第4話 絶対強者
「何か妙な雰囲気だな?」
黒髪の男はヤマトだ。
町に到着し住民の姿を探していたところ、この集団が目に入り近寄ってみたところだ。
「何だお前は?人間であるようだが我が国の者ではないな」
アルゴスが疑問に思うのも無理はない、アルテミスの人間は白人しかおらずアジア系の人間を見たことはない。
「白人か、ってかここは亜人しかいないんじゃなかったか?そう言われて来たんだが」
「我々はアルテミスの崇高なる民だ!お前はどこの田舎の国の者だ!」
田舎者扱いされムッ!とするヤマト。この第一印象だけですでに仲良くはなれないなと思ったヤマトは。
「オレは大日本帝国の者だ!」
「はあ?何だそれは聞いたこともない」
ヤマトは改めて思った、アルテミスなんて国は聞いたこともない、そして先程のエルフに周りには猫やら犬の耳をした人。
「やっぱり元いた世界とは違うんだな」
「何を訳のわからんことを、邪魔だてするなら人族とて容赦はせんぞ!」
アルゴスはアゴをクイッとさせると後方から剣を抜いた男が前に出る。以前剣から炎を出した勇者と呼ばれる者だ。
「剣か…………文明はかなり昔の世界なんだな」
ヤマトは魔法の存在をまだ知らず油断していた、そこへ勇者が剣を振り下ろすと。
ゴオオオオオ!
剣が地面に突き刺さると、ヤマトめがけて炎がほとばしる。
「なに!」
ドォーン!
ヤマトの足元から炎が立ちのぼり、ヤマトは炎に包まれた。
「アッチーー!」
「フハハハ!どこの田舎者か知らんがまともにくらいおって!消し炭になるが良い!」
しかし、炎はすぐに消えてしまった。ヤマトが両手を広げかけ声とともに霧散していく。
「フン!アッチーなこの野郎!あーあ、オレの一張羅が」
アルゴスを含め周りにいた人間も亜人も、その光景を見てあ然としていた。
「な、何だお前は、熱いとかそういうレベルではないはずだ。しかも、魔力を含んだ炎を消し去るだと?」
普通の炎と違い魔法による炎は魔力を含んでいるためそう簡単に消えるものではない。
「おい勇者!手加減など無用だ!人族だと手加減したのか?他国の人間にこの地を奪われる訳にはいかん!殺せ!」
「あ、いや、手加減したわけでは………」
勇者は再度詠唱を始めたその刹那。
「13mm連装機銃」
ダダダダダダダダダ!
ヤマトはそれより先に召喚した機銃をぶっ放す!大量の煙と大きな発砲音にその場にいた者たちは驚いて後退りをし、しばらくして煙が晴れてくるとやっとアルゴスが声をあげた。
「ななな、何だそれは………おい!勇者!早くあいつを……………あいつを……………」
そこに勇者の姿はなかった、あるのは元は人間だったのかと思えないほどに破壊された肉片があちこちに散らばっていた。
「あ?この鎧は勇者の…………?」
「そう何度も食らうかよ、ブツブツ何か言ってたが待ってるわけないだろ」
ブツブツというのは詠唱のことだ、その時間と弾速から考えればヤマトの機銃のほうが圧倒的に早く攻撃出来る。
「爆裂系の魔法でなければこうはならん………しかも長い詠唱が必要なはずだがあいつからはそんな様子もなかった…………」
この世界は魔法の発達により科学というものが全くと言っていいほど発達していなかった。それ故火薬などというものも発見されていない。
「しかし、何ださっきの火は?」
ヤマトの疑問をよそに、アルゴスは未知の攻撃に怯みはしたが恐れを払拭するために総攻撃をするよう叫んだ。
「お前達こいつを殺せ!危険だ!即刻排除せよ!」
後退りしていた他の兵達、しかし勇者を一瞬で肉片へと変えた未知の攻撃に足がすくんで前に出てこない。その肉片となった勇者を見て更に恐怖に包まれていく。
「えーい!何をしている!前へ出ろ!」
「ふーん、お前が指揮官か。戦場で階級をバラすとか無能すぎるだろ」
戦場で敬礼などしてはいけない、指揮官とバレれば真っ先に狙われスナイパーなどの餌食になってしまい現場が混乱してしまうからだ。
「なんだと!私を愚弄する気かこの田舎者め!」
「田舎者田舎者ってうるさいな、銃を目の前にして剣で襲ってくるほうがあほだろ」
ヤマトは手にした軍刀を抜刀し構えると。
「じゃあ剣で戦ってやるよ、これならフェアだろ?」
アルゴスはニヤリと笑みを浮かべると兵達に向かって叫ぶ。
「やはり先程の攻撃は連発出来んようだな!お前達相手は1人だ殺せ!」
剣を手にしたことで兵達は先程の未知の攻撃はないと判断したのだろう、ここぞとばかりに一斉に襲いかかってきた。
ウオオオオオ!
雄叫びをあげながら向かってくる兵達にヤマトは冷静に対処、相手は重い鎧を着込んでいるせいで動きがとてつもなく遅い。
フン!
かけ声とともにヤマトが踏み込むと、一瞬のうちにアルゴスの前に現れ。
ぎゃあああ!
ヤマトの後方では2人の体が鉄の鎧ごと真っ二つに斬られ、悲鳴とともにその場に崩れ去る。
チャキ!
アルゴスの首元にはヤマトの刀が突きつけられ、アルゴス含め周りの人間も動きを止めた。
「な、何なのだお前は、とても人間技とは思えぬ………」
「オレも自分が人間かどうかわからんけどな」
「く!訳のわからぬことを、一体、一体何なのだこれは」
アルゴスを含め周りにいる全員も同じだった。圧倒的パワーに目にも止まらぬ動き、そしてこの人数を相手にして全く怯むことない胆力。
そして、ミイを始め亜人達が思うのはこの人間達を懲らしめてくれるヤマトという人間はこちらの味方になってくれる者だと。
「まあ、当然と言えば当然だが、殺すなら殺されもするよな?」
「え?そ、それは……………」
シュン!
「あ…………」
アルゴスが何かを言おうとした瞬間、ヤマトは突きつけた刀を横に滑らすと。
ゴトリ………。
「て、提督!」
アルゴスの首がヤマトの足元へ転がり、それを見ていた人間の兵達が声をあげた。
「お前達も死ね」
シュンシュンシュンシュンシュン!
目にも止まらぬ動きで、ヤマトが方向転換のために踏み込むたびに地面に穴が開いていく。戦艦大和の馬力は15万、その有り余るパワーで次々と容赦なく斬り伏せていく。
カキーン!
「ぬ?」
唯一人だけヤマトの刀を防いだ者がいた、アルバインだった。
「く!すごい衝撃だ、手が痺れる………」
アルバイン以外の兵はすでに真っ二つにされ絶命している。
「やるな、オレの剣筋が見えたのか?」
「いえ、たまたまですよ………ハァハァ」
防いだとは言えアルバインの心境は穏やかでいられるはずはない。いずれ周りにいる真っ二つにされた兵と同じ姿にされるだろうと恐怖に包まれていく。
「待って!」
そこへ女性の声がしヤマトの動きが止まる。
「その人は私達と話し合いを望んでいたの!だから殺さないで!」
その声の主はミイだった。その思いはサラも同じで、アルゴスに対して1人だけ異を唱えていたのを見ていた。
「そうなのか、お前名前は?」
「はい、アルバインも申します。失礼ながらあなたの名前を聞いても宜しいでしょうか?」
「オレはヤマトという、悪いがそれ以外はよくわからん」
「ありがとうございます、しかし私は他の者を止めることは出来ずそこにいるサラと申す者達が酷い目に合っていながら止めることは出来ませんでした。なので殺されても仕方ありません」
ヤマトは少し考えた後刀を鞘に戻した。
「とりあえず色々と話を聞かせてくれ、オレもいきなり攻撃されたから反撃したまでだ。そこの嬢ちゃんもな」
「はい!ありがとうございます!」
ミイはニコニコした顔で火照ったような顔でヤマトを見つめる。
「ありがとう旦那、ここの始末は私達でやるから姫と一緒にいてやってくれ」
そう言っているのはサラだ、なんで薄着の格好しているのかも現状がまだよくわかっていないヤマトだが何があったかは予想はついていので深くは聞きはしなかった。
「そうか、じゃあ終わったら後で来てくれ」
そして、ミイを先頭に自分の住居へと足を運び王と王妃、ミイとアルバインそしてヤマトがテーブルを囲む。