再会
投稿2日目でPV3000超えました
想像以上のアクセスに感謝です、ありがとうございます。
長文書くの初めてなのでつたない部分も多いかと思いますが
ヴィクトリアちゃんのこれからにお付き合いくださると幸いです
馬車がゆっくりと学園の正門前で止まる。
門の向こうにはちらほらと寮から学舎へ向かう生徒の姿も見えた、自分の中で当たり前な風景を見てほっと息を吐きながら馬車を降りれば門をくぐってすぐクラスの友人の令嬢達が出迎えてくれた。
「ヴィクトリア様、もう大丈夫ですの?」
「トリア様がいない間クラスは火が消えたようで…寂しかったですわ」
口々に快気したことを喜ぶ旨を告げられれば自然に笑みが顔に宿る。友人たちに守られるように囲まれながらゆっくりした足取りで学舎へと向かう。
「いいえ、私のほうこそ……皆様にあんな姿をお見せしてしまい恥ずかしい限りですわ」
淑女らしからぬ声で叫び、そのうえその場で倒れたことを目を伏せながらしおらしく話せば今まで見せたことのない抑えきれぬ怒り、それを恥じらう姿に完璧な淑女でも皆と同じ少女らしい気持ちも弱さもそんな一面も持っている彼女らと変わらぬ人間らしさを少しだけ見せれば今まで尊敬と敬愛を向けていた瞳に少しだけ庇護欲がともる。
この方を守って差し上げねばと、いつも守ってもらっているだけではいけないと。
味方をより強固な味方へ変える。……ほんの少しの匙加減。
あとは休んでいる間、クラスで起きた様々な話をおしゃべりしながら歩いていれば、学舎の玄関前に第二王子の姿が見え私を含めた皆の足取りが止まった。
「一週間も休むとはのんきなものだな、ヴィクトリア」
婚約者への気遣いを見せることもなく倒れた原因の一つである第二王子の心無い言葉に周りの空気が一瞬にして冷え切った。
「ええ、生徒会の皆様や淑女会の皆様にはご迷惑やご負担をおかけして申し訳ないと思っております。今後は気を引き締めあのようなことのないよう気を付けますわ、ユーリス第二王子殿下」
何事もないように言葉を返し、それではと王子の横を通り抜けようとするが王子は苛つきを隠すことなく
「私にかけた迷惑を最初に頭を垂れて謝るべきだろう!本当になっていない女だな!」
「…………は?」
危ない。
“さやか”の地が出そうになった。
目の前の男にかけられた迷惑はあってもかけた迷惑など記憶にない。ヴィクトリアから流れてきた記憶を頭からさらってみたが該当なし。意味が分からないというように少しだけ小首を傾げてみると話が通じてないと鈍い頭でも悟ったか王子はさらに声を張り上げた。
「お前が一週間も無断で休むから、お前がやらねばならぬものがたまったままなのだ!これ以上私の顔に泥を塗るような真似をするな。いいか次の休み時間に謝罪とともに取りに来い」
はい。つまるとこ
『いない間に出された課題が手つかずアーンド未提出で先生に怒られてるんだぞ!おまえのせいだ!』
ということですね。
無論それをほかの生徒に知られるわけにいかないので私には通じるだろうと言いたいことだけ言って足早にCクラスの玄関へ向かい、のしのしと立ち去って行った。
「まあ、病に伏していた婚約者がやっと登校されたのに気遣いの言葉一つかけないなんて」
「いくら王族とはいえあんまりですわ」
と小さな声が上がるも黙っていなさい、と伝えるように不満を口にした令嬢たちへ顔を向け人差し指を唇に近づける。そんな仕草にも自然に優美さを纏ってしまうヴィクトリアの完成された所作に感心しつつ、それに見惚れたように頬を染めた令嬢たちに笑みを向け
「そのお気持ちだけで充分ですわ」
と返した。そして始業時間が迫っていることを気にするように時計を見て急ぎましょうと生徒たちを先導して玄関をくぐりクラスへと移動していくのだった。
王子の呼び出し?そんなもの応える義理はございませんので無視一択です。
読んでくださってありがとうございます。
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