表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミミック大東亜戦争  作者: ボンジャー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/58

第四十九話 自由の死んだ日 

 1946年 一月一日 新年に合わせ、西海岸は大東亜枢軸連合の手に落ちた。


アメリカ生まれの金髪娘として現地生産された、80cm列車砲10門により、廃墟と化したサンフランシスコの街並みを行進する連合軍の列は、これ以上ないほどアメリカ合衆国の終焉を世界に印象付けた。


同 一月五日 大日本帝国は征服した西海岸に新国家の建国を一方的に宣言。


カリフォルニア連邦の誕生である。


この国家の誕生に対して枢軸国は良い顔をしなかった。


この国家の主要民族は有色人種、特に黒人、ネイティブアメリカンであったからだ。


 大日本帝国は、今までの己が行ってきた傀儡国建国の経験と、イギリス大先生の分断統治を研究し、此処アメリカの大地に。日本は百年の禍根を残す腹積もりなのだ。


今回の戦争には勝利できるだろう、だが次、またその次は如何であろうか?


常勝無敗など歴史上どの様な国家も果たしていない。


何時かは大日本帝国も敗北もしくは譲歩を迫られる事になるかもしれない。


で、あるならば。もし新大陸から叩き出される日が来たとしても、自分に変わり新大陸で暴れてくれる国家が必要なのだ。


恨まれ役とも言う。


 そこで有色人種国家カリフォルニア連邦なのだ。


黒人、チャイニーズ、インディアン、メソアメリカ、北米の主を気取る白人様が、大嫌いな連中で構成される国家。


勿論、援助で漬けて真面な国家にはしない。


シベリアの傀儡国ポーランド王国とシオン共和国は対米戦で良い働きをしてくれている。


ポーランド系アメリカ人とユダヤ系アメリカ人を問答無用で本国に強制連行するくらい可愛い可愛い。


人口が増えて大変結構。


カリフォルニア連邦にはこの位腕白になってもらいたい物だ。




 渋い顔をしていた枢軸も、有色人種の難民はカリフォルニアで受け入れる旨を伝えた所、掌を返して賛成した。


そして、この建国は、合衆国国内で深刻な対立を発生させる。




「黒んぼどもジャツプに寝返りやがった、この恩知らずどもが!」


「インディアンどもが俺たちを殺しに来る!チャイニーズはジャップのスパイだ!やっちまえ!」



有色人種側も黙ってやられない。


黒赤白黄色、風に揺られてユーラユラ、果実豊作ユーラユラ




 争え!争え!もっと争え!



大日本帝国は今次大戦に有色人種の義勇兵を募集いたします。


治安戦に自信のある方大募集。


一緒に元ご主人様の土地を奪いませんか?帝国は下剋上を心から応援いたします。




見て下さい大英帝国先生!維新より数十年、弟子はここまで来ました。


師匠聞いてますか師匠?


 おい!ブリカス!




 誰がそんな嫌味真面に取り合う物か。


英国は冷静だ。


合衆国がもだえ苦しんでいる中、カナダ国境は閉鎖され、難民たちは叩き返される。


無理に国境を越えた連中の行方は分からない。


合衆国から文句は飛ぶが、その返事は本国から国境警備の増員と言う形で答えられる。


「もうあいつ等長くはない」


英国は冷静に合衆国崩壊の時を待っていた。





 米国は厳しい冬を迎えている。


 西海岸を奪われた事でテキサス油田は航空攻撃の射程に入ってしまった。


 連日、護衛付の富岳との戦闘が発生しパイプラインも次々と破壊されていく。


 米国東部のエネルギー事情は東海岸の炭田を用いた人工石油と、ロスアラモスから移設した粗雑な原子力発電と言う酷く歪な物に変わりつつある。


 これで足りるハズもないが仕方がない。


 足らぬ足らぬは工夫が足らぬ、欲しがりません勝つまでは。


 餓死者はまだ出ていなないが、冬の厳しいミシガン州などでは凍死者が出始めている。


 やせ細り、ひび割れ、それでも戦い続ける合衆国、自由とはそれ程まで大事な物だろうか?


 ファシズムは肥え太り、民主主義は飢え死に寸前。


 歪な世界がここにある。


 


 一月中盤、連合軍はネヴァダ、アリゾナ州へ進軍、これを制圧する。


 奇妙な事に航空戦は生起するが陸上での戦闘は少なかった。


 アメリカ軍は大油地帯であるテキサスの防衛を重視し、涙を呑んで後退していた。


 


 一月後半オレゴン、アイダホ、ユタが陥落する。


 軍団の展開地域はカナダ国境からメキシコ国境に横一杯に広がっている。


 連合はその無尽蔵の機械力を頼りに平押しするつもりなのだ。


 史上類を見ない大戦線であるがメイド居る限り、三食昼寝付きで攻める連合は攻めてくる。


 これを相手にする方は不幸としか言いようがない。


 


 二月に入り、ソルトレークシティを中心にカナダ方面が左翼、メキシコ方面が右翼となる鋼の軍団の進撃は思わぬ妨害により頓挫する。


 遂に合衆国は最終手段に出たのだ。国内での核兵器使用だ。

 

 アリゾナ州を蹂躙し、ニューメキシコ最大の町アルバカーキを包囲した日本軍第四師団は、突入と同時にさく裂した核兵器の地上爆発により甚大な損害を受ける。


 其れと同時に混乱する右翼連合軍に対し、米国は温存していた核兵器のほぼ全てを投入。


 核の塵舞い散る中ニューメキシコに存在した連合軍に機甲戦力での大反撃を開始したのだ。

 

 


 幾ら住民を避難させているとは言え、まだ市内には万を超える住民が居た筈、それ事自爆するだと?馬鹿な!


 一時右翼戦線は崩壊、混乱する部隊はフェニックス方面に徹底を余儀なくされた。


 合衆国の恐怖を甘く見過ぎた結果と言え様。


 有色人種の国家を勝手に建国し、白人を迫害する事に躊躇を見せない連合軍への恐れと嫌悪は、この様な暴挙をしでかすまで膨れ上がっていたのだ。

 

 合衆国国民は分かっているのだ。

 

 自分たちが何をして来たかを。


 明白なる天命の元、先住民を殺し、土地を奪い、征服した来た歴史、その歴史が遂に牙を剝いて来た。


 いまや自分たちが奪われ殺され犯され様としている。


 この攻撃は一種の集団自殺と言える。奴隷の運命より名誉ある死を。


 合衆国は狂乱していた。


 


 二月十六日 合衆国の自爆戦法を警戒し戦線は膠着していた。


 連合としても相手がどれだけの核兵器を隠し持っているか分からない以上、迂闊に攻め寄せられない。


 自爆攻撃でアメリカを締め上げていたはずが逆にやり返されてしまった。


 


 二月二十八日 大東亜枢軸連合は秘密会談を開催する。


 会談には英国、カナダ、メキシコなど中立国も招かれている。


 議題は「合衆国分割」


 目を血走らせる狂信者へと姿を変えた、民主主義の崇拝者に引導を渡す為の会議だ。


 ここに至ったては真面に地上軍での制圧なぞ難しい。


 戦後の復興を見越して残す予定になっていたインフラも人も、もう要らない。


 白紙にする。全てを破壊し、白く清浄な大地を分割しよう。


 会議は紛糾した。


 だが非人道的だ!と言う国はいない。


 ここはファシズム笑う黒鉄の大地。


 眉をしかめる国は有っても目の前に餌が有ればパクリと食いつく国ばかり。


 取り分だ。取り分を巡り会議は紛糾した。

 

 



 三月八日 会議は決着する。


 それは自由の死が決まった瞬間であり、民主主義がこの世界から退場した瞬間だった。



 


 空が燃えている。


 合衆国に残された領土全体の空が燃えている。


 シカゴ、、ダラス、オクラホマティ、ナッシュビル、、、


 生き残った都市の上で空が燃えている。


 大東亜枢軸連合は中立国の内諾を得ると、カリフォルニアからのV2による嵐のあと、全方位から米国に攻撃を行ったのだ。


 空を埋め尽くす黒い影。


 大きい途轍もなく大きい。


 それが幾つも幾つも数えきれない程の数で空を覆っている。


 ツェペリン型飛行船。


 それが正体だ。


 大日本帝国に置いて風船爆弾の失敗を反省していた誰かが思いついたのだ


 「風任せだからカナダに落ちたのだ、動力付きでい行こう。動力付きで」


 そこで選ばれたのがドイツが嘗て世界に誇っていた、ツェペリン型飛行船。


 燃えやすいそりゃ結構、どうせ自爆するんだから盛大に燃えるが良いさ。


 水素満載、火気厳禁、そこに下瀬火薬を少々。


 


 投入された飛行船、初弾二千機!


 燃やしてやる。


 全て燃やしてやる。


 迎撃するなら好きにしろ。


 お前らが力尽きるまで行ってやる。


 今度は本気だ。


 三千、四千、五千、六千、まだまだ増えるぞ!






 重工業の町にして、自由最後の砦、ピッバーグも燃えていた。


 逃げ場などない。


 上空からは最後の抵抗を行う航空部隊により、次々と火の雨と化した残骸が降って来る。


 これでは迎撃しているのか放火を手伝っているのか分からない。


 しかし、迎撃しないのであれば。あいつ等地上目掛けて降って来る。




 


 大統領専用防空壕にて


「大統領に合わせて頂きたい!これ以上の抵抗は無意味です!貴方方は国民の命を何だと思っているんだ!」

  

 本土防衛総司令の任にある ダグラス・マッカーサー大将は部下と共に、狂気の戦争を遂行せんとする大統領の側近、女性大統領補佐官に詰め寄っていた。

 

 今まで、ここ大統領専用バンカーで執務を取る、トルーマン大統領には、治療に当たる女性医師団と彼女以外入る事を禁じられていたが、飛行船の雨が降る異常気象の混乱で警備が逃げ出した今なら、あの狂気の大統領を止められる。


 マッカーサー大将は、いざとなれば殺害すら辞さない覚悟で、大統領に談判すつもりなのだ。


 


 全てがおかしいのだ。


 ギリギリの戦いの筈なのに何処からか来る補給。


 市民が暴動を起こす寸前に絶妙のタイミングで配給される食糧や燃料。


 ラジオから流れる無数の恐怖と希望のプロパガンダ。


 市民は互いに監視しあい、軍はひたすら戦いに駆り立てられる。


 疑念と困惑と恐怖がこの国を覆っている。

 

 そも初めに戦争を言いだした。女性議員団の連中は何処に消えた?


 何だ?何なのだ?なぜ合衆国はこの無謀な戦争を続けているのだ?


 こいつだ!この女と大統領が事をややこしくしている。


 



 「大統領に合わせろ女狐!」


 遂にマッカーサーと、その部下は補佐官に銃を突きつけ面会を強要する。


 「はぁ。仕方ありませんねぇ。少しだけですよ」


 素直に開けろ馬鹿女が!そして執務室になだれ込んだ一同が見たのは。


 「これは、何だ!」


 「何と申されましても大統領でございますよ、閣下」


 そこに居た、有ったのは、、、、


 「これの何処が!とっくに死んでるではないか!貴様!死体を!今まで何をしていた!」


 「はて?死んでいましたかそれ?いえ、さっきまで生きていた様な気がするのですがねぇ」


 怒りに任せ言葉を紡ぐマッカーサーに補佐官はふざけて返す。




 「ああ死んでいるのでしたか、私ちゃんとお世話は致しましたよ。放射線障害はこわいですねぇ。核兵器なんて使うからですよ。オホホホ」



「何を言っている!貴様これを知っていて何故報告しなかった!」


 女狐に拳銃を突きつける彼の脳裏に全てが一本につながった。



 

 そうだ!全部!全部こいつの、こいつ等のせいだ!


 補佐官命令だと司令部に出入りする女ども!


 プロパガンダを垂れ流すラジオの女の声。


 配給に並ぶ市民の先頭で食い物を手渡す女たち。


 なぜ自分はおかしいと思わなかった?


 皆同じ顔、同じ声。


 化け物ども!


 合衆国はこの化け物どもに食い潰されたのだ!


 そしていずれ人類すべても!





 「はい、正解♪その顔、全てが分かった顔ですね、花丸を上げます。エライ!あんたが大将!大統領!」


 「黙れ!黙れ!黙れ!」


 この期に及んでふざけ続ける、女狐へ拳銃弾そしてライフル弾が押し寄せる。


 補佐官は地に伏した。


 「こんな、、こいつらの為に我が国は、、、」


 急ぎこの事を皆に知らせねばならない。


 降伏だ、無条件でも奴隷になってでも良い。


 今は一人でも多くの市民を救わなければ。


 補佐官の死体を蹴りつけると一同は出口に向かい、そして、、、


 



「残念でした!死んでません!驚きました?」


 ギュッとした振り返れば、風穴だらけの大統領補佐官、メイドが立ち上がっていた。


「化け物め、、、撃て!」


 再度、襲来する鉛の雨を気にもせず、メイドは何やら呟きはじめた。


「ちょい右、ああ行き過ぎです。はいそこ、そのまま。ご苦労様でした。私も直ぐに参りますので、ではさようなら」


 「手りゅう弾をぶち込んでやれ!」

 

 一向に死なない化け物に業を煮やし、マッカーサー大将が叫んだ時、


 メイドの誘導に従い、自爆飛行船ツェペリン7823が大統領専用防空壕目掛けて、


 狙い違わず墜落した。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] > 見て下さい大英帝国先生!維新より数十年、弟子はここまで来ました。師匠聞いてますか師匠?おいブリカス! ここがなんかツボりましたw
[一言] マッカーサーは真実に気付いたけど、もう手遅れだった。 民主主義は死に、全体主義が地球を覆い尽くす。メイドさんによる日本人保護と他民族を日本化する狂気の計画が遂行される。
[一言] マッカーサー君が最も世界の真実に近づいている一人かもしれない でも、そのなんだ、手遅れだと思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ