戴冠式
かわるがわる挨拶に訪れる招待客たち。
さざめく話し声。
会場に響く幻想曲。
今日は私の戴冠式。
誰も彼もが祝福を捧げる。
こんなにも皆に祝われる私は、きっと幸せなのだろう。
父も母も、兄も妹も、叔父も従兄弟も。
今まで私を疎んじていた誰も彼もが、私のことを祝ってくれる。
私がこの座に座ることで王国は安泰だと陛下は高らかに宣し。
私がこの座に座ることで国民は安寧だと殿下は言葉を紡ぐ。
私がこの座に座ることで皆が笑って暮らせるのだと王妃は微笑み。
私がこの座に座ることを感謝すると妃殿下は華やかに笑う。
きっと私は幸せなのだろう。
この座に座ることで、この国の皆が笑って暮らすことができる。
ただそれだけで、皆を笑顔にすることが出来るのだから。
過ぎ去った記憶も、抱いた想いも。
何もかもを懐かしく思い出しながら。
私は、この座に座ります。
ああ、ほんとうに。
全てが呪われてしまえばいいのに。