第1話「最弱のサモナー」
一応、書き貯めしてた分ですが、この話ともう一話分しかない為、もう一つの方も投稿したらこちらも週一投稿にしていきます。
多分日曜日投稿になるかなぁ…
視点は変わり、時間は現在お昼時、町中を歩く高校生と思われる少女が下を向き、暗い表情を隠しもせずに歩いている。
少女はお昼を食べるために街を歩いているのは時間帯的に明らかだったがなぜ暗い顔をしているのか。
「せっかくご飯誘ってくれたのに断っちゃった…どうして私はいつもこうなんだろう…サモナーとしても人としても…」
そう、少女はサモナー、召喚士である。
この世界では召喚士は珍しくなく、基本的には小学生のころにはもう既に契約しているのが一般的であり、遅くても中学生の頃には契約できるものである。勿論、サモナーではない人達だっている。
が、彼女には契約している契約獣、契約者はいない。
それが彼女の顔を暗くしている根本的な原因でもあるが、彼女を心配してくれている幼馴染や親友と一緒に登校はするが、ご飯などの誘いを断り続けているのも原因だ。
「契約もできない劣等者…史上最弱のサモナー、か。私だって…私だって…」
彼女のその後の言葉は続かない、何故なら言ったところで誰も聞いていないため…無駄なのを分かっているからだ。
「今日もあそこに行こう…あの場所が私の唯一の心が休まるとこに」
彼女は歩く、迷いなくとある場所に向かう。
その場所には大きな湖があり、そこを一望できる丘がある、彼女はそこから景色を眺めるのが一番好きで、一番心が休まる場所でもあった。
「今日は授業がお昼まででよかった。今日はゆっくりできそう」
少女は近くの食事処でお昼を食べた後、丘の方に向かった。
食事処から丘までは歩いて十分近くで遠くはないため、すぐに目的地にたどり着いた。
彼女はいつも立っている定位置に立とうとしていつもとは違っている箇所があることに気づく。
それは定位置に一凛の花があることだ。
「あれは…花? どうしてあんなところに? 昨日まであそこに何もなかったはず」
彼女は意を決して、怪しげな花に近付き、観察してみる。
その花は見た目はいたって普通のピンク色の花のようだが、大きい…小さい人間、小人族の契約者なら一人は余裕で入れるくらいの大きさだってのが分かる。
「大きな花ね~。どうしてこんなものがここに急に咲いたのかしら…いえ、咲いたとは言いずらいかしら、だってつぼみが開いてないもの」
彼女の言う通り、現在花は咲いてはおらず、花弁…いわゆるつぼみが開いてはいない先ほどの大きいという感想は、つぼみの時点での感想であった。
「ここまで大きければ花開いた時が楽しみね。大きくて綺麗なはず…」
そう彼女が言葉をこぼした瞬間。
つぼみが開いていく…今、花が咲こうとしている。
急に始まった開花に驚いている彼女をしり目に花は完全に開き、咲き誇る。
「えっ?」
彼女はさらに疑問の声を漏らす。
なぜならその完全に開いた花、その真ん中に小さな羽の生えた子供のような存在が寝ていたからだ。
「あれは…妖精族? 何で花のつぼみの中で寝ていたの?」
(もしかして生まれたばかりなのかしら? なら契約できるかも…)
花の上で寝ている妖精族を見てそんな事を思う少女…もはや契約が出来なさ過ぎて契約できるのならそれが契約できる中でも最弱と言われる妖精族だったとしても契約したいと考えていた。
そんな気持ちで少女は花の前に立つのだった。
この後にもう一つ、予約投稿しておきます。