった。今度名前でもつけてあげるかな。

 ヘンリエッタがそんなよそごとを考えているうちに、レオナルドは早くも魔力の流れを観察する体勢に入っている。

「えーとまず土地の魔力を鎮めて……妙な魔力反応もあるって言ってたっけ。確かに感じるな。土地からの自然な魔力の噴出とは別件っぽいけど、反応の在処は森の中だ」

「入ってみよっか」

 霧に包まれた森の中へはぐれないよう気をつけながら、足元に注意し、整備された歩道に沿ってヘンリエッタたちは進んだ。

 季節柄だけではない肌寒さと、野生動物の気配すらしない自然らしからぬ静けさがこの場所が霊場だということをしんしんと伝えてくる。

「いや~なにこれ……リス一匹いないよぉ……」

 実りの秋を迎えた森なのに、木の実を頬張り走り回るリスや鳥たちの姿がちっとも見当たらない。頬を引きつらせるヘンリエッタに、レオナルドも乾いた笑いで応じる。

「うはは……。もし魔力異常の原因が幽霊だったらさすがに俺は専門外だわ……」

「私だってそんなの専門にした覚えないっての……」

「……あ。墓地だ」

 レオナルドが立ち止まったのでヘンリエッタも足を止めた。正直先頭に立ちたくない。

 歩道は墓地に続いていた。この森に行き着けたとしても、自殺者の魂はどの宗教においても安寧を祈られることはない。

 墓石の形状もなんらかの宗教的シンボルの形に整えることを許されていないため、墓地といっても掘り出されたままの形で大小さまざまな石材がずらりと並べられているだけだ。濃霧に包まれたそれらに目をこらしていると、不気味さより切なさが勝ってくる。

 早く終わらせて領主館に戻ろう。


「この森、昔はご遺体の一部や遺品を墓石の下に埋めてたけど、スペースがなくなってきたから遺灰を霊廟におさめる決まりに変わったんだよね。問題の魔力反応の出所はここじゃないっぽい、となると次は……霊廟のほうを調べてみるべきかな?」

「そうするしかなさそうだ。しっかしここにハイラント殿下がいなくてよかったなぁ」

 霊廟のある方角からより一層禍々しい魔力を感じ取り、どうあっても霊廟をスルーできないと悟ったレオナルドが空元気丸出しで伸びをする。

 ヘンリエッタは彼の冗談で仕事モードから引き戻され、くすくす笑う。

「確かに、もし殿下がいたら空気やばかったよね! 幽霊系のネタ全然受け付けないんだもん殿下!」

 普段はまるで完全無欠、岩のごとく不動の貴公子であるハイラントだが、いわゆるスピリチュアルなネタには毎度不愉快そうな仕草をする。怖がっているのとは少し違うようで、その徹底ぶりは「ご先祖さまが見ていますよ」とか「偉大な先人の魂に恥じぬように」などの大人が子どもを諭すときに使うお決まりの文句にすら拒否感を示すほどだ。

「ふふ、今度そのことアイちゃんにバラしちゃおっかな? 大サービスで秘蔵の思い出話も添えて! そしたらアイちゃんの頭の中の『完璧なハイラント像』に情けなさとか親しみやすさが生まれてさ、多少勝ち気になれるかもしれないよね」

 別に世の中の兄弟はみーんな仲良しじゃなきゃいけないなんて思ってないし、相性ってもんがあるから殿下とアイちゃんもお互いに合ってる距離感を見つけたらいいと思うけど、兄に一方的に凹まされ続けてるアイちゃんが、このままどんどん弱腰になっていったんじゃあんまりだ。こんな理不尽を続けられたら誰だって、兄弟喧嘩すら挑む気が起こらなくなる。私は殿下の婚約者だけど、アイちゃんの処遇に関してはもちろんアイちゃんにつく。

 新発明を思いついたようにはしゃぐヘンリエッタを、しかしレオナルドは慌てて宥めようとする。

「い、いや~アイオンにハイラント殿下とヘンリエッタの楽しい思い出を聞かせるのはもしかしたら~……俺が思うに良くねぇかもな~……?」

「えっ? なんで?」

 レオなら面白がって乗ってくれると思ったのに。

 予想外の反応に目を丸くして聞き返しても、レオナルドははっきり答えてはくれず、難しい顔で首を横に振る。

「なんでもだよ、理由は聞いてくれるなヘンリエッタ。俺の勘違いならいいんだけど、もし当たってたらだいぶ地獄だからさ……」

「じ、地獄って……? まぁレオがそこまで言うならやめとくけど……?」

 ヘンリエッタは釈然としないながらもレオナルドの忠告を受け入れ、同時に頭を巡らせる。

 え~なんでダメなのかな。けどまぁなんせ相手はぶっきらぼうに見えてかなり繊細なところがある思春期男子で、つい最近ドでかいダメージを食らったばかりだ。間違っても知らぬ間に傷つけたりはしたくない。……でもそっか、アイちゃんからしたら即位記念日に殿下と嬉しくない対面を果たした直後なのに、その矢先に殿下の話なんかつくづくと聞かされたくはないか。考えてみれば当たり前だよね。

 危ない危ない、レオにストップかけてもらって良かったよ。

「道に沿っていけば霊廟に着くよな。気をつけて進もうぜ」

「うん」

 レオナルドの声かけに頷いて、ヘンリエッタはまとわりつく霧を裂くようにまた一歩踏み出した。


「……?」

 しばらく歩いたところで霧に遮られた前方にふっと暖色の灯りがぼんやりと見え、ヘンリエッタは眉をひそめた。

「ねぇレオあれって……、ん?」

 隣にいるはずのレオナルドを振り返るが、彼の姿どころか気配もない。ヘンリエッタは驚いて「レオ!?」と呼びかけながら周囲を見回すけれど、返事はないしどこに注意を向けても空振るばかりだ。

 足元に視線を落とす。ヘンリエッタの両脚はきっちりと歩道に立っていて、レオナルドではなく自分のほうがどこか的外れな地点に迷い込んでしまったという線もなくなった。

 ……か、怪奇現象じゃ~ん……。

「あはは……こんなことホントにあるんだ……。まっ、それぞれ霊廟が目的地なんだしいつかは合流できるよね」

 困惑に乾いた笑いをこぼすのもそこそこに、さっくり意識を切り替えたヘンリエッタはとりあえず前向きにあの灯りを目指すことにした。

 これでまた延々歩き続けてもあの灯りにたどり着けないなんて展開でもあったらもっと追い詰められただろうけれど、歩を進めればちゃんと正しい方向に移動することが出来た。

 光源の正体は何のことはない、ぼろい番小屋のはめ殺し窓から漏れ出す光でしかなかった。追慕の森は一般開放が明日に迫った共同墓地のような場所だ、こういう番小屋があっても不思議じゃないだろう。

 まずは戸の前でじっと様子を観察すると、灯りに照らされた小屋の中ではひとりぶんの影がちらちら動いている。

 番人さんは勤務中のようだ。

 もう一度辺りを見回してみてもただでさえ霧のせいで視界が悪く、レオナルドも見つからない。この謎現象の打開策を教えてもらえるかもしれないし、ここの人に話を聞いてみよう。もしかしたら中に人間でないものがいるのかもしれないけどその可能性はいったん横に置いておく。

 ヘンリエッタは戸を二度ノックする。

「あのーすみません、フェザーストーン公爵の依頼で来た者なんですけど……」

 声を掛けると「どうぞ」と落ち着いた男性の声で返事があった。よし、敵意はなさそう。

 戸を押し開けて身体を滑り込ませたヘンリエッタは、番小屋の中にひとりの人間を見た。よしよし、人の形をしてるし透けてもないし人影の数と人数も一致してる。

 窓から見えたシルエットはひとりぶんだったはずが蓋を開けてみれば何人もいたとか、人影とは似ても似つかないおばけだったとか、そういうことはなかった。

 ひとまずほっとしたものの、小屋の中に灯っていたのは頼りないろうそく一本きりで、この番人らしき長身の男も黒いローブを頭からすっぽりかぶり、顔かたちがちっとも見えない。かろうじて口元が見えるか見えないかというレベルだ。……せ、セーフかこれ? アウトだったりしない?

「大丈夫。私は化け物ではありませんよ」

 ヘンリエッタの心を読んだようにローブの人物が笑みを含んだ声で言った。こちらを安心させようと配慮してくれている人の声だ。若々しい雰囲気だけど結構年上?

 ヘンリエッタは照れ笑いしつつ、

「や、バレちゃいますよねー? 私怖がりってわけじゃないつもりなんですけど、ここを見つけるまでに友人と変なはぐれ方しちゃったもんでつい……。失礼しました」

「そうでしたか。ご友人はひとりで大丈夫でしょうか?」

「えぇ、敏腕魔術師なんでそこは」

 ん? 連れはひとりだなんて言ってないんだけどな?

 にこにこ顔で返事しながらヘンリエッタは内心で少し首をひねったが、相変わらず彼から悪意は感じられないし、細かいことでいちいち疑ってかかっていられる状況でもない。

「でもあのとき本当に、普通はぐれるはずのない状況で急に彼がいなくなったんです。番人さん、……でいいんですよね? 怪奇現象の相談しても引きません?」

 念のため確認すると彼は「なんでも訊いてください」と鷹揚に請け負う。番人かどうかについて肯定したと取って良いかは微妙な答えだ。

 ヘンリエッタはにっこり笑って、

「良かったぁ。それで友人と合流したいんですけど、こういうときどうしたらいいか知りませんか?」

「そうですね」

 彼はふむと一瞬考え込むそぶりをし、

「あなたがたはなぜここへ? 明確な目的地があるならそこで合流するのが早いでしょうし」

 ヘンリエッタはいつも通りの軽い調子で答える。

「この森に異常な魔力反応があるでしょう? それをなんとかするお仕事なんです。でも墓地にはそれらしい反応がなくて、霊廟のほうへ行ってみようって話し合ってたところではぐれちゃって」

「あぁ。それなら……」

 彼は半身を引くようにして背後の机に手を伸ばし、それからそれをヘンリエッタに向ける。

「これが原因でしょうね」

「………………、えっ」


 いやいやいやこんなスッと出されるよーなもんじゃないでしょこれ。


 というヘンリエッタの感想はびっくりを半ば通り過ぎ、呆れの領域に入っている。

 ローブの男が差し出してきたのは象牙と金細工を組み合わせた折りたたみ式のペーパーナイフだった。美しく繊細な彫刻が施された逸品で、本来ならいくらと値段がつけられるかも怪しい。

 ただ現実には、とても人が所有することなどできない常軌を逸した魔力を放っている。

 間違いなく魔力反応の原因はこれだ。

「うわ……! このペーパーナイフ、これを探してたんです私たち! めちゃくちゃ魔力宿っちゃってるじゃないですか!? 一体どれほどの思い入れが込められてるんだか……こんな危険物持ち歩いてて大丈夫だったんですか?」

 となるとこの番人(仮)が一気にきな臭くなったので、ヘンリエッタはにこにこ顔を崩さず真っ先にそう問いかけた。この人やっぱり人外では?

 しかし番人(仮)は小揺るぎもせず穏やかに受け答えする。

「私もついさっき森の中でこれを見つけたばかりなんです。おそらくここに葬られた誰かの遺品かと。魔術はからきしの不肖の身でしてそんなに危険なものとは知らずに拾ってきてしまいましたが、手にしてから時間が経っていないおかげで身体を害されずに済んだのでしょうか」

「そうかもですね。運が良かったですね~!」

 愛想良く相づちを打ちつつ、ヘンリエッタは悟られないように番人(仮)を観察する。


 ……まぁさっき拾ったなんてのは嘘だよね。勘だけど魔術の心得も相当あるでしょ。

 どうして嘘なんかつく必要があるのかなー……?


 でも面の皮が厚いとか嘘をつき慣れているとかいう感じではなく、どんなに強く押しても倒れない壁のような、あまりに強固な芯を持った精神を相手にしているときの感覚がする。このまま会話の押し引きを続けて腹の底を見ようとしても、そうそう都合良く振り回されてくれるとは思えない。

 つまり、こっちに協力的な限りは突っついても得はないタイプだ。

 別にこのひとからは妙な魔力とかは感じないから、公爵からの依頼とは無関係だろうし……。

 仕事を優先するべきと判断したヘンリエッタは追及をやめ、彼の手からペーパーナイフをひょいとつまみ上げる。一見するぶんには何の変哲もない人間の手に見えた。あえて特徴を挙げるなら男の人の手にしてはすらりと優美で、身分の高さがうかがえる。

 彼がうっすら微笑んで言う。いかにも温和そうな形の笑み。

「あなたこそ、そんな風に無造作に取り上げても平気なようですが」

「ふふふ、そりゃ私は持ってるだけでおとなしくさせちゃえますし?」

 ヘンリエッタは得意げに笑ってペーパーナイフを両手のひらで挟むように握り込む。

 とたんに手の中で渦巻いていた魔力の塊がくしゃくしゃに丸められた紙くずのように無力なものに成り果て、それきり沈黙してしまった。

 なんせ身に宿す魔力量でヘンリエッタの右に出る者はいないから、どんなに強大な魔力の持ち主でもこんな風にされては為す術もなく圧力に負ける。莫大な水圧の前ではあらゆる物質が一瞬で押しつぶされてしまうように。

 宮廷魔術師時代もこういう厄ネタの最終的な鎮圧係はヘンリエッタだったくらいだ。アイオンに言った通り、モノを探し出しさえすればこうしてサクサク処理できる。

 番人(仮)は禍々しさを嘘のように引っ込めたペーパーナイフを見下ろして、ふっと思わず笑みが出るほど驚いたようだ。

「まるで別物になったように雰囲気が変わりました」

「このレベルだと完全に無害化するにはしばらく私が持ってなきゃいけませんけどね」

「壊してしまわないんですね? それが一番手っ取り早くて確実なように思えますが」

「壊しちゃうと宿ってる魔力がめちゃくちゃに飛び散って大惨事になりかねないんです。でもこれで、公爵の依頼は達成です」

「さすがですね」

 ヘンリエッタはおやと目を見開く。本当、簡単には情報を渡してくれないなぁこの人。

「なぁんだ。私のことご存じだったんですか?」

「あなたでなければお渡ししていません」

 彼はゆったりと、どこか満足げに微笑む。

「あなたには……本当に申し訳ないのですが。それを頼みます」


「――え?」


 次に瞬きした瞬間には目の前の景色が一変していた。

 ろうそくの頼りない灯りに照らされた番小屋の中じゃない。

 いつの間にかヘンリエッタは元の霧のまっただ中に立っていた。

 え、あれ、と辺りを見回してもさっきまでいたはずの番小屋が見つからない。

 もちろん彼の姿もない。

 ただ背後を振り返ると間近になにかがあり、驚いて飛び退る。

 少し離れてからよく見てみれば、それは真っ白な石棺だった。

 墓地にあった無数の墓標たちとは明らかに違う異質な棺が、黒く湿った地面にぽつんと単独で安置されている。

「ど、どこここ……」

 共同墓地でも霊廟でもない。頭の中の地図を開いてもこんな特別製の棺の情報はなかった。

 とにかく歩道に戻らなきゃ。

 ヘンリエッタはたじろぐように棺に背を向け、しばらく闇雲に霧の中を突き進んだ。

 そうしてやがて歩道に行き当たると、そこではっと我に返って「レオー!」と大声で呼んだ。

 すると向かいから忙しない足音が近づいてきて、「ヘンリエッタ!」と霧の奥からレオナルドが現れた。ほんの短い間しか離れていなかったはずなのに無性に懐かしい友達の顔に、ヘンリエッタはほっと胸をなで下ろす。

「レオ! よかった、無事だった?」

「俺はなんもないけどそっちは!? 明らかに変なはぐれ方したよな俺ら!?」


 レオナルドもこの怪奇現象に狼狽しているようで、心配そうに訊いてくる。それからふとヘンリエッタの手元に目を留め、

「うげっ、なんだよそれ! また妙な魔力してんな~……! 魔力反応の根源、ヘンリエッタがもう押さえてたのか」

「あーうん、押さえたっていうか……なんか変な人がいてさ……」

 ヘンリエッタがこれまでのいきさつを簡単に説明すると、レオナルドも「え……そんなの思いっきし怪奇現象じゃん……」とドン引きしていた。

「その偽番人、実は幽霊だったのかね?」

「ゆっ……、やっぱアレそうなの……?」

「いや俺も実際見たことねぇけど、いかにもそれっぽいだろ。案外くっきり見えるもんなんだなー。番小屋ごと嘘みてぇに消えたって言うけど、幽霊から受け取ったモノなのにそっちは消えてないんだな」

 レオナルドが興味深そうにヘンリエッタの手元を指す。

 そうだ、そういえばこのペーパーナイフだけは消えてない。受け取ってからずっと無意識に握りしめていた。

 ってことはあの番小屋での出来事は夢だの幻覚だのじゃないってことだよね……。

 いよいよ意味が分かんなくなってきた。あの番人(仮)さんも結局人間じゃなかったの? じゃあこのナイフも厄ネタ中の厄ネタでは? レオだってドン引きしてるし。

 いやでも、どのみちこれをおとなしくさせなきゃいけない以上、私はこれをしばらく身につけてなきゃいけないわけで……。うわ本気できもちわるくなってきた。

「ね、ねぇなんかおかしな現象の連続で不気味だし、コレの始末レオに頼んでいい?」

「ヤダ」

 ダメ元でナイフを差し出したヘンリエッタに、レオナルドは間髪容れず顔の前で両腕でバッテンを作った。た、躊躇いなくそんな子どもっぽい真似をっ。

「つーかどう見てもヘンリエッタじゃねぇと無理じゃんそれ。まとってる魔力の量も質も異常すぎ!」

「なぁんで~!?」

 ヘンリエッタは思いっきりブーイングした。断るにしてもせめて一回挑戦してみてからにしてよ!

「だってこれ絶対誰かの遺品だよ? ここまで魔力を溜め込んでるなんてやっぱこうよっぽどの怨念とかさぁ、そういうののせいじゃないの? だったら私の管轄外だよぉ」

「霊的な部分に干渉することに特化した魔術もあるんだぜ、魔力が関係してんだからやっぱヘンリエッタの管轄だろ。それにほら、俺は土地の魔力噴出のほうを落ち着かせるので手一杯だから!」

 ヘンリエッタがうだうだ駄々をこねてもレオナルドは飄々とかわし、童顔に浮かべた朗らかな笑顔で誤魔化してくる。いやそんなので誤魔化されたりしないけど。

 これ……海に捨てちゃダメかな? ダメかぁ~……。


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