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カフェテリア事件・3 ーー鍵ーー

申し訳ないです。1話目で出てきたとき王子の相手役を男爵令嬢と表記していたのに、なぜかそれ以降子爵令嬢って書いてました。

修正しました、ほんとごめんなさい。気をつけます。

ーー 開けごま(オープンセサミ)、さあ出るのは着衣か脱衣か ーーー





「失礼いたしますわ!」


背後にジョアンナ様を従えながら両腕を使い観音開きの扉を勢いよく開ける。茶会にも利用される部屋は壁紙は優しいアイボリーを基調に白色で繊細な花模様が描かれ、窓のそばに革製の大きなソファにコーヒーテーブル。部屋の中央には白い大理石の天板に磨かれた煌びやかな真鍮製の猫足テーブルと揃いの椅子。


建物自体広々とした中庭に面しているため邪魔なものが無くがない為採光も考えて作られている作りで、明かりを灯さなくとも昼間は明るい。


明るいからこそ丸見えである。よかった着衣だ。


多少衣服が乱れてはいるが、王子にかぎっては半裸だが暑かったんだと思うことにした。



もうじき秋も終えるけどね。




私の後ろでジョアンナ様が小さく「きゃっ」と声を挙げ両手で顔を覆いながら顔を背け俯いてしまう。


可愛い。


窓際に置かれた三人は余裕で腰をかけられる大きなソファの真ん中で団子のようにまとまっている男女が二人。

お膝に乗せてお戯れの真っ最中ですか、接待だからと無理やり付き合わされたキャバクラでキャバ嬢を膝に乗せて喜んでいた赤ら顔の上司(オッサン)を思い出してしまい途轍もなく不愉快になりました。



「きゃああっ」


「な、何者だ!入室の許可も得ずに押し入るだなんて、不敬だぞ!!」



冷静というかすっかり冷え切ってるコチラとは違い、やかましいほどに声をあげる王子と男爵令嬢。突然押し入られた動揺がが鎮まり、扉の前で佇む私の存在をようやく認識したらしい王子が苦々しさを顔中に浮かべながらこちらを見て舌打ちした。


この王国の頂点である王族でもあるお方が感情のまま振る舞う幼子のように感情を見せるものではございませんわ。お家で習いませんでしたか?

親の顔も知っているし、お里も知れてますけど。


全く毒づきたいのはこちらの方ですわ。

お願いですから私の表情筋をこれ以上鍛えさせないでくださいませ。


眉間に皺を寄せないよう、必死に表情筋を押さえ込み淑女の顔を作りいつものように薄い笑みを貼り付ける。

目の前の男に感情をぶつける価値もない。

この取り合う価値もない男のために品性のカケラもない令嬢と同じ土俵に乗る意味もない。


こんな男(馬鹿王子)の寵愛など必要ない。いくらだってくれてやる。


「……何者だなんて、こちらの言葉ですわ、ユーリス第二王子殿下。どうしてこちらにいらっしゃるのですか?まさか今まで授業が長引いていたとでもおっしゃりたいのでしょうか。……ああでも、身体測定は授業ではありませんね。殿下、私はともかくとしてジョアンナ様がいらっしゃられるのでもう少々刺激の少ない格好になって頂けませんこと?お風邪を召されますよ」


「な……ッ!」


ようやく自分が上半身露わな淑女の前に居られない格好をしていることに気づいた王子はだらしなく床に落とされていたシャツを拾い身につけていく。

あらあら男爵令嬢さんもいそいそとこちらに背を向けるようにしてジャケットを羽織り直していますね。……もしかしてブラウスの下は素肌なのですか?それで王子に体を押しつけていられるなんて……。


あーそーゆーことね。完全に理解した。


むっつりか。


「そんなことより、なぜお前がここに居る!?……そうか、恋焦がれる私の姿が見当たらずあさましくも家探しをして探し求めたのだな?」


「そーですよ!折角隠れて二人きりになれていたのに、醜い嫉妬はやめてください!!!……ユーリ様、あたし怖い」


ガバッと抱き合う二人。服着ても抱き合うんか。



「違いますわ」


はっきりキッパリ迷いなく答える。なんだその妄想は怖いのはこっちだ。


「授業外でのサロンの利用はA、Bクラスの人間以外立ち入れないはずです。どうしてCクラスと Eクラスのあなた方がいらっしゃるのです」


王子が服装を整え終えたからかジョアンナ様が復帰した。男爵令嬢、Eクラスなんだ…。


「私達、色々と相談があるのでサロンの利用を申請し、許可をいただきましたの。こちらがこの部屋の鍵ですわ」


許可には学生証がいる。高位貴族の私達も王族である彼も学園中の職員が顔と名前くらいは知っているから他人の学生証を使って不正も出来ないはず。

でも他のサロンと鍵の共有はしていないはずだと思いあたる、ならどうして王子と男爵令嬢はここにいるの?



「なんだ、その貧相な鍵しか手に入れられないのか」


鍵を見せた途端、あざ笑うような笑みを浮かべのけぞるように胸笑みを張る王子。


「そうですよ!ユーリ様は全部のお部屋を使える鍵を持ってるんですから!!一室しか使えないなんて、威張っている割に公爵家も大したことないんですね!!」



そう言って誇らしげに男爵令嬢が掲げたのは ーーーーー管理者の鍵(マスターキー)





窃盗ですか?

お巡りさん、こいつです。

読んでくださってありがとうございます。

まだまだ物語は続きますのでブクマや評価を入れてくださると励みになります

気になるキャラクターとか居たら一言で構いませんのでお気軽にコメントくださいませ


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