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ランチはいかが?

今日も複数回更新です

誤字報告ありがとうございます

「全く、どうなることかと思いましたわ。あわや一大事になるところでしたのよ」


「アンジュ様には感謝いたしますわ。あと……ほんの数分遅かったら私どうなっていたか」



私が持っていた鍵を奪おうとして王子が手を上げたところだったとその場にいなかったアンジュ様にジョアンナ様が伝える。


王子たちがサロンの階を降りて下のフロアに出たことを確認してから学園長の好意で別の空き室を提供してもらい、移動した。


その上生徒用ではなく賓客を招いた際の会食にも出されるコースを私たちの分もオーダーしていただきました。

茶番に巻き込んだ詫びと言うのでご相伴に預かることにしたのです。


盛り付けも美しいオードブル。

シンプルながらにふくらみのある贅沢な味わいのスープ

メインは鴨のテリーヌ、爽やかなソースが絶品です。


メインを食べ終え、今はデザートを待ちながらお茶を楽しみます。


お茶を出されて思い出してしまいましたが、あの令嬢を招待するお茶会どうしましょう……。


「事情を知っているのですからお手伝いいたしますわ。トリア様もちろん私達も誘っていただけますよね?」


カップの中に揺れる琥珀色のお茶を眺めていればジョアンナ様が言葉をかけてくれた。

もちろんアンジュ様も一緒に笑顔で頷いてくれていて。


そんな二人の心遣いに少し硬くなってしまった表情が和らぎ、笑みが自然に戻っていく。


「あの方のことですからどんなことが起きるかわかりませんよ?」


「覚悟の上ですわ。先日小さな従妹の初めてのお茶会に付き添いまして散々な目にあった経験がありますもの。この際そういう経験の多い方をお呼びするのも良いかもしれません」


小さな令息、令嬢たちをメインの招待客として催される最初の社交経験 “小さなお茶会” のことですね。


緊張で硬くなりながらも必死に覚えた挨拶や自己紹介。

たどたどしくも愛らしい小さな淑女のカーテシーに小さな紳士のボウ・アンド・スクレープ。

それが出来れば大合格。

さあご褒美の時間です。おとなしく座ってお茶とお菓子を楽しみましょう。


(トリア)も頼まれて付き添ったことがありました、ほっこりできて楽しそうですよね。いつか参加してみたい。


小さな子供だから拙さも愛らしく見えるだけですけど……まあ中身は男爵令嬢も王子も似たようなものか。

というか、其処までレベルを下げて審査するものですの?私たちデビュタント終えましたよね……?



「でも審判はどう下します?茶会を開くのは私ですけども……厳しい判断になった場合、私やお友達の意見だと偏見だと言われそうです……。


それはお兄様やお母様にお願いしても同じことになるでしょう。他にも令嬢たちを招待する場でもあるので私も王子も面識のない第三者を招くようなことは安全上出来ませんし」


それが一番大事なことだったと手にしていたカップをソーサーに置き、今回の件を提案した学園長に問いかけた。


ノープラン(押し付けただけ)じゃないことを祈ります。


「そうだのう。一応案は持っておるがこればかりは私の独断で決められるものでもない。近いうちに公爵夫妻と会うことにしよう。なに、悪いようにはせぬから心配するな」


「お願いいたします。私のほうからも父と母に申し伝えておきますわ」


そう告げて、頭を深く下げる。


「ああ、助かる。……さて、そろそろデザートが来る頃だな。お茶とお菓子は気心の知れた友人たちと楽しみなさい。野暮な男だと言われる前に退席するとしよう」


お茶を飲み終えた学園長が椅子から腰を上げる。

場を代表して私も椅子から腰を上げ、学園長の後ろを歩いて扉まで見送ると



「お前が “ヴィクトリア” であるかぎり、味方でいよう。……お嬢さん」



扉を閉める間際、小さな声で囁かれた言葉に驚いて一瞬、呼吸が止まった。

流石王国の頭脳……侮るなということですね。



「心配いりませんわ……私はトリアですもの」



そう答え、いつものように唇に弧を描き淑女(ヴィクトリア)の笑みを浮かべる。


――私は、ヴィクトリアの一部(カケラ)なのですから。




読んでくださってありがとうございます。


まだまだ物語は続きますのでブクマや評価(下にある☆)を入れてくださると執筆の励みになります

気になるキャラクターとか居たら一言で構いませんのでお気軽にコメントくださいませ

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