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プライド・オン・スペース  作者: エイリアン宇島
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プロローグ 『生まれ落ちるモーニング☆スター』

 星々の輝きを奪い広範囲に雷雨が降る森の中、片足を引きずりながら歩き彷徨う人型の生き物がいた。

 その生き物は頭部に生えてる二本の角以外見た目は人間そのものだが、どこか他人に異質さを与える。


 ――どこまで走ったんだろう。もう痛みなんて感じないや


 体力は既に底をつき外傷は酷く腕や背に矢が刺さったままであり、角は鋭利なもので綺麗に取り除かれていた。

 流れる出る血を空から降ってくる雨が身体から地面へ、そして辺りへと広げていく。

この身体がもう長く活動する事はないと己で悟っていた。

 そうこうしてると雷雲から放たれた光によって少しばかり辺りが明るくなった視界に少年を待っていたと言わんばかりに果実が一つなっていた。

 側は黒一色に染まっており、いかにも危険なものだと露わにしているが・・・・


 ――綺麗な果実・・・・


 うっとりとした瞬間、彼に一つの考えが芽生えた。()()を食べたいという悪食だ。

 追っ手から逃れひたすら歩いた中、多くの果実を見てきたがどれもそれらを食べる気はなかったがこの黒い果実だけは違う。

 心の奥底からなのか、はたまた魂からなのかは分からない。

 導かれるように汚れた両手で優しく枝から取り外し、木にもたれかかる。

 そして・・・・


 ――いただきます


 口を大きく広げ、しゃくりと良い咀嚼音を鳴らし奥へと運び込んだ。口の中では果汁が溢れ染みこんでいき、今まで食べた事がない味を堪能した。

 こんな美味な果実は初めてだと感動の表情を浮かべ、我を忘れたかのように二口三口と体内へ取り込んでいった。




 全てを食べ終え、ある程度回復したと思い込み腰を上げようとするがもう動くことはなかった。更に、意識も先ほどより早く失いかけていた。

 ここが自分の最期だと受け止めた。さっき食べた果実の影響かは知らないが()()()()という抗いもなく一つの願いを存在するのかわからない「神」という存在に捧げた。


 ――来世があるのなら、楽しい人生でありますように


 雷雲は全てを出し尽くしたのだろうか捌けていき、地平線の彼方から橙色の光が照り始めた。

 その輝きを最後に少年の視界はゆっくりと閉じ、空に上がった明けの明星を見ることなく深い眠りへとついた。




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