第66話「紫炎少女の予期せぬ再会」
周りには紅く染まった血の海。
血を流し、明らかに生きてはいない倒れた男達。
その中で少女は一人立つ。
赤黒く染まりながらも立つその姿はそれでもなお見る人が見れば美しいと評すだろう。
「こんな所ね…」
「終わった?」
「ヒヨさん…ええ、終わりました。最後の仕上げに入りましょう…カナリア!」
「――!!」(終わってますよ~ますたー)
「なら急ぎましょう。いくら深夜の時間と言ってもこれだけの事をしている以上何が起きてもおかしくはないわ」
「――♪」(着火だ着火~♪)
シャルティア達は建物の前に立ち、気絶している唯一生きている男を巻き込まれない場所へ放り投げると…
「ファイアーボール(ファイアーボール)」
火の初級魔法で建物に火をつけた。
最後の仕上げにカナリアが建物の各所に巻いたガソリン、それにより凄い勢いで燃え広がっていった。
周囲の建物にも被害が出る勢いだが気にする必要はない。
この辺りの人達も組織の人間である為である。
始末してもいいが弱い者いじめは好ましくない。
今更なんだという話だが…生きるために手を染める者もいるからこその処置である。
この火事に巻き込まれて死ぬのならその人の運命はそこまでというだけの事。
そうしてシャルティアはヒヨとカナリアと一緒に燃える建物を少しの間眺めていた。
ヒヨだけはかなり顔に出ていたが…。
そしてそれがいけなかった…。
すぐに立ち去ればよかったが考え事をしていたが為に人の接近に気付けなかった。
シャルティアにとって最悪の人物達が迫っていた。
「そこの貴方何をしているの!?」
大きな声で言われ、シャルティアとヒヨはそちらの方を向く。
カナリアは即座にシャルティアの服へと隠れた。
シャルティア達の視線の先、そこにいたのは…。
「貴方達がその建物に火を放ったのですね?」
シャルティアの昔馴染みであるメルランディア・ユウランドそして先頭に立つ如月芳香であった。
(不味い…)
「シャ…」
名前を呼び掛けたヒヨを即座に止め、声を魔法で変えてシャルティアは答える。
「そうだ。それがどうかしたか?」
「何故そんなことを…?」
「それを教えて何になる? 貴様らが知る必要のない事だ」
「だからって…!」
「悪いがこちらも忙しいのでな。そろそろ失礼させてもらう」
「ッ! 行かせると思いですか? 警察と消防にはすでに連絡を入れてあります」
「それが? この街の警察も消防も期待するだけ無駄だぞ」
「それはどういう?」
「すぐにわかる」
「それでも、今あなたを逃がすわけにはいきません! お覚悟!」
「………仕方があるまい。下がってください」
シャルティアはヒヨを後ろに下がらせ、戦闘態勢に入った如月達と相対した。




