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ミミック大東亜戦争  作者: ボンジャー


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第二十二話 フューリーエンペラー3 粛清のデスロード

 「御免んさい。また戦争始めちゃいました。許して。あと援軍お願いね。怒っちゃやーよ」

 

 概ねそんな内容の大馬鹿報告が日本政府に届いたのは5月15日になってからの事であった。


 「おい誰が陛下に報告するんだよ」


 と揉めに揉めた末に陛下に上奏されたのは5月16日早朝。


  これを受けた陛下は、静かに対応を指示したという。


 陛下、眉間がピクピクしてる。凄い青筋だ。噴火直前のマウント富士。


 上奏を終えた平沼首相は顔面蒼白で官邸に戻ると善後策を急ぎ会議に掛ける。


 陛下大激怒。


 平沼首相に告げられた言葉に、板垣征四郎陸軍大臣、米内光政海軍大臣も顔面蒼白。陛下は昔日の陛下では最早ない。

 

 近衛師団での226鎮圧より、神武天皇以来の覇王の血が蘇ったかの様に積極的な政治への干渉を始めているのだ。

 

 まごまごしていてはどの様な目に会わされるか分からない。


 日中戦争当事者連中の様にエリートキャリアから叩きだされるならましな方だ。

 

 「これだよ君これ」


 平沼首相は腹切りの真似をする。


 冗談ではない。実際に一部の元皇道派や、筆頭の石原莞爾などは怒れる民衆に切腹に追い込まれている。


 世論は完全に陛下の味方だ。


 明治帝の再来、神武天皇が天孫降臨なされた、民衆の陛下人気は留まる事をしらない


 。空前の好景気はどの様な無茶も許容される。其の好景気をもたらした神君には大日本帝国の誰もが逆らえない。


 腹切りもするのも獄門台の露と消えるのも御免蒙る。


 海軍は本土に残る連合艦隊を全力出撃、ウラジオストク攻撃に取り掛かる。


 陸軍も支那での治安維持任務に当たっている部隊を全て引き上げ、満州に急ぎ再配置を開始。

 

 「余計な事しやがって馬鹿野郎ども」


 陸海の心は珍しく一致していた。

 



 5月31日 関東軍司令部の混乱にも助けられ、初戦では勝利を飾れたソ連極東軍であったが後が続かなかった。


 立ち直った日本陸軍が戦線を押し上げ、頭上には爆弾の雨が降らせ始めたのだ。

 

 昼夜関係なくメイドさんを乗せた観測機と襲撃機が後方を飛び回り列車砲弾と機銃掃射をお見舞いしていく。


 ソ連軍、春の淡雪と化す、そう思われたがそう簡単には事は運ばない。


 堅牢なる陣地に籠り、ソ満国境から騎兵を繰り出して前線をすり抜けようと仕掛けてくる。

 

 支那戦線とは違い、ここは人口希薄な満州原野である。褒美を餌に民兵にゲリラ狩りをさせることもできない。


 いたずらに戦線を広げて、初戦で戦車師団に大損害を与えた新鋭戦車がいつ飛び出して来るかもわからない為、日ソ両軍は国境線での睨みあいを始める事になる。


6月1日 満州国 哈爾濱


 「凄い戦車ですよこれ。一式が勝てない訳だ」

 

 日本戦車開発の父、原 乙未生大佐は鹵獲されたT32を見上げて驚きの声を上げていた。


 初戦の戦闘で一式中戦車の47ミリをこれでもかと浴びせられた彼女は擱座。回収にでた日ソ両軍の大激戦の末、ここ哈爾濱のメイドさん工廟に運び込まれたのだ。

 

 「見ましたか辻少佐、この戦車砲。76ミリもある。これじゃイチコロになるのも無理ない。まあ装甲がボルト止めされるのは玉に傷ですが」


 子供が新しい玩具に夢中になるように、T32を弄りまわす原大佐は、横でイライラしている辻参謀に朗らかに話しかけた。


 「その様な事わかっとります大佐殿、吾輩が知りたいのはどうやったら此奴を撃破できるかと言う事です!」


 ソ連に無血で打撃を与えるはずが大損害を出しているのだ。


 (なんで吾輩がこんな目にあわにゃならん)


 とプリプリしている辻参謀。


 「まあまあ、そうカッカしないで、メイドさんが我々を呼んだんですから何とかなりますよ」


 「メイドが吾輩たちを?てっきり大佐殿が此奴の撃破方法を教授されると思っとりましたが」


 「あれっ?そうでしたか?私はメイドさんに、ソ連の戦車を今後の本邦戦車開発に役立てて欲しいと呼ばれたんですよ」

 

 何だ、何だ、要領をえない。どうなっとるんだと、お付きのメイドさんを怒鳴りつける参暴殿。

 

 「おいコラ、メイド一号どうなっとるんだ。しっかり説明せんか!吾輩は無駄足を踏みに来たんじゃないんだぞ。なりばかり美しくとも、仕事が出来んじゃ、しょうがないじゃあないか!」

 

 これだから女はいかん。そもそも何で軍に女なんぞ入れるんだ。どいつもこいつも尻の毛まで抜かれ居ってからに。遂に軍の方針まで批判し始めた。あーうるさい。



 「お待たせいたしました。原大佐様、辻少佐様こちらにどうぞ」


 暫くして、五月蠅いドサンピンの後ろから、メイドさんが現れわれ声を掛けてきた。彼女に導かれ工廟の外に出た二人は目を丸くする。

 

 「いやはや、やはりメイドさんは凄いですねぇ」

 

 「よーし、これで勝てる。行くぞメイド一号!これでソ連なんぞ一息だ!一息!」


  そこにはT32、いや、大日本帝国日本陸軍、正式採用、二式中戦車と今後呼ばれる事になる戦車が、ズラリと並んでいた。


 




 

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